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    つーさん

    @minatose_t

    辺境で自分の好きな推しカプをマイペースに自給自足している民。
    カプは固定派だが、ジャンルは雑食。常に色んなジャンルが弱火で煮込まれてるタイプ。
    SS名刺のまとめとか、小咄とか、思いついたものをぽいぽいします。
    エアスケブもやってます。お気軽にどうぞ。

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    つーさん

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    黄昏アナザーを経て以心伝心熟年夫婦みたいになってるドルオウと、初めて知った一部面々の衝撃の話。
    ただ、ドルオウだけど、何か距離感というか連携がバグってるだけで付き合ってない二人です。まだ。

    #ドルオウ
    dollarAuctions

    ドルオウ小ネタ1 方舟という異空間の拠点を手に入れているとはいえ、皆それぞれの世界での生活基盤が存在する。ピスキス傭兵団も例外ではなく、ドルフやミツキ、リズは方舟に身を寄せてはいるが、そこでの物資の調達などは黄昏の世界と呼ばれる彼らの故郷で行っている。
     ピスキス傭兵団と共にいるのは、かつてレジスンタスと呼ばれた面々だ。フォルカーを頭とする彼らは、何だかんだでピスキスの防衛にも一枚噛んでいるので、今や共闘する仲間である。第一、フォルカーやシャルロッテ、セリカが方舟に縁があるので、今更だった。
     今後の対策を考えながら打ち合わせをしている傭兵団とレジスタンスの元へ、オウィが歩いてくる。名目上は傭兵団に協力している軍師という立ち位置である彼は、厳密には傭兵団の一員ではない。逆にその立場だからこそ、領主であるベルノルト側の意見も簡単に手に入れることが出来るので、本人は満足しているらしい。

    「あ、オウィちゃん。何か用事でもあったー?」
    「あぁ、お前にじゃないけどな」
    「ほえ?」

     幼馴染みのミツキ相手にはいささか口と態度の悪いオウィだが、ミツキがそれを気にすることはない。いつものことだからだ。オウィは視線を動かして誰かを探し、目当ての相手を見つけたのかそちらへ移動した。

    「ドルフさん、ちょっと良いですか?」
    「おう、どうした、軍師殿」
    「あの件ですが、どうなってます?」
    「あぁ、それならこっちで全部片付けた。それと、あっちの件も勝手に処理したが良かったか?」
    「貴方の判断に任せるつもりでしたから、問題ありません。むしろ、手間が省けて助かります」
    「そうか」

     顔を合わせて何やら打ち合わせをしているドルフとオウィの姿に、ミツキやリズ、フォルカーはぽかんとしている。トントン拍子で会話が進んでいるが、一度たりとも明確な固有名詞が出てこないのだ。
     いわゆる「こそあど言葉」だけで会話が進んでいるようなものである。何でそれでわかるんだと思ってしまうのも無理はない。

    「そういや、アレの件はどうなってる?お前に任せっぱなしだったと思うんだが」
    「手こずりましたが片付きました。もう大丈夫です」
    「そうか。悪かったな」
    「いえ、私の仕事ですし。それでは、お邪魔しました。また後ほど」
    「おう、また後でな」

     呆気に取られているミツキ達の前で、二人はやはり固有名詞を出さない会話を続けていた。微笑を残して去って行くオウィの背中を、ドルフはひらひらと手を振って見送っている。今まで自分達が繰り広げた会話の異質さなど、微塵も理解していないのだろう。彼らにとってはそれが普通なのだから仕方ない。
     ミツキは思わず、周囲の傭兵団の仲間達を見た。リズも見た。フォルカーも同じようにレジスタンスの仲間達を見た。彼の場合は具体的に、セリカとかイネイドとかの特に親しい面々だ。そんな彼らの視線の先では、仲間達は何一つ気にした風もなくケロリとしていた。

    「いやいやいや、皆待って!ねぇ、アレを見て何も思わないの!?」
    「そうですよ!どうして普通の顔なんですか!」
    「セリカ、イネイド!お前ら何で平然としてるんだ!?」

     まるで悲鳴のように叫ぶ三人に、一同は首を傾げている。当事者であるドルフなど、彼らが何を騒いでいるのかまったくわかっていない。お前ら煩いぞとツッコミを入れて、仕事をするために去って行ってしまった。
     名指しをされたセリカとイネイドは、二人で顔を見合わせる。何か怖いものでも見たと言いたげなフォルカー達の反応に、あっさりと答えた。

    「兄貴、アレ、いつものことだから」
    「フォルカー、私が合流したときにはあの二人は既にあんな感じだった」
    「「はぁあああああ!?」」

     現実はどこまでも無情だった。
     嘘だろと叫ぶフォルカー。ナニソレと処理が追いついていないミツキ。困惑して固まっているリズ。そんな三人を見て、だってそうだったんだもん、と言いたげなセリカとイネイドだった。彼らは悪くない。
     一つドルフとオウィの為に説明をしておくならば、彼らはピスキスを脱出したときから一年、二人三脚でやってきた。いわば、民を守る両翼として二人で支え合って生きてきたのだ。細かく打ち合わせをしている余裕などなく、必然的に相手の考えていることを察して動くことが求められるような状態だ。それが出来なければどこかが破綻する。
     その結果、彼らは一年の間にお互いの言いたいことをおおよそ把握出来る程度の理解力を身につけた。ついでに、言われずとも相手が求めているだろう部分を補うことも。そうして以心伝心ツーカーみたいになった隊長殿と軍師殿なのだ。
     そして、傭兵団とレジスタンスの面々は、それを間近で見ていたので今更何も驚かないのでした。

     何でアレであの二人付き合ってないんだろうと誰かが呟いたが、その言葉が当事者に届くことはないのでした。

    FIN
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