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    👔安ピク(安原スナ×紙芝居新スナ)🌸
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    【安ピク】
    『中指からアイ・ラブ・ユー♡』
    Day.3 1/5

    谷のしらべ2展示作品です。
    パスワードはピクリエオンリーイベント「谷のしらべ2」の「ムムリクエリア【C7】ももいろ♡ふぉーちゅん」のお品書きにて記載しております。

    #安ピク
    #安紙
    #安原スナ×紙芝居新スナ
    #谷のしらべ2
    #展示作品
    displayWorks
    #ピクリエ

    11戦目★寝込みを襲うのは襲われる覚悟がある奴だけだ陽だまりが心地良い昼下がり、人里離れた草原に身を預け安原が寝転んでいた。
    無防備に寝転ぶ安原を見つけたピクは傾斜の草原を降り安原の顔を覗き込む。
    「安原ぁ」
    頭上から名前を呼んでみるが応答はない。
    「やーすーはーらぁ」
    耳元で名前を呼んでみるも一寸も反応しない所を見るとかなりぐっすり寝ているのかと納得したピクは昼寝に勤しむ安原の顔をじっと見つめてみる。
    瞼を閉じ気の抜けた顔で昼寝に勤しむ安原の寝顔は幾分か幼く見え、普段の仏頂面とのギャップに思わず小さく吹き出すピク。
    「寝てるのかい?君は一度寝ると中々起きないからなぁ……」
    眠りこける安原の頬を指で突いているとピコン、と頭上の豆電球が光り、おもちゃを見つけた猫の様ににんまりと微笑む。
    「やーすはらぁ」
    ピクは安原の隣に屈み、その無防備な耳元に吐息が掛かるほど近づけ、そっと名前を呼んでみる。
    出来るだけ声を抑え。吐息が耳を包み込む様に囁くのがキモなのだ。
    「安原のばーか、あほ、へーたれっ」
    安原の耳元で思いつく限りの稚拙な悪口を吐息交じりに囁く。一度寝ると中々起きないと定評のある安原は当然びくともしない。
    「へへっ……」
    してやったり、と上機嫌なピクは待てよ、と一度安原の耳元から離れ考える。
    どうせ眠りこけて何にも知らないし覚えていないのだ。ならば普段言わない事も言ってしまえば良いのではないのか?
    ピクは再度周囲に誰もいないか念深く確認して、さっきとは打って変わっておずおずと安原の耳元に近づく。
    右頬にかかった髪を耳に掛けながら、つぶらな唇で更に小さく呟いた。
    「……スキ」
    ほんのり染まる頬。ピクは吐息交じりに続ける。
    「スキ、ダイスキ、安原……」
    恥ずかしがり屋の小さな口から紡がれるのは普段は絶対に言ってやらない"好き"の言葉達。
    "好き"の言葉を囁く自分の声がうんと甘く蕩けた声になっている事に気づいているのだろうか。
    「……愛してる」
    そう口にした瞬間、ピクの視界は180度反転した。
    「ふぎっ」
    くすぐったい若草を背に寝転ばされたピクに大きな影が落ちる。
    「だぁれがヘタレだって?」
    ピクに影を落とし目の前に被さったのは大きな口の口角をニヒルに上げて笑う安原だった。
    突然の形勢逆転に理解が追いついていないピクは大きな瞳をぱちくりと瞬き、二、三回瞬いた後してやられた状況を理解してかぁっと顔を熱くした。
    「安原っ!?起きてたのかい?!いつから?!」
    「お前が俺の顔をつっつき回してた辺りから」
    「ほぼ最初からじゃないか!」
    狸寝入りとは卑怯じゃないか!と自分の下で喚くピクに揚げ足を取ったと言わんばかりに得意げに笑う安原。
    「何が卑怯だ、人が良い気分で昼寝してるのを良い事に好き勝手言ってくれたじゃないか」
    「うぐっ……」
    「ばぁか、あほ、頑固、意地っ張り、脳内お花畑」
    「なんだか増えてるんだけど?!」
    自分に被さったこれでもかという程のドヤ顔の安原に鸚鵡返の如く浴びせられたピクは屈辱に奥歯を噛み締める。
    「後はなんだったか……ああ、そうだった」
    ここで安原は王手と言わんばかりに口角を上げ、頬にかかった太陽色の髪を左耳にかける。
    露になったピクの左耳元に寄り添い、小さな声で囁いた。
    「スキだ」
    煙草の匂いを纏った吐息がピクの左耳を支配する。
    「ちょ、や……」
    「スキだ、大好きだ」
    「やすはらっ」
    「なんだ、顔を真っ赤にして。恥ずかしいのか?自分が俺にやった事をやってるだけだが?」
    「〜〜〜っ!!」
    林檎の様に真っ赤な耳元で囁かれる愛の言葉にたじろぐピク。完全に形成逆転となり白星確定とニヤリと笑みを浮かべる安原は更に囁きを続ける。
    「耳まで赤くして……かわいい奴」
    微笑み交じりの吐息をかけられ、ピクの薄い肩がビクンと飛び跳ね、うるみ膜を張った瞳で安原を睨みつける。
    ピクは安原の声に弱い。低く重い声だが空風の様に軽やかな声が煙草の匂いが混じる吐息と共に耳元で囁かれれば反撃の手立てが無い。
    この男はそれを分かってやっているのだからタチが悪いのだ。
    ――そんな目で睨みつけても俺を煽ってるだけだぜ。
    手の出しようが無く真っ赤な顔で震えるピクの熱った頬に触れ、薄ら浮かべた涙を親指で掬った安原は喉奥でくつくつと笑った。
    ――耳元で囁かれた俺の気持ちを思い知れ!
    「愛してる」
    勝った。そう確信した。
    やられっぱなしは癪に触る。ならば多少気障な仕草でもやり返す方がいいじゃないか。
    熱の孕んだ愛の言葉を受けたピクはピタリと固まってしまった。
    少しやり過ぎたか、いや、これくらいやったってバチは当たらない。そう得意気に口角を上げた安原だがその余裕は突如襲った脇腹の痛みによって見事に崩れ去った。
    「ってぇ脇腹摘むな捩るな!!」
    「うるさい安原の癖に、安原のクセに!!」
    安原の脇腹に集中攻撃を仕掛けたピクの照れ隠し。囁き合ったあのムードは何処へ行ったのやら、その行方は流れるそよ風にも分からない。

    本日の勝負、安原の逆転勝ち。
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