組織に育てられた恋を知らない女の子がバーボンに一目惚れする話幼い頃組織に拾われて、何も分からないまま組織の為に育てられた夢主ちゃん。ある程度の年齢になったところでベルモットに人の、そして男の誘惑の仕方を教えられる。本番はあの男でいいんじゃない?ジンよりマシでしょってベルモットの指名でライに男の悦ばせ方を仕込まれる。
組織の外を知らない夢主ちゃんは従順で、感情の起伏が少なく他人を喜ばせる為にだけ表情を変える。美しい見目も相まってまるで人形のようだと噂されるようになった。
初めての仕事のパートナーに選ばれたのはバーボンだった。パーティーに潜入してターゲットの口を割らせて情報を得る。必要であれば部屋に連れ込む用意も出来ているし、それも難しいようならバーボンが別の人物から情報を得るという作戦だ。
決行前に作戦の擦り合わせと顔合わせの為に初めてバーボンに会った夢主ちゃん。普段、初めて会う人に特に感情を抱く事は無いのにバーボンは何か違った。
それが何か分からないまま初めての仕事の日を迎えた。作戦直前になっても謎の感情は消えないまま、不安そうに見えたのかバーボンに声を掛けられる。
「何かあればすぐに僕に連絡してください」
行きますよと急かされながら心臓の音が大きくなったような気がして気付いてしまった。
作戦が無事終了した後、お疲れ様でしたと去ろうとするバーボンの服の裾を掴み引き止めた。
「あ、の…貴方に初めて会ってから私、おかしいんです」
どうかしたのかと続きを待つバーボンの前で視線を彷徨わせる。本心からこの言葉を伝えるのも、この言葉を言うのが恥ずかしいと感じるのも初めてだった。
「…貴方、に抱かれたい」