抱きしめ損ねる『俺は自分の布団でしか寝れないし、今日は布団が一個しかないから仕方なく隣で寝転んであげるけど、半分からこっち入ってこないでよねぇ! あと明日寝不足になったらあんたのせいだから!』
「……って言ってたのはどこのどいつだよ~」
呟いても、背中の向こうから返事はない。初めてセナが家に遊びに来て、思いの外盛り上がってしまったのでそのまま泊まって欲しいと懇願した結果、不機嫌なんだかよくわからない様子で吠えられた。
フン、と鼻を鳴らした後に、くるりおれに背を向けて、セナは肩まできっちりと布団をかぶって、静かになったのだ。
初めて友達が遊びに来るというイベントに興奮が抑えられなくて数曲作ってしまったし、一緒にご飯を食べるのにもテンションの昂りが抑えられなくて、何度うるさいと言われたことか。
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