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    shizuka_shi

    @shizuka_shi

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    shizuka_shi

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    為ぐだ♂
    バレンタインの発言から。
    ちょっとだけ進んだような……

    マスターにねだられ、為朝はマスターを片腕で抱き上げる。
    「ありがとう、やっぱりすごいね!」
    「このくらいの事は出来て当然。それよりも、これで何を」
    為朝が訪ねる前に、マスターの手は為朝の頬部分に触れた。その手は形を確かめるように動く。
    そんな感覚があるわけではないが、きっとこれは『くすぐったい』になるのだろう。変な気分だと思いながら為朝はマスターの好きにさせる。
    「口は無いって言ってたよね。俺、ここの部分口だと思ってた」
    そう言うと、人であるなら口があるだろう部分に指先を滑らせる。
    そこは口では無い。
    無いのだが、そう言いながら触られるのは複雑に絡まった感情が沸き上がってくる。
    恥ずかしさもあり、照れ臭さもあり、悦びもあり、これを端的に表す言葉はいくら探しても為朝の中には見つからない。
    何度も撫でる手を厭うたりはしない、むしろ望んでいる。
    ぺたりと触れた掌に為朝が顔を押し付けるように動くとマスターの手は止まった。
    視線だけ向けて見れば、真っ赤な顔で固まっている。
    それを見て思い出した。
    マスターはその部分を口だと思っているのだから、これは口付けの様なものではないのかと。
    意図はしていなかった。けれど否定するのも違う。
    どう結論付けるべきか答えを出せず、あらゆる情報を探していると、マスターは為朝の頬に置いた手で顔が自分の方へ向くよう動かした。
    そして。
    音もないほど軽く、ただし確かにその感触はあった。
    真っ赤な顔で、為朝に触れた唇をすっと離していく。
    「嫌だった?」
    ならごめん、と言うマスターに慌てて首を振る。
    その瞬間に向けられたとろけるような微笑みに、為朝は完全な動作不良に陥った。
    なんの行動も出来ないでいる為朝の腕から、するすると降りたマスターは為朝を見上げ、
    「付き合ってくれてありがと……また、ね」
    そう言って走り去った。
    残された為朝が動けるようになるまで、何人ものサーヴァントがその横を通っては為朝を不思議そうに見上げていた。
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