漣ジュンの証言 以前、おこがましくもこのオレが、あんずさんからレンアイ相談を受けたことがある。「茨くんってやっぱり、私のこと好き、なのかな」なんて。そんな分かりきったことを聞いてくるくらいにあんずさんが茨のことを好きで、大切に想っているのが分かって、正直安心した。
いや別に、あんずさんのことを疑っていたわけではないけど。契約結婚だなんだ言いながらも、あいつがずっと一途にあんずさんのことを想っていたと知っているし。なんつぅかやっぱりオレは、茨に幸せになって欲しかったから。……こんな言い方、本当におこがましいと思うけど……まぁ、事実だから仕方がない。
そんな風に思っていた二人が今度、結婚式を挙げるって話になって。おめでたいことのはずなのに、日程を告げてきた茨はやや不機嫌そうな顔だった。……つぅか、「この日オフですけど、できれば予定空けといて下さい」なんて言い方するから新しい仕事でも入るのかと思ったんすよね。それがよくよく聞いてみれば挙式の日とか、なんでだよ。
でもあんずさんにそれとなく聞いてみれば、どうやら茨的にはふたりきりでって希望だったらしくて。独占欲の強い茨らしいなって笑っちまったのは仕方ないですよねぇ。大丈夫ですよ、盗ったりしませんから。……あ、でも、スピーチはオレに任せてくれるとうれしいです、約束なんで。
そうして迎えた挙式の日。やっぱりすっごい綺麗だなって思っちまったのは黙っておいた方がいいんですかね。いやでも、どうせトータルプロデュースはあんたなんでしょ、茨。……いや、茨のプロデュースはあんずさんなのかな。あんまり見たことない感じだから。とは言えそもそも白着てる茨は珍しいし、オレはあんたらと違ってプロデューサーじゃないから自信はないんすけど。
とにかくとりあえず、これはちゃんと言っときます。ふたりとも、おめでとうございます。末永くっつぅか、病める時も健やかなる時もっつぅか……地獄の果てまでもあんたらは一緒に居れそうですし。いや、めでたい席で言うことじゃねぇですね、すんません。
あ〜っと、締まらねぇ感じになっちまいましたけど、とりあえずオレからは以上で。またオレで良ければ聞きますんで、レンアイ相談? ……はは、睨まねぇで下さいよ、新郎さん。