休日の上々な俺今日はキラウシは朝から仕事だと言っていた。休みの日をダラダラと過ごすなと普段から言われ続けていたこともあり、なんとなく今日は近くの堤防で釣りをしに行った。長い間竿を垂らしていたが、釣れたのは1匹。まぁ俺の長い釣り人生の中で1匹だけでも釣れたのは上々な方だと思う。
仕事で疲れたであろうキラウシにこの魚で何か作ってやろうとレシピを調べる。便利な世の中になったもので動画サイトで検索をかければ大量にレシピが出てくる。気まぐれにそれを見ながら捌いていくっ。
台所がかなり血まみれにするほど手こずってしまったがまあいい。そしてその魚をムニエルにする。焼いている途中くしゃみをしてしまい、ワインをフライパンの中にこぼしてそのまま火が移ってフランベになって火災警報器がなってしまったことにはびっくりしたが、かなり良い焼き加減となったのではないだろうか。
ついでに味噌汁なんかを作ろうと思ったが、玄関の鍵を開ける音が聞こえて、今日の味噌汁はインスタントとなった。
出来たてのムニエルを見て美味そうだありがとうと一言言ってくれた後に、台所の大惨事を見てかなり心配された。そりゃそうか。血塗れの焦げ焦げだもんな。
出来たてのムニエルと炊き忘れた米の代わりのパックご飯とインスタント味噌汁。それからキラウシの買ってきた惣菜を並べて、そして2人で向かいあわせで食卓に座る。お互い忙しい身でたまにしか味わえない幸せを噛み締めながら手を合わせた。
釣ってきて捌いて焼いて。買ってくりゃ一瞬の話だが、それもまた一興。恋人も美味いうまいと大変喜んでくれたようだ。
いい休日になったもんだ。明日からまた激務も頑張ろうかね。
「ところで門倉、この魚なんて魚なんだ?」
「あーなんてったっけ?バラムツとかってやつ。」
その晩、俺とキラウシは薬局に走らなければならなくなってしまったのだった。