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    芦緖(あしお)

    @futa2ai

    20↑shipper。 ふたあい(二藍)はイーベン小説中心に活動中。M:I(イーベン)、 TGM(ハンボブ、ルスマヴェ)の話題多め。字書きですが、絵を描くのも好き。
    通販(基本イベント開催前後のみ公開)→https://2taai.booth.pm/

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    芦緖(あしお)

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    出遅れ過ぎたグレパ誕のハンボブ小話(付き合ってる)
    ハングマン自分の誕生日とかあんま気にしてなさそう。
    実際は任務前だけど創作の世界では何でもありですよね!

    #TGM
    #ハンボブ
    humbob

    救世主に祝福を ハングマンは自分のことに関して無頓着なことが多い。周りからどう思われても構わないというあの性格もそうだが、軍人としてのジェイク・「ハングマン」・セレシンという部分以外は基本的に自分に興味がないように思える。
     ボブと付き合いだしてからは興味の対象に恋人枠ができたが、ボブのことは色々と聞いてくるのに自分のことに関してはほとんど語らない。語るほどの興味がないのだ。だからボブがハングマンの誕生日を知ったのは、本当に偶然だった。
    「おや、ハングマンの誕生日明日なんだね」
     任務の報告書をまとめていたマーヴェリックが広げていた書類を集めながら声を上げた。集められたメンバーのプロフィールにでも目が留まったのだろう。
    「しまった。こういうの今は厳しいんだよな?」
    「いいえ大佐。いいこと聞きました!」
    「救世主にサプライズを仕掛けよう!」
     ちょうど同じ部屋にいたメンバーがボブ、フェニックス、ファンボーイでボブ以外の二人は目を輝かせてニヤリと笑った。
    「そうと決まったら、こうしちゃいられません!」
    「準備! 俺達他の奴らにも声かけて準備してきます!」
    「ボブはハングマンが気付かないようにアシストよろしくね!」
     二人は素早く書類を片付けると、勢いよく敬礼をして部屋を出ていく。あまりに機敏な動きにマーヴェリックも思わず笑っていた。
     一方ボブは思いがけず知った恋人の誕生日に何を送ろうか、そもそも一日で用意できるのかと静かにパニックになっていた。



     結論から言うとサプライズは大成功だった。
     人の誕生日には張り切るくせに自分にはサプライズなど誰も仕掛けないと思っていたのか、ハードデックに入るなり「ハッピーバースデー! ハングマン!」と言う声とともにクラッカーまみれになったハングマンは見事に固まった。いつものようにのってくると思っていた面々も予想外の微動だにしないハングマンに驚き固まる。しかし状況を理解したハングマンが一瞬照れた顔をして、それからすぐにお馴染みの上から目線で「素晴らしい俺が生まれた日を祝わせてやってもいいぜ」なんて言うのでその場は一気に盛り上がった。
     主催がフェニックスとファンボーイなので最初の一時間ほどはパーティーの様相を保っていたが、今ではいつもの飲み会の状態になっている。けれど始まってからマーヴェリックやホンドーをはじめ、たくさんの人に祝いの言葉をかけられて、ハングマンも嬉しそうだった。
     ボブはハングマンの周囲が少し落ち着いたのを確認すると、声をかけて外へと連れ出す。今日は貸し切りなのでデッキには誰もおらず、二人きりになった。
    「ジェイク、誕生日おめでとう」
     デッキに腰を下ろすと、ボブはハングマンをまっすぐ見つめ愛しい恋人の誕生日を祝った。
    「あぁ、クソ……お前に言われると照れる」
     薄暗いのではっきりとはわからないが少し顔をそらしたハングマンの耳は赤いように見える。なかなか珍しい表情に、ボブはもっと色んなハングマンの一面を見たいと思った。
    「本当はもっと色んなことしてあげたかったんだよ? でも君教えてくれなかったから」
    「興味ないかと思ってな」
    「あるよ! だから今度の休暇、買い物に行こう。それで君の好きなものを教えて。君が僕のことを知りたがるように僕だって君のことが知りたい。君の好きなものを僕に贈らせてよ」
     興奮してボブが一気に捲したてると、嬉しそうに笑ったハングマンが「わかった。約束な」とボブの頬にキスを落とす。
    「ジェイク、僕昨日誕生日だって知ったんだ。だから今日はプレゼントを用意できなかったんだけど……」
    「今度くれるんだろ」
    「うん。だけど今日もやっぱり何かあげたいから……その、このあとの僕の時間をあげる。それでもいいかな……?」
     話しながらボブは顔が熱くなるのを感じた。これはいわばお誘いだ。
    「それは……最高のプレゼントだなベイビー」
     ハングマンの声が一気に艶めいて、ボブの頬に手が伸ばされた。まつ毛の長さがわかるぐらいハングマンの綺麗な顔が目の前まで近づく。
    「ん、っう……ジェイク……」
    「ロバート」
     ボブがきゅっと目を閉じると唇が重なった。触れるだけのキスから啄むようなキスにかわって、波音の中に二人の吐息が混ざる。
     唇が離れると、ハングマンはボブの手をとって立ち上がる。続いてボブも立ち上がり指を絡めて手を繋ぐと、ハードデックの喧騒を後に二人は甘い言葉を交わしながら宿舎の方へと消えていった。
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    芦緖(あしお)

    DONE前回書いたハングマンとボブの話(マヴェ達帰還直後の話)の続き。
    今回はハン側の視点で。ハンボブの民ですが、まだまだそこに至るまでの道が長い。
    ※ポイピクの話をもとに書いた「それは雫のように」はオンイベなどで頒布してます!
    それは雫のように ほっとした瞬間、ハングマンの視界がぐらついた。周囲の音が聞こえなくなって、代わりに自分の鼓動だけが耳に大きく響いて、今いるこの場が現実なのか分からなくなった。
     本当に自分は二人を救えたのか? もう手遅れで、何もできず自分も撃墜されて死ぬ間際に都合のいい夢を見ているんじゃないか? そんな疑問がハングマンの思考を支配する。
     そのうち歓喜に湧くデッキにいるのが耐えられなくなり、悟られないように人混みを抜けた。一人になると少し冷静になって、現実と悪夢の区別がつくようになってくる。それでも身体の震えが止まらなかった。
     ハングマンにとってこんなことは初めてだった。危険な任務はこれまでもあったしパイロットとして命の危機に瀕したこともあった。きっと今までのハングマンであればこんな状態にはならなかっただろう。しかしマーヴェリックに教えられる中で知ってしまった。パイロットとしての生き様だけでなく、チームが、仲間がどういうものなのか。そしてそれを失う恐怖も。
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