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    sayutaba18

    @sayutaba18
    ライハを愛してる女。

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    sayutaba18

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    いずレオ短文。初詣に行く話を書こうと思って、その手前までになってしまった。

    #いずレオ
    izuLeo

    初詣「れおくん! ちょっと! いつまで待たせる気なの!?」
    「えっ!? おれ、セナとなんか約束してたっけ? フィレンツェに帰るのは明日だろ?」
    「いいから早く! 上着着て玄関口に来てよねぇ! 今すぐ!」
    「えぇ? う、うん……?」
     そろそろ正月ボケもしていられない昼下がりのことだ。共有ルームでのんびりと作曲をしていたら、突然セナの怒鳴り声がしたので、思わずペンを放り投げて飛び上がってしまったのだ。おかけで音楽は消えるし、目の前には般若の顔をしたセナが立っている。まずい状況なのは確かなんだろうけれど、なにがセナの逆鱗に触れているのか、皆目検討がつかない。
     パタパタと廊下を勇み足で進み、コートを手に取って玄関口へ向かいながらしばらく考えていたものの、これといって思い当たる節がない。昨日はセナに会っていないし、お正月は軽く顔を合わせただけで、特に会話もしていなかったはずだ。
    「色んな事でプリプリ怒るセナだけど、本気でわからん……」
     う~んと唸り声をあげながら目的の場所へ着くと、腕を組んで壁に寄りかかって待っているセナがいた。
    「セナ~。おまたせ~?」
    「タクシー呼んで待てせてるから、外に出て」
    「ん、んん?」
     今からタクシーで移動するらしい。どこかに行く約束なんてした覚えもなく、未だ頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ。ひとまずセナに続いてタクシーに乗り込むと、運転手さんの声掛けと共に車が発進した。セナはあらかじめ行先を告げていたようで、おれには目的地がてんでわからないままだ。
     車内は静まり返り、暖房がついているはずにのに心なしか冷たい空気が流れた。ひたすらに窓の外を眺めているセナに、呑気にどこに行くかを尋ねる雰囲気でもなかった。
     気まずい。気まず過ぎる。することがないので、おれも自分のシート側の景色をぼんやり眺めていた。すると、太ももの上に力なく置いていた手に、ツン、と何かが触れたのだ。視線を下へ移すと、セナの白い指がゆっくりとおれの指に覆いかぶさって、きゅっと握ってきたのだった。
    「えっ!?」
    「静かにして」
     セナの方を慌てて見ると、ピシャリと低く冷たい声が返ってきて、それ以上は何も言えなかった。冷たいセナの手を握り返して、じんわりと暖かくなっていく体温をじっと眺めていた。

    「ん、ここ……神社?」
    「そう、神社。初詣行こうって言ったのに、あんた全然誘ってくれないから」
     タクシーから降りても半ば仏頂面だったセナが静かに口を開いた。
    「えっと……初詣行く約束してたっけ……? ごめん! 全然覚えてないんだよ~!?」
     ここは嘘をついても仕方がないということで正直に伝えると、盛大なため息とともに、だと思った。と返ってきた。
    「はぁ。あんたが作曲中に話しかけた俺がバカだった。れおくん『わかったわかったー!』って返事してたんだからねぇ!?」
    「えっうそ!? ごめんな!」
    「なのに! 明日フィレンツェ帰るって言うのにいつまでも誘って来ないし! 実家にいるのか寮にいるのかあんたの予定もよくわからないし! 明日帰るんだから今しかもう時間ないでしょ!? それなのにあんたときたら呑気に作曲して……だいたいれおくん、自分が彼氏って自覚あるの!? 付き合ってたら初詣くらい一緒に行くもんでしょ普通!?」
    「わっ!? ひゃ!? わ〜〜っ!?」
    「……なに? なんか文句あるの……?」
     一瞬目の前が真っ白になってしまった。だって、そんな……いや、紆余曲折あっておれとセナは最近になって晴れて付き合うことになったんだけど……確かに初めて迎えるお正月ではあった。まだその関係が恥ずかしくて、あんまりそれっぽいことも出来ていない気はしてたんだけれど……。
     もしかしてセナ、初詣行くのをとっても楽しみにしてたの、か……? もしかしなくても、絶対そうだ。じゃなきゃ車内で手を握ったりなんてしてこないはずだ。
    「いや、うん。おれが全面的に悪かった……反省するから、初詣楽しんでくれる?」
    「ふん。せっかく来たんだから当たり前でしょ?」
     言葉はまだ少し怒っているけれど、おれの手は囚われてセナのポケットに連れて行かれてしまった。素直じゃないおれの彼氏の横を、遅れないように並んで歩く。彼氏という響きが頭の中で木霊して、体温があがっていくのがよくわかる。すでにセナと繋いでいる手が、熱くて堪らなかった。
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    sayutaba18

    DONEクリスマスのいずレオ。今日はクリスマス。骨つきで購入しておいた鶏肉に朝から包丁で切り込みを入れ、皮にフォークを何ヵ所も突き立てて下処理を終えた後、調味液に漬け込んでから仕事へと向かった。
     帰宅後は、ブロッコリーとミニトマトで簡易的なクリスマスツリーに見えるように盛り付けをし、ハムを星形にくりぬいて散りばめた。キャベツ、人参、たまねぎをくたくたになるまで煮たたせたコンソメスープも作ったので、これで今日の野菜摂取量とカロリーも大丈夫だろう。ここでシチュー系をリクエストされていたらカロリーオーバーになるところだった。主食は米かパンか悩んで、折角だからと帰りにパン屋に寄って中が軟らかそうなフランスパンを買った。もちろん既に食べやすい大きさに切り分けてある。オーブンを充分に温め、あとは仕込んでおいた鶏肉を焼けば、ローストチキンの完成だ。
     ……時刻はもうすぐ19時だ。これだけの量を食べるのならば、20時までには食べ終えておきたい。クリスマスだからといって自分を甘やかすほど能天気でもないのだ。ケーキは昨日ユニットでクリスマスパーティーをした時に、わざわざ凛月が焼いてきてくれたものを食べたのだから、本音を言えば今日は軽 2978

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