くりさに/ぷろぽぉず、だいさくせん!「主、大倶利伽羅とお付き合いしてるけど、いつ人妻になるの?」
包丁藤四郎によるこの一言で、その場にいた私と大倶利伽羅は顔を真っ赤にした。
彼が人妻好きなのは周知のことではあるが、今日はいい夫婦の日と語呂合わせでよばれる日。差し詰め、ニュースか何かで目にしたのだろう。
動揺した私は「あっ、えっと、そうだね。」などとまともな返事を返すことができず、「俺ずーっと待ってるんだからね!」と包丁が頬を膨らます。怒っていても可愛らしいのは彼の特権だろう。顔が緩んでいたのか「主また可愛いねぇ!なんて流すんだろ!」と言われてしまった。
「えっと…伽羅ちゃんと話し合って…」
「その大倶利伽羅も奥手なんだぞ!」
「そうだそうだー!」などと、後方から複数の刀からの野次が飛んできているのは気のせいではないようだ。主に声を挙げているのは伊達の太鼓鐘貞宗、鶴丸国永、燭台切光忠だ。若干楽しそうに見える。
助けを求めて大倶利伽羅の方を見るが、彼は茹で蛸になったまま内番着の上着のポケットに手を突っ込んだままだ。もそもそとは手が動いているのはきっと気持ちを紛らわせるのに手を動かしているだけだろう。
「結婚ってね、人生を賭ける一世一代の特別なことだから…」
私がしたくても彼にその気持ちが無ければ勝手に進めてはならないし、気持ちが先走ることで関係が崩れてしまうことだってあるのだ…。
審神者仲間や現世の友人達のあれこれを聞いてきたからか、最後まで気持ちを口にできず、へへと笑って誤魔化してしまった。
「…俺は、」
上着から両手を出し、私の前に跪く。私を見上げる目はとても美しく、吸い込まれそうになる。
「俺とこれからも一緒にいてくれないか。」
どの媒体から学んだプロポーズの方法であるのかは分からないけれど、私がいたあの時代の書籍や映像など沢山調べてくれたのだろう。
うちの大倶利伽羅はそう言う面があるもの。
「一緒にいさせてください。」