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    けがわ

    @kawaii_hkmr

    文字書いたり、あまりないと思いますが絵を描いたりします

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    けがわ

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    飲酒ネタはなんぼあっても良いですからね

    ヨウラ自慢の視界がぼやけ、頭が自棄に重たくなった気がする。正常な判断が出来ていないことが分かることが唯一の救いだろうか。何故だか足取りも覚束ないし、瞼が落ちてきて何時もみたいに開くことが出来ない。吐く息が熱い、体全部が熱い。私はどうなってしまったのだろう。

    「飲み過ぎだ、イライ。」
    「なわー・・・ぶ。」

    既に宴会の邪魔であると酔いつぶれたサバイバー達は、長机の隅に追いやられて行っている。私はと言うと、勿論その仲間入りのように最初は水を配って歩いていたと言うのに、いつの間にか進められるがままにグラスを傾けておりこの様だ。ミイラがミイラ取りに。まさにその通りで、私もいつの間にやら介抱さえる側の席へ突っ伏していたのだった。

    ナワーブは優しい、いつも適格な救助をしてくれるし、判断力にも長けている。皆から尊敬の念を抱かれるのも不思議じゃない。そんなナワーブが私にまで気を使ってくれるなんて。本当にナワーブはかっこいいなぁ。
    「凄く酔ってるな・・・。もう水を飲んで部屋に帰れ。そもそも、私にまでって言うか、お前くらいだからな、こんなに気を使っているのは。」
    はあ、失礼な。私はまだ酔ってないよ。それに他にも酔いつぶれたウィリアムや、マイク君が転がっていると言うのに、君が声をかけるのは何故私なんだ。私は成人している。しっかりしているんだ。
    「ああ、いつものお前ならな。良いから飲め。俺は短気なんだ。」
    自らを自虐して、イライラを隠そうとしない態度に私はまた笑った。ナワーブ、怖いなぁ。小さいのに迫力があるよ。
    「全部口に出ているからな。」
    私はきょとんとした顔をした。え、独白だと思っていたが全て言葉に出ていたのかい?それはやらかしてしまったな、じゃあ小さいと言ったこともばれてしまったよ。ははは。

    ナワーブは盛大に顔を顰めると、私の手からグラスを取り上げた。「ああ、私のお酒が!」そう言った私の手は宙を切った。立ち上がってもナワーブの動きが速すぎて追いつくことも出来ない。子供のように頬を膨らまして一向に返す気配の無いそれを何度か追いかけたが、触れることも出来なかった。
    「こんなのも取れないようじゃ、やっぱり部屋行きだな。」
    ナワーブはそう言うと私の腕を掴んで、私をぐっと力を入れて持ち上げた。強制的に重い腰を上げたが、動いたことでぐらりと視界が揺れる。世界がぐるぐると回る感覚に、一瞬机に手を置いてバランスを取るとナワーブが私の肩を掴み「大丈夫か?」と支えられる。小柄ながら、逞しい体に同じ男として惚れ惚れする。得に恋人としては鼻が高い。へらりと笑うと「大丈夫らよ。」と言葉に咬んだことで、呆れたような視線を向けられたが、ナワーブはそのまま私の腕を持って歩きだした。
    足取りがおぼつかず、廊下をふらふらと歩く私を掴んだと思うと手を引かれる。ナワーブを前にして陽気になった私は、「さっき、アンドルー君が来てね。一口で酔いつぶれてしまったんだ。面白いよね。」「ウッズさんがね、意外にも酒を飲める年頃だと言うことに驚いたよ。女性の年齢を気にするのは失礼に値するかと思っていたんだが。」と、ぺらぺらと話が止まらない。煩いだろうか、とも気にしたが振り返ったナワーブは口元だけ穏やかに笑っており、嫌な感情は持ち得ないのだろうなと思いほっとする。いつの間にか繋いでいた手は、グローブごしに彼のぬくもりを感じて心地が良い。

    いつの間にか到着した自分の部屋は勝手知ったるものだったが、やけに扉が暗く重く感じた。相棒も待っていると言うのに、何故だろうか。私はナワーブの手をきゅうと握り返すと、勘違いだろうか、彼もぎゅっと握り返される。ああ、もしや同じ気持ちなのではないだろうかと熱に浮かされた頭が判断する。
    「ねえ、ナワーブ。酔っ払いだからと言って雑に聞かないで欲しいんだけどね。」
    「お前の言うことで雑に聞いたことは無いだろ。」
    「嘘つき。さっき私に、自分は短気だとか言い放ったくせに。」
    「・・・恋人の無防備な姿を、多数に晒されるのは怒るだろ。」
    「あ、そういう・・・。はは・・・。」
    他愛も無い会話は直ぐに終了する。そうして静寂が訪れる。次に出る言葉は分かっているのだ、優しいナワーブは私の体を気遣って、「しっかり寝ろよ。」とか「水を飲め。」とか言われるんだ。そして送り届けさせられる。そして今日は部屋のベッドへ帰って、一人でシーツに包まるのだ。
    「嫌だな・・・。」
    「ん?」
    感情のままに咄嗟に出た一言は、思いの他大きく、そして悲し気に床に零れた。もともと五感の鋭いナワーブが聞き逃すはずがない。ドアノブを掴んで俯いた私の顔を下から覗き込む。目隠しの布がしているのだから、表情は読みにくいと言うのにこうして探ってくれることは、場合によっては肝が冷えることもあるが今は単純に嬉しかった。
    私の返事を待つナワーブに向かって、私は首を傾けた。普段は警戒心の強いナワーブも私を無害なものと認め、向き合っても眉を下げてじっと私を見上げた。私はナワーブのフードを掴むと、熱を孕んだ唇のままに、彼の唇を塞いだ。お互いのフードで見えないだろうと廊下で恋人にキスをするのは、私の人生においてよっぽど大胆なことであった。
    ナワーブの少し乾燥した薄い唇は気持ちが良い。不釣り合いなそれが引き合うようにくっつくと、今度は離すことが出来ない。首を担げて角度を変えてもう一度もう一度と、その唇に唇で更に触れる。気持ちいい、気持ちいい。何も考えられない。
    「ん・・・っ」
    己から出るはしたない吐息が廊下に響くことに罪悪感を感じる。人が来たらどうしようと思うのに止められない。ナワーブは私を静止するでもなく、薄らと目を開けて私を見つめていた。私はそんなナワーブの肩に腕を回すと、溶けてしまった瞳で縋るようにして口を開いた。
    「はっ、ねえ、ナワーブ・・・。」
    「・・・。うん?」
    ナワーブは私を見つめ返す。私の返事を待つ様は、一見優しく丁寧に感じるが、自らで堕ちてこいと言っているようにも感じる。私はそれに抗うことが出来ず、ぎゅうと強くナワーブを抱きしめた。

    「今日、帰りたくない・・・。」
    耳元で囁くと、ナワーブの体がぴくりと動いた。ナワーブと抱き合うのは気持ちが良い、と回る視界で抱きしめていると唐突にバリッと両肩を持って引きはがされる。私は文句を言ってやろうと口を開いたが、ナワーブの方から飲み込まれるようにして唇を奪われる。
    「んっ・・・ぅ、な、ナワーブ・・・っ」
    唇を乱暴に貪られたと思うと、「お前が悪い。」と呟いた。その声は低く、喉奥でぐるぐると呻くような音さえ聞こえた。野生の獣が獲物を定めたようなそれにゾクッと背中に寒気が走るような気配がする。そのまま手を引かれて、次はナワーブの部屋に連れていかれる。ドアを乱暴に開けられ、そのまま足をかけるようにして、少しばかり乱暴にベッドに投げ捨てられた。私が「痛っ」と小さく悲鳴を上げると、ナワーブの頭に上った血が引いていくのを目の前で見た。表情がみるみる内に、私を気遣う普段のナワーブに変わっていく。理性の塊のような彼は「・・・とりあえず、水を。」と今更私を気遣うようにして、ベッドとは反対側に歩を進めた。
    正反対に理性が働かない私は、動いたせいか更にアルコールが回り、その背中をぼーっと見つめた。甲斐甲斐しく水を運ぶナワーブをベッドに寝転がって見つめていた私に、ナワーブが机の上から飲み水を持って来てコップに注ぐ。とくとくと水が流れて、コップに満たされていく。それに反射するナワーブの姿をゆらゆらと見ていた。

    「飲めるか?イライ。」
    優しいナワーブ。可愛いナワーブ。私の我儘に振り回されて、私のことばかり気にしている。自分の本能を押さえつけて、恋人である酔っ払いの介護なんかしている。そんなナワーブをぐいと顔を近づけると、唇を指さして「飲めない。」と返事をして、笑った。分かるだろう、と言いたげに挑発的に笑ってやったのだ。
    「上等だ。この酔っ払いが。」
    ナワーブはひく、と顔を引き攣らせると、私の目隠しを剥ぎ取った。そして口に勢い良くその水を含んだと思うと、顔をずいと近づけてきた。私はにこりと笑うと、薄らと口を開けて情欲に塗れた介抱を向かい入れたのであった。
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