君と出会えた証 机のランプの明かりを頼りに紙にペンを走らせ、数式を書き込む。
図形を空いたスペースに書き込もうとした時、カチャ、と背後で扉が開く音がした。
「先生、まだ起きていたんですか? もう、また倒れますよ」
「……ん、ああ、君か」
ルカはペンを置き、振り向くと二年前から弟子として迎えた男性が呆れた様子で歩み寄る。
「そろそろ寝て下さい、先生。もう若くないんですから」
「歳の話はしないでくれ……と言いたいところだが、そうだなぁ……確かにそろそろ眠ろうか」
机に手をついてゆっくりと立ち上がり、ぐしゃぐしゃになったベッドに向かっていくと、弟子は「ああもう、またシーツを洗濯に出さなかったんですか……」とため息をつく。
「まぁ寝れるから大丈夫さ」
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