Shenanigans ……ぴちょん。
ひそやかな水音に、ヒュンケルはうっすらと瞼を開く。
岩肌に揺れる蝋燭の光が眩しい。この部屋の、唯一の光源。
清潔な枕からそっと頭を持ち上げて、自分の身体を見下ろしてみる。
闇の中に浮かび上がる白い胸から、力なくシーツに投げ出された腕、裸のままの腰と、足先まで。
つい先日まで鋼鉄の輪がはめられていた足首には、もうなにも戒めるものがない。
そんなものが無くても、もはや逃げることが出来ないと分かっているからだ。
逃げる、という選択肢が思い浮かばないくらい、完全に壊れてしまったのだから。
今までになく伸びた銀色の髪の先に、何か触れるものを感じる。鈍重な視線を向けると、彼の恋人は寝台の脇にかしずいて、熱心に毛束を布で拭っていた。
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