Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    anri_maho

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🔫 🍴 💖 💍
    POIPOI 17

    anri_maho

    ☆quiet follow

    7/13新刊『厨房令嬢と強面旦那様』のおまけ小話です。
    ブラッドリーさん視点の本編中のとある夜のお話。
    すけべありません!申し訳ない!

    #ブラネロ
    branello

    厨房令嬢と強面旦那様(おまけ)「マジか……」
     ブラッドリーは隣ですやすや寝ているネロにため息を吐いた。
     気配には敏感なたちだ。隣の部屋でバタバタ音がして、何事かと飛び起きた。別に起こされたことに不服はない。ないのだが……。思わずブラッドリーは苦い表情を浮かべた。つい先ほどの会話が思い出される。
    『襲われても文句言うなよ?』
    『言いません』
     ネロはそう言い、ブラッドリーの胸元に丸まった。
     はっきり言って、そういう意味なのだろうと解釈した。だがこっちを見ないな、などと様子を見ていたらこの有様だ。ブラッドリーは何度目かのため息を吐いて、ネロの髪を撫でた。奥様は気持ちよさそうに眠っている。
     料理の腕前は言わずもがなだが、気が利くところ、意外にも胆っ玉が座っているところなんかをブラッドリーは気に入っている。自分に自信がないところはたまに傷だが。
     ブラッドリーはネロの顔を覗き込んだ。俯いたまつ毛と柔らかそうな唇がこちらを誘惑してくる。寝ている間にこちらがなにかするとは考えていないのだろうか。下町娘なのか、箱入り娘なのかときどきわからなくなる。いっそ叩き起こしてやろうか。
    「ネロ」
     その名を呼んでみた。寝息が聞こえるだけでやはり目を開けない。
    「ネロ」
     青灰の髪に指を通して、気まぐれに自分の指に巻きつける。解けばそれはすとんと落ちて、しっかり手入れがされているのを示していた。晶はまだ世話したりないらしく、ときどき不満を漏らすが。
    「……ネロ」
     その瞳が開かないことを残念に思って、ブラッドリーはネロのこめかみにキスを落とした。これくらいは許されるだろう。
     ブラッドリーはネロを抱き込んで、眠ることにした。
     おやすみ、愛しい奥様。よい夢を。

     ◯

     気配には敏感なたちだ。胸元に埋まったそれがもぞもぞ動き出したことで、ブラッドリーは目を開けた。
    「ネロ?」
    「ん……」
     ネロはまだ半分夢の中にいるらしかった。目を開けたり閉じたりを繰り返す。時間はわからないが、まだ寝ていたっていいだろう。ブラッドリーはネロの頭を撫でて寝かしつける。
    「まだ早いだろ、寝てろ」
    「……うん」
     ネロが安心したように頷いて、ブラッドリーの胸元に丸まる。その様が妙に可愛らしくて、ブラッドリーはネロの頭のてっぺんにキスをした。するとネロがのそりと顔を上げる。目は開いているが、いつもの半分くらいしか開いていない。
    「……だんなさま?」
    「おう」
     ネロはここはどこだろうと、辺りを見渡した。しばらく周囲を確認していたと思ったら、みるみる覚醒し、顔を青くする。「ごめんなさい」と言われるだろうなと思ったので、ブラッドリーは先にその身を強く抱きしめた。ネロが身体を強張らせる。
    「だ、旦那様!?」
    「いいから」
     ブラッドリーはわざとあくびをひとつした。昨晩ブラッドリーを起こしたことをわかっているネロは、申し訳なさそうな顔で大人しくなる。
     ブラッドリーは満足度げに笑い、目を閉じた。
    「おやすみ、ネロ」
    「……おやすみなさい」
     ネロがか細い声で答える。ブラッドリーは幸せな二度寝を享受した。
     
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞💯💯💯💯💯💒💒💒❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    anri_maho

    DONE5/4スパコミ『賢者の超マナスポット2025』で配布した無配です。
    アクスイブラネロの、私はブラッドリー視点を担当しております✨
    ティカ様に、ネリーの正体の探りをいれる話です。
    一緒に合同誌をした葵さんのお話とリンクしているので、そちらもご覧いただければ嬉しいです☺️
    葵さんのアクスイ↓
    https://poipiku.com/3192399/11688424.html
    【5/4スパコミ無配】アクスイ(ブラッドリー視点) 約束の時間にそいつは現れなかった。すっぽかされたのかと思いきや、「ごめんね。少し迷ってしまって、もうすぐ着くよ」とメッセージが入っていた。そしてもうすぐ着くとあったのに件の男、ラスティカが到着したのは待ち合わせの三十分後だった。
    「ごめんね。待たせてしまったかな?」
    「先にやってたから、気にしなくていい」
     テーブルには、すでに俺が勝手に注文したシュニッツェルなどが並んでいる。店員を呼び、俺は二杯目、ラスティカは一杯目の酒を注文した。店員が静かに扉の向こうに消えていく。
     完全個室のイタリアンだ。店員たちも、こちらが芸能人とわかっていても騒いだりしない。口の固い店員しか採用されないのだろう。ここは、そういう店だ。俺はまだわずかに残ったビールを煽った。
    2809

    related works

    44_mhyk

    SPOILERイベスト読了!ブラネロ妄想込み感想!最高でした。スカーフのエピソードからの今回の…クロエの大きな一歩、そしてクロエを見守り、そっと支えるラスティカの気配。優しくて繊細なヒースと、元気で前向きなルチルがクロエに寄り添うような、素敵なお話でした。

    そして何より、特筆したいのはリケの腕を振り解けないボスですよね…なんだかんだ言いつつ、ちっちゃいの、に甘いボスとても好きです。
    リケが、お勤めを最後まで果たさせるために、なのかもしれませんがブラと最後まで一緒にいたみたいなのがとてもニコニコしました。
    「帰ったらネロにもチョコをあげるんです!」と目をキラキラさせて言っているリケを眩しそうにみて、無造作に頭を撫でて「そうかよ」ってほんの少し柔らかい微笑みを浮かべるブラ。
    そんな表情をみて少し考えてから、きらきら真っ直ぐな目でリケが「ブラッドリーも一緒に渡しましょう!」て言うよね…どきっとしつつ、なんで俺様が、っていうブラに「きっとネロも喜びます。日頃たくさんおいしいものを作ってもらっているのだから、お祭りの夜くらい感謝を伝えてもいいでしょう?」って正論を突きつけるリケいませんか?
    ボス、リケの言葉に背中を押されて、深夜、ネロの部屋に 523