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    芦緖(あしお)

    @futa2ai

    20↑shipper。 ふたあい(二藍)はイーベン小説中心に活動中。M:I(イーベン)、 TGM(ハンボブ、ルスマヴェ)、忍たま(こへ長)の話題多め。字書きですが、絵を描くのも好き。
    通販(基本イベント開催前後のみ公開)→https://2taai.booth.pm/

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    芦緖(あしお)

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    いきなりあぶないスカイゾーン展示作品
    「LOVELESS」という漫画のパロです。
    生まれつき耳と尻尾が生えていて、性交渉を行うと耳と尻尾がなくなるという設定を使わせていただいてます。
    今後長編として書きたいので、書き出し程度ですがよかったらお読みください!

    #ハンボブ
    humbob
    #TGM
    #ボブ
    bob

    A Midsummer Night’s Dream まだ暑さの残る初夏の夜、テントを抜け出したボブは湖の畔に向かって駆け出した。
     月の光を反射して輝く湖はとても美しかったが、ボブの目当てはこの景色ではない。ある人と待ち合わせをしているのだ。
    「ロバート」
    「ジェイク!」
     後ろから声をかけられ振り返ると、待ち人が笑みを浮かべて立っていた。高校生だけどミミのない「大人」のジェイク。ボブが駆け寄ると、軽くミミに指を這わせて頭を撫でてくる。
    「待ったか?」
    「全然。……ちょっと、僕小さい子じゃないよ」
    「まだ中学生だろ」
     子ども扱いは不服だが頭を撫でる手は気持ち良くて、ボブは少し唇をとがらせた。
    「……ねぇ、今日はどこ行くの?」
    「去年のキャンプで見つけた穴場があるんだ。すっげぇきれいな洞窟。ロバートも気に入ると思うぜ」
     早熟なジェイクと優等生のボブは一見すると関わりを持ちそうにない組み合わせだが、何故か二人は互いに惹かれ合った。
     サマーキャンプのアクティビティで怪我をしたボブをジェイクが手際よく手当したのがきっかけだが、目があった瞬間感じたことのない気持ちが胸に溢れたのを覚えている。しかしミミなしのジェイクとボブが一緒にいると大人たちがいい顔をしないので、こうして夜人目を避けて会っていた。実際ルールを破って夜出歩いているので大人たちの心配は的中してしまっているが、ボブは楽しくて仕方がなかった。
    「ここは危ないからな。手つなぐぞ」
    「うん」
     足場の悪いところに来るとジェイクが手を差し出す。大きな手が自分の手を包むように握り、きゅっとボブの胸が高まった。なぜこんなにどきどきするのかわからないまま、ボブは今日もジェイクと二人で長い夜を楽しんだ。



     

     パッと目が覚め身体を起こすと、最近移動してきた兵舎の部屋だった。随分懐かしい夢を見たと感傷に浸りながら、ボブは朝の支度をすすめる。
     鏡の前に立つと夢の中の自分の顔が一瞬ちらついた。ミミがあるのは変わらないが顔つきはだいぶ大人びたと思う。ただよく童顔と言われるように幼い頃の面影は人よりある方だろう。なのに未だに自分のことに気が付かない男に、ボブは内心苛立ちと寂しさを感じていた。
    「ジェイクのばか……!」
     ハードデックで出会ってボブはすぐに気が付いた。金髪に緑の瞳、体格は大分変わっていたが笑顔は一緒で、ハングマンがあの「ジェイク」だとすぐわかったのに。
     リモアでは部隊が異なり、名前やコールサイン程度の噂は聞いていたが同一人物だとは思いもしなかった。けれど顔を合わせたにもかかわらず気がつかないとはどういうことなのか。
     連絡先を交換したのに結局連絡できなかったから? しかしそれはサマーキャンプでの様子を聞いた親にメモを捨てられてしまったからで、大人になった今なら事情を察することもできるはずだ。それにジェイクも連絡をくれなかったのでお互い様だろう。
    「やっぱりあれは、冗談だったのかな……」
     思い出すのはジェイクと過ごした最後の夜、二人はある約束をした。とても大切な約束を。
    「僕だけ浮かれて馬鹿みたい」
     間違いだったらと思って話しかけられなかったが、捨てられないよう隠し持っていたサマーキャンプの写真を確認して部屋で一人喜びを噛み締めた。けれど翌日声をかけたボブを見るジェイクの目は明らかに知らない人間を見る目だった。結局その先の拒否や否定が怖くて、自分があのロバートだとは言えずじまいだ。
    「ボブー! 起きてるかー!」
     隣部屋のファンボーイがノックとともに声をかけてきて、現実に戻ったボブは慌てて残りの身支度を整える。気持ちに同調して垂れ下がったミミをきゅっと上げ軍人として、優秀なWSOとしての仮面をつけて部屋を出た。
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    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/お題「いい子」「悪い子」
    たまらんくらい最高のお題だったのでどちらも使いました
    帰り支度 思えばブラッドリーは、僕の知る限りずっといい子だった。
     大人の助けが必要なほど幼い頃から、ブラッドリーは他者を助けることに躊躇いがなかった。家の中では着替えを手伝ってもらっていた子が、外では道端でひっくり返った虫を草木がある場所まで戻してやり、公園では転んだ子に駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。小さい頃は家族や僕以外には少し内気だった坊やは、転んで落ち込んだその子を控えめな態度で誘い、一緒に遊んで回った。そのうちその子は坊やの友達になり、名前と住所を教え合った。
     学校に通い始めてからも、ブラッドリーは何も変わらなかった。忙しいキャロルに代わって保護者面談に出席すると、先生からは驚くほどよく坊やを褒められた。「クラスメイト同士の喧嘩を止めて、仲直りまでさせたんですよ」また、意地悪されている子がいれば常に一緒に行動し、いじめっ子にも怯むことはなかったという。優しくて強い心を持ち、それを家族や僕以外にも分け与えられる子。先生の話を聞きながら、僕は誇らしさで胸がいっぱいだった。僕が坊やを育てたわけでもないのに、すぐにでも彼をハグしたくてたまらなかった。帰宅してキャロルに報告する間、僕の隣で話を聞いていたブラッドリーは嬉しそうに小さな鼻を膨らませていた。褒められるためにしているわけではなかっただろうが、それでも大人2人に口々に讃えられることは、彼にとっても大きな喜びだったろうと思う。
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    カリフラワー

    DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「歌声」
    わかりづらいですが、段落ごとに時間が進んでます。本当にわかりづらいです。反省してます。
    Sing for me 幸せだと感じる時、聞こえてくるのはいつも彼の歌声だった。
     ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。

     繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
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