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    つーさん

    @minatose_t

    辺境で自分の好きな推しカプをマイペースに自給自足している民。
    カプは固定派だが、ジャンルは雑食。常に色んなジャンルが弱火で煮込まれてるタイプ。
    SS名刺のまとめとか、小咄とか、思いついたものをぽいぽいします。

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    つーさん

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    一個前の対みたいな感じのしょくカレ。くっつく前は双方どっちもシリアスを抉らせてると思ってる民です。
    誰にでも優しい男だから、自分の中にある特別が相手を傷つけると思って隠してる感じのやつ。前作と併せて、合言葉は「早よくっつけ!」です。

    #しょくカレ

    笑顔の奥に隠したもの(しょくカレ) 誰にでも優しくて、誰にでも親切で、どんなときも上品さを失わない紳士なヒーロー。周囲が自分に与える評価を、しょくぱんまんはよく分かっていた。それは別に、無理をして作ったものでもない。彼の本質でもあった。
     ただ、それだけではないということを、誰かに伝えることをしていないだけだ。しょくぱんまんが誰にでも優しいのは彼の本質ではあるけれど、その彼にだって特別の感情はある。それを表に出さないのは、ひとえに彼の弱さとも言えた。
     自分の中にある、相手を自分だけのものにしたいと思う感情を、彼は心の奥底に封じ込めている。ヒーローらしくないだとか、皆が思い描くしょくぱんまんらしくないだとか、そんな言い訳をしながら。
     本当は、ただ、恐れているだけだった。この感情を表に出した瞬間、思い人はその朗らかな笑顔を曇らせるだろうと思うからこそ。自分が手を伸ばすことで自由闊達な彼、カレーパンマンの表情を曇らせるぐらいなら、全てを無かったことにして隠しておく方がよほどマシだった。
     それほどまでに、好きだった。気づけば好きになっていた。自分とは違って、感情の赴くままに突っ走る彼を、好ましいと思うようになっていた。
     最初の頃は、考えなしに動く彼を危なっかしいと思うだけだった。もう少し考えて動けば良いのにと、お節介で口出しをしてしまった。そんなしょくぱんまんに嫌そうな顔をしながらも、それでもその言葉に利があると判断したら、カレーパンマンは大人しくしたがってくれた。
     きっと彼は、根が素直なのだろう。感情の起伏が激しく、口の悪さが目立つ。思ったことをポンポン口にするせいで、彼の優しさは伝わりにくい。素直になるのが苦手で、褒められると居心地が悪そうに照れる。そんな姿すら、親しみやすいヒーローとして皆に愛されている。
     そう、カレーパンマンは皆に愛されている。アンパンマンのように、しょくぱんまんのように、たくさんの人々から慕われて、愛されて、大切に思われている。そして彼もまた、そんな周囲の人々の感情に応えて笑っている。
     その姿を、しょくぱんまんはずっと見てきた。見続けてきた。彼の視線が自分だけに向けば良いのにと思うことがあった。笑顔も泣き顔も、悔しそうな顔も、何もかも、自分だけが知る彼の姿があれば良いのにと思うようになった。そんな歪んだ感情をいつも通りの笑顔の奥底に隠して、蓋をして、頼れる兄弟分として側にいる。

    「私は、卑怯者ですね……」

     自嘲めいた笑みを浮かべて、しょくぱんまんは呟く。本当は仲間でも兄弟でもない感情を抱いているくせに、それを見えないように丁寧に隠した状態でカレーパンマンに接している。比較対象としてアンパンマンがいるから、対応を間違えずにすんでいる。そんな風に兄弟を利用している自分にも、嫌気がさした。
     けれど、そんな風にしてでも守りたいと思ったのだ。こんな自分を頼れる兄弟分として信頼してくれるカレーパンマンの気持ちに、報いたかった。彼の信頼を裏切りたくなかった。
     ただ、他の誰とも違う立ち位置を手放すのは怖くて、お節介を口にして、煙たがられるのを承知で近寄っている節はある。カレーパンマンは小言が続くと嫌そうな顔をするけれど、基本的にしょくぱんまんを邪険にはしない。その大らかさに甘えている自覚はあった
     手を伸ばせば届く距離。あと一歩、あと少し、他とは違うのだと伝えることは実はとても簡単だ。誰にでも平等に優しいしょくぱんまんの姿から外れて、ただ一人カレーパンマンを特別に思っている自分を表に出せば良い。
     それをしないのはきっと、自分からすら彼を守りたいと思っているからだろう。嫌われるのが怖いのは事実だ。伝えて、今の立ち位置を失うのは恐ろしい。けれど何よりも、そんな風に思われていると知ったカレーパンマンが傷つくのを防ぎたかった。
     誰かに知られたら、偽善と言われるだろうか。甘いと言われるだろうか。それでもしょくぱんまんは構わなかった。そうしたいと思ったのだ。恋い焦がれる苦しさに耐えてでも、カレーパンマンを大切に思っているのだから。
     それすらも、偽善や綺麗事だと嘯く自分がいる。その言葉をしっかりと受け止めて、それでもしょくぱんまんは今の生き方を改めるつもりはなかった。自分が傷つけるぐらいなら、どれほどの痛みを覚えても決して手を伸ばさない。そういう守り方もあるはずだ、と。

    「よーぉ、しょくぱんまん」
    「おや、カレーパンマン。どうかしましたか?」
    「ジャムおじさんから伝言。今度の日曜、皆でパーティーするから一緒にどうかって」
    「それは嬉しいですね。喜んで参加させていただきます」
    「分かった。伝えとく」

     物思いにふけっていたしょくぱんまんの元へと降り立ったカレーパンマンは、いつも通りの飄々とした口調で声をかけてくる。パン工場に顔を出したときに話を持ちかけられたのだろう。わざわざ連絡に来てくれるなんてありがたい、としょくぱんまんは思う。
     彼らは普段、それぞれの領域で生活している。お互いがパン工場に顔を出すことはあっても、揃うことは少ない。何かのイベントの折は全員集合するが、常日頃は顔を合わせない日も少なくはないのだ。
     だから、予定外に顔を合わせることが出来てしょくぱんまんは喜んでいる。けれどそれを表には出さず、いつも通りの柔らかな笑顔を浮かべるだけだ。
     カレーパンマンは今日も、しょくぱんまんが見慣れた、愛した、朗らかで楽しげな顔をしている。彼の笑顔が曇らぬのなら、こんな風に仲間として、兄弟として親しみのこもった眼差しを向けてもらえるのなら、それ以上、それ以外を望むことはない。そう、しょくぱんまんは自分に言い聞かせる。

    「それじゃ、ジャムおじさんには伝えとくな」
    「はい。……あの!」
    「ん?」

     用事は済んだと言わんばかりに飛び立とうとしたカレーパンマンを引き留めるように、しょくぱんまんは声を上げた。不思議そうに振り返るカレーパンマンに、いつも通りの口調を心がけて言葉をかけた。

    「貴方は、来るんですか?」
    「そりゃ勿論。上手い飯が食えるのが分かってるのに、行かねえわけがないだろ?」
    「あはは。貴方はそうでしたね。それでは、今度の休みに」
    「おう、今度の休みにな!」

     茶目っ気たっぷりに答えたカレーパンマンは、そのままふわりと空へと舞い上がる。もう少し、あと少し、一緒にいたいと思うしょくぱんまんの未練なんて知りもしないで、颯爽と飛び去っていった。
     その背中を見送って、無意識に伸ばしていた手をしょくぱんまんはそっと下ろした。彼に向けて伸ばしていた右手を、宥めるように左手で包む。あれは自分が掴んではいけないものなのだと、言い聞かせるように。

    「今度の休みが、楽しみですね」

     柔らかな笑顔で呟いた言葉に嘘はない。皆に会えるのも嬉しい。そこにカレーパンマンがいるのなら、なおさらに。
     ……仲間で、兄弟で、それで良いのだと繰り返し心に刻む。そうしなければ、ひらりと去って行くあの背中をいつの日か、逃さないというように掴んでしまいそうな自分を知っていたから。そんな未来は、来ないでくれと願うからこそ。



     優しい優しい笑顔の奥に、決して開けてはならない強い思いを秘めたまま、今日も彼はヒーローの顔で微笑むのだ。



    FIN
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    つーさん

    DONEいつかちゃんと全部書いて本にしたいなって思ってる、種自由前に相棒から恋人になるディアイザのお話のプロローグ。WEBイベントの賑やかしにとりあえずこれだけでも、みたいな感じで持ってきた。全文完成日は未定←
    ※ミリアリアがいますが、別にディアミリ要素はありません。うちの二人は友人。
    ディアイザ続き物プロローグ。 世界平和を目的とした武力組織を作る。他の誰かがそんなことを発案したならば、私兵を手にしたいだけだろうと一笑に付されただろう。だが、その声を上げたのは、オーブ首長国連邦の現代表であるカガリ・ユラ・アスハだった。二度も国土を焼かれる経験をし、父を失い、自らも戦場にてモビルスーツを操った女傑の言葉であったからこそ、その発案は受け入れられることとなった。
     オーブを発案者とし、他陣営も協力して一つの組織を作り上げる。各々の思惑は絡めども、あくまでも独立した武力組織としての設立を目指すというのがカガリの主張であった。
     その、世界平和監視機構コンパスという組織には、オーブ軍とザフトから戦闘員が派遣されることとなった。ナチュラルとコーディネーターの混成部隊となるが、そもそもオーブはナチュラルが主体とはいえコーディネーターと共存する国である。そこの軍人達も、味方となったコーディネーターへの悪感情は抱かないだろう。
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