パンスト事変+α(降志)「あ、」
薄暗いパーテーションの裏で、呟くような声。機材の不具合か、はたまた資料の不手際か。
「どうかした?」
降谷は振り返って声をかけた。と、眼前の光景に固まる。そこには、タイトスカートを軽くたくし上げ、今まさにパンティストッキングを脱ごうとしている志保の姿があった。
「え、こっち見ないでくれる?」
形のよいヒップを包むヌードベージュのなめらかなストッキング。そして、下ろされかけたそれの隙間から覗く白いレースの──。首がつりそうな勢いで、降谷は顔ごと目をそらした。
「ちょ、ちょっと待って? なにしてる?」
「ストッキングが伝線したから脱いでるのよ」
見れば分かるでしょ、とでも言いたげな志保の物言いに、ああ、そうか、と思わず納得しかけた。いやいや、違う。これは駄目だろ、と内なる降谷が激しく抗議する。
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