ペリペリとふたを剥がすと、丸いおもちに包まれたアイスが見えてくる。
きれいに剥がしきるとそのアイスが二つならぶ。
付属のフォークをひとつに突き刺すとちょっと固くて、もう少し待った方がいいかなと思ったけど、待ちきれずにがぶり。
ちょっとはいい感じに溶けていた部分もあっておもちはにょんっと伸びた。
美味しい。
おもちも中のバニラアイスも。最近はいろんな味が出ているみたいだけど、シンプルなバニラアイスのが一番好き。
「マスター、いいもの食べてるな?」
「シャルル」
部屋にやってきたシャルルは面白そうだというのを隠さない表情で近づいてくるから、こちらも大袈裟にしかたないなぁと露骨に表して言った。
「食べる?」
「ああ!」
嬉しそうに隣にやってくるから、食べかけのアイスを全て口にいれてフォークともう一個のアイスの入ったカップを差し出す。
「え?」
すると何故かシャルルが困ったようにこっちをみる。
アイスとこっちとを交互にみているけど、何が言いたいのか分からない。
首をかしげて、もう一度「はい」と渡す。
シャルルは頭痛を堪えるように頭を押さえる。
「半分そのまま渡してくれるなよ!」
叫びの意味が分からなくてぽかんと目を丸くして固まった。
「そんなつもりなかったんだ。軽いお願いに、ぽんと半分差し出さなくていいから……もうちょっと悩んでくれよ、アンタのもんなんだから」
「んー……そりゃ人によってはそうするけど、シャルルが美味しく食べてくれるなら半分くらい構わないんだけど」
明らかに悪意満々で奪いにきてるような人には上げないけど、シャルルだから。それに。
「美味しいものは好きな人にも食べて欲しいからね」
これが好きだから好きな人にも分けて一緒に食べたくなる。
そう言うと、シャルルはさらに頭を抱えてしゃがみこんだ。
「え、なに?」
「そーいうとこーっ!!さらっと言うな、カッコ良いだろ!」
カッコ良いならいいじゃないか。と、思っているとシャルルが勢い良く立ち上がる。
「ちょっと俺も半分に出来るアイス貰ってくるから待ってて!」
そう言ってどたばたとあわてて部屋を出ていった。
アイスはまだ固そうで、もう数分でちょうどいいくらいになるだろう。
シャルルが何のアイスを持って帰ってくるか想像しながら、食べかけのアイスを机の上に置いた。