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    💜紫雫‪💧‬

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    🛸🤟習作そのいち。

    🛸🤟の体に関して過剰なほどに捏造しています。
    想いの強さ的には🛸→→→→→→→→→→🤟

    #Renkyotto
    Renkyotto<3
    #Renkyo
    ##Renkyotto

    MY BLUE SUGAR!キョウが「あっ」と声をあげた時にはすでに指先に鋭い痛みが走っていた。皮膚の上に熱い液体が滴るのを感じてすぐもう片方の手で切った指先を止血のために強く握りしめた。


    キョウがこんなに明瞭な痛みを感じたのは久しぶりの事だった。この月に来る前は、脆弱な体を心配されるあまりマトモに学校に通うことはおろか同年代の学友たちと遊ぶことも喧嘩することも出来なかった。その時と比べれば今の生活は少し、いやかなり風変わりな事に目をつぶれば随分と健康的だ。


    この学校に残る数少ない貴重な紙の書籍を自分の血で汚してはいけないと、図書室の椅子から立ち上がろうとして両手が塞がったままな事を思い出した。ガタリと大きな音を立てて木製の椅子が後ろに倒れて、それに続くように本棚の向こうから低音の声がこちらを心配するように響いてきた。

    「キョウ?」
    「ああ、レン……申し訳ないけど」

    本棚の向こう側から現れたのは二つ年上の先輩、何かと自分のことを気にかけて傍にいたがるレン。キョウがホログラムの画面に写し出される書籍だけでなく紙の本に触れたいと願うとすぐに手を取って案内しだした張本人だ。

    保健室まで案内して、と言葉を続けようとしてキョウの口は動くことを忘れてしまった。こちらに向けられたレンの瞳が、あまりに人並み外れた“色”を含んでいたからだ。その色の恐ろしさにキョウが竦んでいるとそれに知ってか知らずかレンの瞳はすぐにいつもの色を取り戻した。

    「どうした、その手」
    「本の紙で切ったんだよ。思ったより深くて、血が止まらない」
    「見せてみろ」
    「絆創膏とか持ってるのか?」
    「バンソウコウ?」

    なにそれ、キョウの星にあった物? 後で教えてくれる? と笑いながらレンは固く握りしめたままのキョウの手をダンスに誘う紳士のようにうやうやしく手に取り、力を抜くように言い聞かせた。キョウは恐る恐る握る手を離したが切った指からはまだ何かが流れている感覚がして、レンの手を汚してしまうだろうと躊躇した。が、すぐにそれは掻き消えてしまった。

    自分の指からレンの手へと滴る血は、血だと思われる液体は澄み渡った空のような青色だった。インクのような粘度と自分の体温、そして目の前にいるレンのツノと同じ色に輝いている。
    確かに自分の指先から流れるはずのそれをキョウはまるで画面の中の出来事のように眺めていた。

    「これは、一体」

    何、と問うための声はあまりに幸せそうなレンの声に重なってついに聞こえなかった。

    「綺麗な色だろう? 俺とキョウの色」
    「レンと俺の……?どういう意味なんだ、それ。俺が月に連れて来られたのと関係あんの?」
    「あるよ。大ありだ。でもそうだな……キョウがその事を覚えていないのは少しショックだったな」

    手のひらに落ちる青い液体を掬ったレンの親指がキョウの人差し指の傷を上からなぞるとビリビリとした痛みが背筋にまで走る。怖くて分からなくて逃げ出したいのに、しかと手を握られてしまっていまのキョウには何処にも逃げることなんてできなかった。

    「キョウが月に来ると決まった時、問題はその体だったんだ。月の上で祝福を受ければなんて事はない問題だったが」

    レンはあまりに感情が昂ったのを落ち着かせるように一息ついて、そしてまた大切なものを語るように口を開き、続きを話すのだ。

    「月に連れてこれる体じゃなかった。だから俺の星の医学で治すことにしたんだ。その時にキョウの体に少しばかり、細工を」

    レンの大きな口が弧を描き、そしてガバリと開かれた。

    「お前の体には俺の血が流れている」

    暗闇のような咥内からレンの舌が見える。同じ蛍光の青色を滴らせるそれがキョウの指先に絡みつき、そして肉と肉の境界線を無くした。

    「やめ、れ、レン!? い、痛いぃっ!」

    裂けた肉の上を舌が乱暴に滑って抉る。その度に言い表しようのない痛みと不快感がキョウの背筋に走り、視界を滲ませる。お互いの血が、と言ってもどちらもレンの血なのだが、混ざりあってじわじわとキョウの傷口へ染み渡るほどに脳みそを揺らして恐怖で支配していく。

    キョウがはあはあと肩口で呼吸するほどになってレンはパカリと口を開けた。透明な液体で濡れたレンの指先はまっさらで、最初から何も無かったように綺麗だ。一方でレンの口元は唾液と青色の血液に塗れてグロテスクに輝いていた。

    「また怪我したら教えてくれよ。でないとお前、死ぬより苦しい目に会うから」
    「な、んでだよ」

    疑問が口をついて出てきた後、キョウはすぐに後悔した。レンがあまりに楽しそうに笑っている時、絶対、自分にとって良い理由が待ち受けているわけがないのに。それでも知っておかなければと受け入れることにした。知らないままでいたらこれ以上取り返しのつかない事になりそうで。

    「キョウはもう、俺以外の血を受け入れられない体なんだよ」

    宇宙人は心底楽しそうに笑って言った。キョウには何がそんなに楽しいことなのか少しも理解することはできなかった。
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