「納得させるさ。後継者を産むのはお前にしかできないことなんだから」
「そうでしょうか?一度孕んだなら何度でもできると思われるのでは?この子を諦めて孕みなおせと言われるのでは?」
「ネム」
「お姉様。私はこの人と行きたいのです」
ネムの声は柔らかく、そして断固としていた。ユエには何故それにこだわるのかを理解しかねる。ネムが強いられてきた幾多の夜がその理由であるというのならば、理解できないことでもないが。
「……では、出て行け」
沈黙の果て、ローザリエこ声は厳然としていて冷たかった。ユエの方が狼狽えそうになったが、ネムの微笑は崩れない。
「役目を放棄すると言うのならばお前を置いてはおけない。わかるな」
「——ええ、お姉様」
「おい、……」
早々に出された結論に、ユエの方が動揺した。その時にはもうネムの手が腕に絡み、エスコートをせがまれている。