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    nekodamashii12

    @nekodamashii12
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    nekodamashii12

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    猫を預かってきた門キラ現パロ。続きはまた明日あげます。

    受けだって猫である。ある休日の前の日だ。二人で住む家にキラウシが猫を連れて帰ってきた。どうやら職場の人が出張かなにかで猫を預かってほしいと言われたらしい。突然のことで驚いたが、この前言っただろときつめに言われてそういやそんな気もするので突然ではないらしい。

    「このアパート動物禁止だぞ」
    「ペット禁止な。管理人にも隣人にも許可を取ったといっただろ。」

    確かに。なぜかお隣さんと管理人のご婦人に気に入られてるもんな、キラウシ。ちゃんと許可をとる誠実さも魅了するひとつの要因なのだろう。わかる。

    「いやでも、猫って壁とかひっかくんじゃねぇの?」
    「大丈夫らしい。そんなひっかくようなやつじゃないし、お気に入りの爪研ぎも借りてきた。」

    そう言って車からもっておりてきた箱を置く。この中に飼い主から借りてきたもろもろの猫グッズが入っているのだろう。かなりの量があるんじゃないのかと思っていたら、まだ車にあるんだ手伝えと言われる。まだあるのかよ。ちらりとソファの上に置かれた猫用のキャリー(高そうだ)を一瞥する。ギロリと丸い目玉がこちらを瞬きもせずににらみつけていて小さく悲鳴を上げてしまった。



    受けだって猫である



    「名前は片平君八号らしい。」
    「え、なに、ソレ名前なの?」
    「普段はハチと呼んでるらしいぞ」

    とにかくハチね。ある程度いつものリビングを綺麗にして、持って帰ってきた猫グッズを広げるとまぁ場所をとる。一つ一つ高そうな物ばかりで辟易する。猫のご飯入れてる皿なんかあの朝食を食べるブランドの皿らしい。どんな金持ちに飼われているんだよ。俺の皿なんかヤマザキパンの春祭り皿だぞ。結構使い勝手いいんだぞ。

    「ハチをキャリーから出すぞ。ほら、門倉も離れてないでこっちこいよ。」
    「いや、俺はここでいい。」

    俺はあまり人間以外に動く物ってのは得意じゃない。いや人間も得意ではないけど。犬には噛まれ、うさぎにはしっこをかけられ、猿には糞を投げつけられてきた人生だ。猫にも幾度となく引っかかれたり噛まれたりなんだしてきたんだ。正直、キラウシにはこの件は断ってほしかったぐらいだ。キラウシにすべて任して俺は離れて関わらないようにするのが吉だろう。俺はソファに座りながら興味なんてありませんからとグビッとハイボールを飲む。そんな俺に呆れた様子で一瞥し、キラウシはかまうもんかとキャリーの扉をあけた。

    「にゃ~」
    「ほら、おいでハチ。」

    そして元気よく飛び出してきたのは、丸っこくて毛が長くてふわふわの短足な子猫だ。少し可愛いと思ってしまったが、絶対に口にはださねぇ。
    ハチは呼びかけて手を伸ばすキラウシの手をくんくんと嗅いで、そして頭をこすりつける。

    「ほら門倉。撫でてほしいみたいだぞ。人懐っこいやつだな、ハチ」

    キラウシはうれしそうに笑いながら、がしがしと子猫を撫でる。・・・その様子はまぁ悪くはない。

    「ハチおなか空いてないか?」
    「そういやそいつの飯あんの?」
    「あぁ、もらってきてるぞ。確か・・・この缶詰らしい。」

    そう言って箱から取り出した缶詰を見た瞬間、猫は目の色を変えてキラウシの膝に飛びついた。

    「わっ、腹減ってたんだな。待ってろ、今入れてやるからな」

    俺にはそんな優しい声色使ったことないんじゃないと言いたくなるくらい優しく猫に語りかける恋人に少し寂しさを覚えながら、その缶詰の値段が気になってスマホで検索する。いやなんだこんだけ猫のグッズに金をかけている飼い主なら猫の飯にどれだけ金かけてんのかなって気になった訳よ。そして後悔するよね。一缶450円の飯だもん。フォアグラ入りだって。俺だって人生で一度か二度しか喰ったことねぇよ。
    そんな高級品とは知らずに、その猫はがつがつと飯を食っている。俺はソレを横目に先日スーパーのワゴンでみつけた90円のやきとりの缶詰をつまみにさらにグビッと酒を勧めたのだった。

    「ふふ、可愛いな。」

    キラウシはがつがつと飯を食べる猫を見つめて微笑んでいるではないか。なんだよ、俺が喰ってたらテレビばっかり見るな早く喰えっていう無愛想に言うくせにまぁ。

    「おい、門倉見てみろ。がつがつ食べてるぞ。」

    笑顔で言うもんだから、文句も飲み込んでそうだねぇとしか返せなかった。

    元々世話好きな性格の恋人だ。俺に告白も「ほっておいたら死んでしまいそうだから」って言っていたし。俺はのび○び太か。そんな性格だからか親戚の子供やペットに対してかわいがる様子は幾度と見てきた。今回もそうなのだろう。おもちゃやおやつやを両手に持っておいでおいでと猫に呼びかけている。しかし、猫は気まぐれとは言った物で、キラウシがいくらかまおうとお構いなしで毛繕いをして自分の家のように自分勝手にくつろぎだした。
    挙げ句の果てには・・・



    「ずるい・・・」
    「そう言われてもな・・・」

    猫はかまうキラウシを無視して、ソファの上に座る俺の膝の上にくるりと丸まって寝てしまった。おいおいこいつ人慣れしすぎじゃないのかと思うが、それよりも恋人の目線がイタい。

    「ずるい・・・門倉は別に猫なんて好きじゃないって言った。」
    「そんなこた言ってないだろ。お前は構い過ぎなんだよ。」
    「俺も膝で寝てほしかった。」

    俺がお前の膝で膝枕しようとしたら恥ずかしいだ重いだ動けなくなるだ文句は言うくせに猫ならいいんだ。へぇ。俺はこの年にもなって惨めに猫に嫉妬してしまっていたようだ。

    「キラウシ、キラウシ・・・」
    「ん?」
    「いいだろぉ?羨ましいか?」

    そう言って俺は膝で眠る猫の頭をさらりと撫でた。ごろごろと落ち着いた様子の鳴き声を上げる猫。そして、キラウシはぐぬぬと下唇を噛んで悔しがっている。

    「門倉ぁ・・・」
    「ウェイッ」

    どうだ、悔しいか。俺だって構ってほしかったんだ。とは絶対言わず、見せつけるように猫の顎を撫でる。歯を軋ませている様子で俺と猫を見て、キラウシはふんっと鼻を鳴らした。どうやら相当悔しかったのか、その場から立ち上がるとすたすたとソファの後ろへと行ってしまった。勝ち誇った顔で俺はへへっと笑うと、猫をまた人撫でする。ふわふわな背中が気持ちよくて毛に指を埋める。するととくとくと心臓の動く音が聞こえてこんなにも小さくても生きてんだよなって実感する。
    その時だ。

    「っ!!!」

    ソファの後ろから顎を捕まれて、無理矢理顎をぐいっと上げられ天井に顔を向けられる。しかしその先には天井はなく、怒った様子の恋人の顔がありそしてそのまま唇を奪われる。獣のような口づけで無理矢理俺の口を舌でこじ開けると有無を言わさず歯列をなぞる。そして舌を絡み盗られて軽く噛まれてそして吸われる。まるでこれからことをおっぱじめようじゃねぇかと無理矢理にでも誘っているようなキスだ。幾度となく体を重ねてきた俺たちの合図のようなそのキスに俺は抵抗することもなく、仕返しとばかりにそのキスに答えて同じように噛んで吸ってをすると、すっと唇が離された。キラウシの口から唾液の糸がたらりとたれて妖美に光に照らされていた。

    「っ・・・キラ」
    「構い過ぎたな。これで終わりにしよう」
    「え?」

    キラウシはそう言うと、悪魔のような笑みを浮かべてその場から離れていく。

    「え、おい、キラウシ君?するんじゃないの?」
    「引くことも肝心だからな。」

    そうしてキラウシは俺と俺の膝で眠る猫に背中を向けるとリビングから去って行ってしまったのだった。おいおい、俺の俺が反応しちゃったわけだけどどうすんの?なぁと語りかけてもうんともすんとも言わず、ただ膝で眠る猫が俺のそれに不快そうに顔を歪めただけだった。


    続く。
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    Replies from the creator

    nekodamashii12

    MAIKING※書きかけ。ハロウィンな魔法で若返った門倉さんとキラウシくんな門キラ。続きが書けないの…ので置いておきます。気がついたら…
    あの素晴らしい若さをもう一度。「お前さんがよ、ほんとに俺で満足してんの?」

    事が終え、だらりと体をベッドから垂らした門倉は目も合わさずそう問うてきた。既にもう寝ていたと思っていたのでその横で本を読んでいたキラウシは眼鏡を外して本をベッドサイドに置くと、呆れた様子でそっぽ向く相手の鼻をつまんだ。

    「いてっ」
    「カドクラ、その質問は何度目なんだ。」
    「…ってよ…」

    膨れていじけるような年齢ではないことはわかっているが、これがどうしてやはり自分の年齢と若い恋人と釣り合っているのかというのは不安にはなる。
    先程の行為だって自分より若くそしてアウトドア系の相手が本当に満足してくれているのかさえわからない。行為の間も腰痛持ちの自分に対してかなり配慮してくれているはずだし、何より門倉は果てるとすぐに眠気が来るタイプだ。行為が終わり身を整えるとバタンキュー。そんな自分とは違い、恋人のキラウシは行為が終えると今のように本を読み始めたり、明日の支度や料理の下拵えなど始め出すのだから本当に満足しているのか心配にもなる。
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