主が後天性女体化した場合一晩過ごして、翌朝目を覚ましたら柔らかいものにが顔に押し付けられてる大倶利伽羅が混乱しながら起きて見下ろすと審神者と寝ていたはずの場所に女性が寝てて絶句する大倶利伽羅。
でも気配も匂いも主のものなので本人なのか…?と逡巡してると主らしき女性が起きる。
「おはよ……ん? 風邪ひいたか?」
「……自分の身体を見てみろ」
呑気さに呆れつつ、寝ぼけてる主の着崩れて開いた胸元から柔らかそうな肉が見えてるので現状把握させながら指摘すれば下を覗き込んでざあっと顔を青褪めさせる主
「なん、これ、なんで」
「落ち着け、痛みはないんだな」
肩を掴んで深呼吸しろと目線を合わせればすー、はー、と呼吸を繰り返して落ち着いたように見える。肩にある腕を掴む手は震えてる。
「……ありがとな、落ち着いた」
「礼を言われるほどじゃない」
いつも通りのやりとりに力なく笑う主に眉間に皺がよる。
「悪い、蜂須賀呼んできてくれるか」
「……わかった」
やはり頼りになるのは初期刀で近侍かと寄っていた眉間の皺がさらに深くなる。一緒にいたのに原因もわからない、解決法の提案もできないのだから仕方がないかと掴まれていた腕を振り解こうとしたらぎゅっと握られて僅かに金色を見開く。
「お前も、ちゃんと戻ってきてくれ」
真っ直ぐ見つめられて、多少は不安を和らげられるのかと理解する大倶利伽羅
蜂須賀を呼んできて事情説明して、とりあえず様子見することに。
「後のことは任せて欲しい。貴方は少しゆっくり過ごすのも悪くないと思うんだ。大倶利伽羅、主のそばにいてくれないか」
「何故俺に」
「主が一番安心できると思うんだ」
蜂須賀に屈託なく言われてしまえば頷くほかにない。
ふたりきりなると主が巻き込んで悪いなと謝る。
「お前の時も不安だろうなって予想はしてたけど案外きついな……」
「あんたは人だ。不安に思って当然だろう」
一晩で性別が変わるなど現代医療技術でもっても不可能だろう。
つい手を伸ばしかけて宙に浮いた手をほっそりとした手に掬われる。
「やっぱお前がいてくれてよかった。じゃないとずっと考えこんでそうだ」
笑いながら手の甲を頬に当てる主を衝動的に抱き寄せる。いつもなら肩に顎を乗せられるのに今はすっぽり抱きこんでしまえる。つむじに口付けながら細い身体をぎゅうぎゅうと腕の中に仕舞い込む。
「……おーい、ちょっと苦しい」
「俺はあんたじゃないからわからない」
「いやわかるだろ!」
ぼすぼすと背中を叩かれても腕を緩めずに戯れながらいつも通りの声音に戻ってきた主に安堵する。
「なあ、今晩このまま戻らなかったら抱いてみるか」
「…………やっぱり不具合あるんじゃないのか」
「そうじゃなくてさ、この身体なら初めてあげられるなあと思って」
主が現世にいたときに恋人がいたことも、抱いたのが大倶利伽羅が初めてではないことも知っている。
ただでさえ人の身なのに身体の造りが変わってしまって困惑していたくせにと押し黙っていると主が顔を挟んで視線を合わせてくる。
「いらないか」
「人に使われるのが刀だ。あんたを慰み者にするつもりはない」
「それだと俺がいつもお前のこと無理やり犯してることにならないか…?」
もしかしていつも嫌々だったのか、と愕然とする主に違うと首を振る。
「不安なくせに強がるな」
「……あげられるなら大倶利伽羅にあげたいと思っただけだよ。まあ、無理強いするもんじゃないから今の忘れてくれ」
視線を外して胸に頭を預けながら目を閉じた主
翌日、戻っていた主を見てちょっと後悔する大倶利伽羅