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    さくみ

    @393online

    随時ラクガキか小説更新。大分やりたい放題。なお、勝手に消すことあるます。気に入った、刺さったものあればリアクション、感想等どうぞ🌠

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    さくみ

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    寒い日のかなみゆちゃん。ちょっとした超小話。

    一緒がいい────冬が来た。

    昨日の天気予報で、今期一番の大寒波の知らせがあり、窓も引き戸も全部締切っても凍える寒さ。何せ古い場所。ガタガタとちょっとした風でも大きな音を立てて揺れるから、目覚ましなんか使わなくても起きてしまう休日。
    今日は、父が旅行か何かで暫くおらず暇を持て余す。起き抜けに羽織ったパーカーでも廊下の寒さは拭えない。別に冬が嫌いではないが、寒いものは寒いってだけだ。部屋にあるヒーターに電源を入れて、暖まるまでの間朝食取るべく廊下に出て歩く。
    窓から見えたのは白い綿。
    (あぁ、雪か…)
    覚えのある童謡に"犬は喜び庭駆け回り"が如くが似合う親友が積もったらスキーしようとなんか言っていたけれど、"猫は炬燵で丸くなる"後者の方がいいなんて思ってしまう。
    冷蔵庫を開けるとなんにもない。
    (げっ…マジか…)
    この大寒波の中、買い物なんてとても行きたくなかったが、ため息混じりに着替えてコートを着た。出るしかない。

    ────ビュオオッ

    唸るような強くて冷たい風が全身に絡み付いて体感温度は最悪。せっかく彼女がくれたマフラーだって今日は何だか効いてないように感じる。
    (さっむ…)
    頬も鼻も、凍りそうなくらい寒い。人っ子一人まだ歩いてないのに、一人で何してんだろうおれって虚しくなる。早いとこ買って帰らないとマジで凍ると、適当に買い出しして帰る。
    石段上がってからは早かった。ダッシュして玄関に入った。
    「……最悪」
    一人で家にいるのは平気だけど、全然"温まらない"のは何故なんだろうな。防寒着を脱ぎ捨てた直後。

    ────ピンポーン

    背を向けてる玄関の外でインターホン。
    (誰だ?こんな日に来るのはまぁ、1人だろうけど)
    と、来た来客は雨でも風でも嵐でも関係なさそうな親友を想像していたが、
    「はい?」
    「寒い!彷徨入れて!」
    「え、おまえ何してんの」
    予想180度大ハズレ。冷たさで赤らんでいる彼女、未夢。こんな日に何しているんだと慌てて引き入れた。
    「バッカ、自分んちの方が防寒できるだろ」
    未夢んちの方が暖かい快適さは抜群のハズなのに、何故歩いて僅かすぐの寒い家に来たのか。
    「だって、なんか心からポカポカ感がないから」
    「はぁ?」
    意味が分からない。
    「1人よりは2人の方がいいと思わない?」
    「…?」
    モコモコの手袋が外れて、細くて小さくて温かい未夢の手が、おれの冷たい手を拾う。ガチガチで握れなかったけど。
    「うわ、彷徨もしかして外に出てた?」
    「買い物。朝飯になりそうなのなかったから」
    「えぇー?言ってくれたら家で何か出したのに。てか手袋してないとか意味分からないわよ」
    面倒だったと零せば、
    「バカぁ、風邪引いちゃうよ?今日大寒波って言ってたじゃない!」
    「あぁ、まぁ…」
    「もーほっぺも冷たいよ?ほらほら、早くストーブストーブ!」
    「って未夢、おまえ本当に何にし来たの?」
    「だから、1人より2人がいいでしょあったまりに来たんですー!」
    あぁ、そういう事か。
    「なんだよソレ。ったく、しょうがねぇな。ホットミルクでいいか?」
    「わーい、ありがと!」
    (まぁ、確かに)
    ────温かい。
    END
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    さわら

    DOODLE貴方はさわらのアシュグレで『ひねくれた告白』をお題にして140文字SSを書いてください。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/375517
    140字を毎回無視するやつ
     口付けるように指先が額に触れる。
     普段は重く長い前髪に隠れたそこを皮膚の硬い指先がかき分けるように暴いて、するりとなぞる。
     驚くように肩を揺らした。けれどそれ以上の抵抗らしい抵抗はできない。ただされるがまま、額をなぞる指の感触に意識を向ける。
     アッシュの指がなぞっているそこには、本来であればなかったはずのものがあった。ある時から消えない傷となって残り続けているそれは、過去のグレイとアッシュを同じ記憶で繋げている。
     アッシュがこちらに触れようと伸ばしてくる腕にはいつも恐怖を覚えた。その手にいつだって脅かされていたから、条件反射で身が竦む。けれど、実際に触れられると違うのだ。
     荒々しいと見せかけて、まるで壊れ物に触れるかのような手付き。それは、本当に口付けられる瞬間と似ていた。唇が触れ合ったときもそれはそれは驚いたものだけれど、最終的にはこの男に身を任せてしまう。今と同じように。
     乱暴なところばかりしか知らないせいか、そんなふうに触れられてしまうと、勘違いをしてしまいそうになるのだ。まるで、あのアッシュが『優しい』と錯覚してしまう。
     そんなはずはないのに、彼からはついぞ受け 2766