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    anri_maho

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    anri_maho

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    7/13新刊『厨房令嬢と強面旦那様』のおまけ小話です。
    ブラッドリーさん視点の本編中のとある夜のお話。
    すけべありません!申し訳ない!

    #ブラネロ
    branello

    厨房令嬢と強面旦那様(おまけ)「マジか……」
     ブラッドリーは隣ですやすや寝ているネロにため息を吐いた。
     気配には敏感なたちだ。隣の部屋でバタバタ音がして、何事かと飛び起きた。別に起こされたことに不服はない。ないのだが……。思わずブラッドリーは苦い表情を浮かべた。つい先ほどの会話が思い出される。
    『襲われても文句言うなよ?』
    『言いません』
     ネロはそう言い、ブラッドリーの胸元に丸まった。
     はっきり言って、そういう意味なのだろうと解釈した。だがこっちを見ないな、などと様子を見ていたらこの有様だ。ブラッドリーは何度目かのため息を吐いて、ネロの髪を撫でた。奥様は気持ちよさそうに眠っている。
     料理の腕前は言わずもがなだが、気が利くところ、意外にも胆っ玉が座っているところなんかをブラッドリーは気に入っている。自分に自信がないところはたまに傷だが。
     ブラッドリーはネロの顔を覗き込んだ。俯いたまつ毛と柔らかそうな唇がこちらを誘惑してくる。寝ている間にこちらがなにかするとは考えていないのだろうか。下町娘なのか、箱入り娘なのかときどきわからなくなる。いっそ叩き起こしてやろうか。
    「ネロ」
     その名を呼んでみた。寝息が聞こえるだけでやはり目を開けない。
    「ネロ」
     青灰の髪に指を通して、気まぐれに自分の指に巻きつける。解けばそれはすとんと落ちて、しっかり手入れがされているのを示していた。晶はまだ世話したりないらしく、ときどき不満を漏らすが。
    「……ネロ」
     その瞳が開かないことを残念に思って、ブラッドリーはネロのこめかみにキスを落とした。これくらいは許されるだろう。
     ブラッドリーはネロを抱き込んで、眠ることにした。
     おやすみ、愛しい奥様。よい夢を。

     ◯

     気配には敏感なたちだ。胸元に埋まったそれがもぞもぞ動き出したことで、ブラッドリーは目を開けた。
    「ネロ?」
    「ん……」
     ネロはまだ半分夢の中にいるらしかった。目を開けたり閉じたりを繰り返す。時間はわからないが、まだ寝ていたっていいだろう。ブラッドリーはネロの頭を撫でて寝かしつける。
    「まだ早いだろ、寝てろ」
    「……うん」
     ネロが安心したように頷いて、ブラッドリーの胸元に丸まる。その様が妙に可愛らしくて、ブラッドリーはネロの頭のてっぺんにキスをした。するとネロがのそりと顔を上げる。目は開いているが、いつもの半分くらいしか開いていない。
    「……だんなさま?」
    「おう」
     ネロはここはどこだろうと、辺りを見渡した。しばらく周囲を確認していたと思ったら、みるみる覚醒し、顔を青くする。「ごめんなさい」と言われるだろうなと思ったので、ブラッドリーは先にその身を強く抱きしめた。ネロが身体を強張らせる。
    「だ、旦那様!?」
    「いいから」
     ブラッドリーはわざとあくびをひとつした。昨晩ブラッドリーを起こしたことをわかっているネロは、申し訳なさそうな顔で大人しくなる。
     ブラッドリーは満足度げに笑い、目を閉じた。
    「おやすみ、ネロ」
    「……おやすみなさい」
     ネロがか細い声で答える。ブラッドリーは幸せな二度寝を享受した。
     
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    anri_maho

    DONE5/4スパコミ『賢者の超マナスポット2025』で配布した無配です。
    アクスイブラネロの、私はブラッドリー視点を担当しております✨
    ティカ様に、ネリーの正体の探りをいれる話です。
    一緒に合同誌をした葵さんのお話とリンクしているので、そちらもご覧いただければ嬉しいです☺️
    葵さんのアクスイ↓
    https://poipiku.com/3192399/11688424.html
    【5/4スパコミ無配】アクスイ(ブラッドリー視点) 約束の時間にそいつは現れなかった。すっぽかされたのかと思いきや、「ごめんね。少し迷ってしまって、もうすぐ着くよ」とメッセージが入っていた。そしてもうすぐ着くとあったのに件の男、ラスティカが到着したのは待ち合わせの三十分後だった。
    「ごめんね。待たせてしまったかな?」
    「先にやってたから、気にしなくていい」
     テーブルには、すでに俺が勝手に注文したシュニッツェルなどが並んでいる。店員を呼び、俺は二杯目、ラスティカは一杯目の酒を注文した。店員が静かに扉の向こうに消えていく。
     完全個室のイタリアンだ。店員たちも、こちらが芸能人とわかっていても騒いだりしない。口の固い店員しか採用されないのだろう。ここは、そういう店だ。俺はまだわずかに残ったビールを煽った。
    2809

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    SPOILERイベスト読了!ブラネロ妄想込み感想!最高でした。スカーフのエピソードからの今回の…クロエの大きな一歩、そしてクロエを見守り、そっと支えるラスティカの気配。優しくて繊細なヒースと、元気で前向きなルチルがクロエに寄り添うような、素敵なお話でした。

    そして何より、特筆したいのはリケの腕を振り解けないボスですよね…なんだかんだ言いつつ、ちっちゃいの、に甘いボスとても好きです。
    リケが、お勤めを最後まで果たさせるために、なのかもしれませんがブラと最後まで一緒にいたみたいなのがとてもニコニコしました。
    「帰ったらネロにもチョコをあげるんです!」と目をキラキラさせて言っているリケを眩しそうにみて、無造作に頭を撫でて「そうかよ」ってほんの少し柔らかい微笑みを浮かべるブラ。
    そんな表情をみて少し考えてから、きらきら真っ直ぐな目でリケが「ブラッドリーも一緒に渡しましょう!」て言うよね…どきっとしつつ、なんで俺様が、っていうブラに「きっとネロも喜びます。日頃たくさんおいしいものを作ってもらっているのだから、お祭りの夜くらい感謝を伝えてもいいでしょう?」って正論を突きつけるリケいませんか?
    ボス、リケの言葉に背中を押されて、深夜、ネロの部屋に 523

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    ada

    REHABILI盗賊時代のブラネロの話 / 捏造注意 / 身体の関係がある遠い噂で、西の国で絢爛豪華な財宝や金品が展覧されると聞いた。筋は確かな情報のようで、近頃街が色めき立っている。こんな美味い話、頭が聞き漏らす訳もなく作戦は決行された。
     盗むのは自らの手が良いと宣う頭に付き合うのは相棒であるネロの役目だ。招待された者しか入れないというその会場である屋敷に、招かれた客と偽り出向く事になった。
     普段は見てくれから粗暴なのが分かるような男の出立ちだが、今回は仕立て屋で身を整える気の入り様から、潜入すらも楽しんでいる事が分かる。正直、動き易ければ拘りのないネロだが、ブラッドリーは長考し続けネロを着せ替え続けた。
    「よし、いいんじゃねえか」
    「これが駄目でももう着替えねえぞ」
    「なにくたびれてやがる、早えんだよ」
    「俺は今回従者なんだろ? なら別になんだっていいじゃねえか」
    「あのなあ。従者がどんなモン着てるかで主人である俺の程度が分かるだろ」
     従者の装いという事で首が詰まっているのが息苦しい。仕上げと言わんばかりにタイを手際良く締めるブラッドリーはずっと上機嫌だ。
    「よし、あとはお前が俺様に傅きゃ完璧だな」
    「馬鹿言え、やんねえよ」
     頭の機嫌がいいに越し 2630

    cross_bluesky

    PROGRESSパラロイ本(ブラネロ)の冒頭部分。
    CRITICAL ERROR 鳴り響くエラーメッセージ、動かなくなるボディ。辛うじて稼働していた聴覚センサーが最後に拾ったのは、見知らぬ男の声だった。

     高層ビルの真ん中を薄紅色の花弁が舞い、眩しい光と音に溢れたネオン街──フォルモーントシティ。そこでは人間の他に、アシストロイドと呼ばれる人の手によって作られた機械たちが暮らしている。
     整備と機械化の進んだハイクラス・エリアとは違い、階級社会の底にあるワーキングクラス・エリアには治安の悪い場所も決して少なくない。法の目をかいくぐった非合法な店が立ち並ぶ中、管理者不明のアシストロイドたちはメンテナンスもされず、ただ使い捨ての道具のように各々の役目を全うすべく働かされていた。
     ──フォルモーント・シティポリスのもとに大規模な麻薬取引のタレコミが入ったのは夕方過ぎのことだった。ワーキングクラス・エリアの歓楽街の一角で、違法アシストロイドたちと引き換えに、隣接したシティから大量のドラッグが持ち込まれるという。人の形を精巧に模したアシストロイドは高値でやり取りされるのだ。特に違法アシストロイドは、人の心に取り入りやすいよう愛らしい見目をしているものが多いから尚更。
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    DONE魔法舎で猫と戯れるファウストを見たり、ぐるぐるしたりするフィガロな感じです

    フィガファウ?フィガファウな気持ちで描きました
    【フィガファウ】猫になれば猫になれば


     ふ、と集中力が途切れた。情報の塊として脳内で処理されていたものが紙面に書かれたただの文字の羅列に感じられ、フィガロが落としていた視線を上げると、俯く形で固定されていた首がわずかに軋む。筋を伸ばすように首を軽く回し、膝の上に広げていた書物を栞もはさまず閉じた。
     フィガロが腰を落ち着けている1人掛けのソファは、中庭を臨むことができる窓際に置かれたものだ。右手で書物の分厚い表紙をなぞりながら、肘掛けに左腕で頬杖をつき、なんとはなしにガラスの向こうに目を向ける。天井高に大きく取られた窓には一定の量の光しか入らない魔法がかけられているため、図書室に比べて外は明るく見えた。
     最近任務が立て込んでいたこともあり、たまには息抜きも必要だと、今日は授業も何もかも休みにすることにした。中央の国もそうしましょうとオズに持ちかけ休日を得たリケとミチルは中央の国の市場に行っている。カインとルチルとレノックスも共に出かけて行くのを見送ったのは、日が昇ってすぐのことだった。
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