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    けがわ

    @kawaii_hkmr

    文字書いたり、あまりないと思いますが絵を描いたりします

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    POIPOI 21

    けがわ

    TRAINING
    隠し味は愛情ルカは冷めた硬いパンを奥歯でガリと噛み締めた。スープに浸せばいくらかマシになるものの、皮の分厚いそれは腹を満たせばそれで良い。脳に糖分を回すためと作業的に飲み食いすることに、特にこれと言った娯楽も無く、倒れない為にと生命活動の維持の為だけにそれを口に運ぶ。租借する、嚥下する、消化する。特に何も感じることは無い。ただ食事と言う行為だけに取り組んでいただけだ、と言うのに。

    コンコンコンとノックの音が三度響く。

    「ルカ、今良いか?」

    聞こえてきたのは、どこか幼げな印象の残る男としては高音の声。真っ黒い衣装に身を包んでいるアルビノの男は、ルカが「ああ。」と返事をすると恐る恐る扉を開けた。手が塞がっている為、足を使って入って来たのだが、器用にも扉が音を立てずに閉められる。トレイを持っている上には、今作って来たのか湯気の立ったスープと少量のサンドイッチが置かれていた。視界の悪いアンドルーは散らかった机に近付くとやっと申し分程度に残った食べかけのパンに気付いたのか、「あ。」と居心地が悪そうに持って来た食事を隠そうとした。ルカはそれを見逃さずじっと覗き込むと「美味しそうだな。」と笑った。
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    けがわ

    TRAINING内容が無いよう。穏やかで何でもない誕生日の話です。
    誕生日おめでとうの話今日のゲームは、良くも無く、悪くも無く。カールとルカとナワーブと僕。不思議な編成でレオの思い出の中で試合を行ったが、最後の暗号機が上がる頃にはルカが二度椅子に座らされていた。最後にナワーブが救助を行い、ルカは通電後すぐに荘園に戻されたが、その後カールが納棺したことにより、僕もゲートから出られ三逃げを取ることが出来た。
    荘園の椅子に戻ってくると、ルカは「椅子で飛ばされる感覚は、何度体験しても慣れないな。」と苦笑いしており、僕も「納棺も慣れたものじゃないけどな。」と言い返した。カールが待機部屋から出ていこうとしながら「納棺に文句があるなら、もうしませんが。」と僕に言った為、僕は怯んで肩を揺らし、素直に「す、すまない・・・。」と謝ると、カールはちらりと視線を残して無言で出ていった。ナワーブが僕の肩をポンと叩いて出ていく。ナワーブなりの励ましだと言うことが伝わる。寡黙で不器用ながら、面倒の良い男なのだ。ルカをちらりと見ると、僕の自業自得なのだが、人の不幸に対して、くすくすと笑いをかみ殺しており、「おい。」と窘めると、堪えきれないとばかりに引きつった笑いを漏らした。
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