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    花吐き病🎈🌟

    #類司
    RuiKasa

    好きな人を見て、吐き気がした。


    _____

    きっかけはなんだっただろう。

    始めは覚えていないが、自覚は覚えている。
    大人びた表情が何かを見て頬を赤く染める。
    その横顔に、何か重たいものが心に落ちた。

    ごろり。ずどん。どろどろ。

    落ちた拍子にそれが割れて、半分甘いもの、半分苦いもので心を満たす。
    最初は半々だったそれが、だんだん、だんだんと、類の甘く弾んだ声を聞く度に、苦くてたまらなくなった。


    その、苦味が心から溢れた。
    花となって、口から溢れた。


    司は咳き込む。
    心から。
    喉から。
    口から。

    ごぽ。ごほ。と想いと涙が溢れた。

    止まることなく溢れたそれを類に見せることは絶対にできない。

    仲間。友人。

    そんな枠組みから外れたいと、特別な存在になりたいと願った自分を見せたくなかった。
    類はきっと優しいから、悩ませてしまう。

    ギスギスと関係にヒビが入れば。
    距離を置かれてしまえば。
    恋にうつつを抜かす、普通の人間だと思われれば。
    期待を、されなくなってしまえば。


    さあ、っと血の気が引いた。

    嫌だ嫌だ嫌だ!!! そんなこと、絶対に嫌だ!
    耐えられない!!!!
    2度もあんな冷たい目で見られれば!
    きっと、いや、絶対に、自分の中の何かが壊れる。


    だから、花を飲み込んだ。


    苦くて、苦しくて、嗚咽を零して形になった恋心を潰すように飲み込んだ。

    溜めて溜めて溜めて。

    全部、これからの未来の為。
    例え、想いが溜まって詰まらせて死んでしまっても。

    「……オレは、未来のスターだ。平気な演技は得意だろう。」

    それすら本望だと、そんな未来を願う天馬司は歯で噛み砕いて、花と一緒に飲み込んだ。

    血を流して、
    涙を流して、
    悲鳴をあげて、

    そんな自分の本心には蓋をして隠してしまった。
    最善だと思ったそれが寿命に関わる事だと知らず。








    花吐き病とは、片思いが原因でなる病気だと、担当医は言っていた。

    「治すには両思い、か。」

    司は脳内が絶望一色に染まった頭を抱えた。
    多分、
    と言うより、100%、いや、12000%無理な解決法だった。

    何せ、司は知っている。

    想いの人が、自分を意識していないこと。
    想いの人が、別で好きな人がいること。

    叶う事も、実る事もない恋をどうやって成就させるのか。
    頭の良い人に聞きたいところだが、知り合いで頭が1番に良い人は想いの人、類である。
    ぼかして本人に相談する事も出来るが、相手はその一番頭が良い人。
    追加をすれば察しの良い人。
    正直、嘘を貫き通す自信は珍しく司にはなかった。


    「うぬぬ、だからと言って思いを忘れることも出来んだろう…。どうすればいいんだ……。」

    深く深く根付いた自分の本当の思いを忘れた経験はあるが、類の顔を見る度に自覚する恋心を忘れられるほど、司はそんなに忘れん坊ではない。

    ここ1週間ほど花を吐いていた口から、重たいため息が出た。

    花を吐くだけならいいのだ。
    花を吐く時は確かに苦しいが、恋心が胸を締め付けるあの苦しみよりはずっと楽だ。
    嘔吐感で生み出される生理的な涙が心をほんの少しだけ軽くしてくれるから。

    違ったのだ。
    医者が言うには、この可愛らしく思える花吐き病には死人が出ているという恐ろしい一面を持っていた。

    花を詰まらせて死んだり、咳をしすぎて呼吸困難に陥り死んでしまったり。
    人によっては、自覚の度に咳き込む花吐き病に耐え切れずに自殺をしたり。

    未来のスターを目指す司にとって、この花吐き病は支障をきたす、そんな病だった。
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    PROGRESS※18歳未満閲覧厳禁※

    2024/5/26開催のCOMIC CITY 大阪 126 キミセカにて発行予定の小粒まめさんとのR18大人のおもちゃ合同誌

    naの作品は26P
    タイトルは未定です!!!

    サンプル6P+R18シーン4P

    冒頭導入部とエッチシーン抜粋です🫡❣️

    あらすじ▼
    類のガレージにてショーの打合せをしていた2人。
    打合せ後休憩しようとしたところに、自身で発明した🌟の中を再現したというお○ほを見つけてしまった🌟。
    自分がいるのに玩具などを使おうとしていた🎈にふつふつと嫉妬した🌟は検証と称して………

    毎度の事ながら本編8割えろいことしてます。
    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
    苦手な方はご注意を。

    本編中は淫語もたくさんなので相変わらず何でも許せる方向けです。

    正式なお知らせ・お取り置きについてはまた開催日近づきましたら行います。

    pass
    18↑?
    yes/no

    余談
    今回体調不良もあり進捗が鈍かったのですが、無事にえちかわ🎈🌟を今回も仕上げました!!!
    色んな🌟の表情がかけてとても楽しかったです。

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    窓から見える風景には、まだ慣れない。

    去年ここに引っ越してきて以来、いい加減慣れてもいいと思うのだがこの場所に住んでまだ一年半ほどだ。

    湿った空気は、生暖かった。

    カーテンを閉めて電気を消す。瞼を閉じても、左目は、ちかちかと光を追っていた。

    司に初めてバースデーカードが贈られるようになったのは、今から四年前のことだ。

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    3446

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    演出を寧々と話している類の姿を横目で見ながら、脚本に目を落とす。
    そこに書かれた文字も上手く頭に入ってこず、ひっそりとため息をついた。





    最近、類が意地悪だ。


    どうも、振り向いた際に頬に人差し指を指す、というよくあるやつにハマってしまったらしく学校でも、ショー練習の休憩時間にも、事あるごとにやろうとしてくる。

    怒ろうにも、何故かそれをやる類が矢鱈と嬉しそうで、怒るに怒れない。

    ならば引っかからないように警戒する、という手もあるが
    警戒しようにも、自分の悪い記憶力ではすぐ抜け落ちてしまい、何回も何回も引っかかってしまう。

    そもそも類相手に警戒すること自体が難しい話なのだ。
    大切な、恋人。なのだから。





    どうにも手のうちようがなく、からかわれている感じがする今の状態がモヤモヤしてしまい、最近は演技も上手くいかない。
    当の本人はわかっていないのか、「悩みがあるんだったらちゃんと言うんだよ?」と言う始末だ。





    お前が!!!悩みの原因だと!!!いうのに!!!!







    眺めても全く文字が頭に入らない脚本から目を離し、再度類の姿を見遣る。

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