熱帯魚の見る夢運ばれてきた瞬間から、ただちにぬるくなるビールの小瓶を、大して急がずちびちびと減らしている。●△%は地面を這う不快害虫を、気まぐれを起こしたタイタンのように足を上げて通してやって、下卑た笑みを浮かべた。その表情は不思議とどこか可愛らしい。
「そりゃ、マッサージって言ったら、そういうことよ」
●△%は照れ隠しかのように瓶をあおり、次に言い訳のようにこちらに水を向けた。
「本田さんも男の子なんだから分かるでしょ?」
「まあ」
虚勢だった。異常に女性を好み、異常に性的欲求が強いよう振る舞うことが、男同士の仲間の証になるシーンはどの国でも多い。菊はそのたび無理をしている。それが苦痛だと誰かに告白したことは、まだない。
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