よだかの星をすくい上げた少女侯爵家に生まれた娘。「アリス」それが私の名前だった。
思わず頼りたくなるような秀才かつ体躯の良い兄弟に、思わず護りたくなるような御淑やかで華奢な姉妹の中に、体躯のいい男勝りな女の子は家族の中で異質な存在だった。
しかし家族はそんな私を受け入れてくれていた為、幼少期はそのことを気に留めたことは無かった。
だが、外の世界はそうではなかった。
歳の近いものと交流をもてば思考や体躯を弄られ、同性と遊べば「まるで、男のようだ」と言われ、異性と交流をもてば「女のくせに生意気だ」と言われた。
次第に他人と疎遠になり、貴族交流が難しくなると両親の私を観る目が変わってきた。
「お前のような、出来損ないはこの家の名を名乗るにふさわしくない」と冷ややかな目で私を観るようになってきた。兄弟の目も次第に同じになっていった。
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