冬の朝「ねぇ、れおくんさぁ。そろそろ起きたらどうなのぉ?」
返事の代わりに、ぎゅっとお腹に回された腕に力が加わった。まだ起きる気はないらしい。
「休みだけどさぁ。いつまでベッドにいるわけぇ?」
「だって寒いんだもん! ここで楽園あり桃源郷でもある! とにかくおれはここから出ない!」
「あ、起きた」
「嘘です。寝てます」
「じゃあ寝てていいから、手どけてよねぇ。そろそろ朝ご飯食べたいんだけどぉ?」
「やだ! セナという湯タンポがいなくなったらこの布団の暖かさも半減? いや、それ以上だ! それはおれが許さない!」
「れおくんに許されてもねぇ」
寝起きから元気すぎる。おそらくだいぶ前から起きてたんだろうと思う。
「だいたいなんだ!? おれの方を向かないでスマホばっかり見て! セナはいつからスマホさんちの子になったんですか!」
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