あの事件から三年、私は中学校の入学日を迎えていた。覗く緑が多くなってきた桜は、そよ風に乗って教室の窓から入ってきた花弁が頬を撫でる。
入学式の緊張がとけたのか、担任になる先生の学校案内の説明を聞いていると、だんだんと眠くなってくる。あくびを隠すために首を丸めると、まだ体に似合わない制服の詰襟部分が刺さって息苦しさを感じた。成長期だからと、少し大きいサイズを着ているせいだ。
ふとあのときの、写真のダボついた制服姿の鶴丸さんを思い出した。
彼が中学生になってからは、あまり遊ぶことがなくなったのだが、今年
当時は他の公園で遊んでいた友達達は普通に鶴姉が男子だと知っていたらしい。というか、そもそも女の子だと勘違いしていなかった。私の方はそうしてかなり恥ずかしくなって勝手に気まずい思いをしたりしたが、鶴丸さんはその事実を知り、ひとしきりわらったあと、いつも通り遊んでくれたのだった。
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