虫歯🌸ちゃんと歯科医師mty🌸の歯磨きは長い。普通3分磨けば上出来とされている歯磨きだが🌸は酷い時だと10分程歯を磨いてる時がある。一種の強迫観念かと思うほど。
「🌸痛み止めなんか飲んでどうした?女の子の日来た?」
「ちょっと歯が痛くて……。」
「歯?」
「う、うん……。」
ほれ見してみと言う俺は歯科医師だ。膝に頭を乗せろとポンポン膝を叩く。
「や、や!大丈夫だよ!気圧とかそう言うのだよ!!」
「親知らずとか虫歯かもしんねぇだろ?ほらおいで。」
それでも大丈夫だからと拒否する🌸は虫歯を隠す子供そのものだった。
膝枕の状態で🌸の口を覗けば奥歯に虫歯が。ありゃ〜虫歯だなと言うと真っ青な顔をする🌸。
「や、やだ……歯医者行かない……。」
「だーめ。虫歯は悪くなる一方だから。」
「だって抑え付けて無理やり口開かせて意地悪するんだ!!たかちゃんもするんだ!!やだ!!!」
話を聞くと幼い頃虫歯になった時治療の際に怖くて暴れてしまい無理矢理抑え込まれて🌸の意志とは関係なく治療が続けられたのがトラウマの様だった。
「助手さんとか手足抑えつけるんだよ!!怖いよ!!」
「じゃあ俺だけが治療するからな?助手とか付けねぇから二人っきりなら安心だろ?」
「でも……たかちゃん抑え付ける?」
「抑え付けねぇし暴れていいから。」
「本当に?」
「本当。俺が🌸に無理矢理したことある?」
「…………ない。」
ちょうど正月休みで勤務している病院は休みで人がいない。医院長に許可を貰って二人っきりで治療する。
「🌸もうちょい口あけれる?」
「あ。」
「あ。」と口を開けると小さな可愛い歯が並んで見える。
「たかちゃ……怖い。手、手握って。」
「手握ってたら治療出来ねぇよ。」
「やぁだ。」
🌸の虫歯は痛いと言っていただけあって神経にちょうど到達した進行状況だった。🌸は痛いのを怖がっているので麻酔注射する前にまず子供用の塗るタイプの麻酔をしてから麻酔注射をする。
「ちょっと苦いの塗るけど痛くねぇからな。」
「痛くない?」
「これは絶対に痛くない。」
塗り麻酔を指にとって🌸の虫歯の所に塗ろうとした時だった。
「やっぱ怖い!!!」
ガバッと起き上がった🌸。その目には少し涙の膜が張っている。
「怖いな〜そうだよな。でもこれ俺の指。」
「たかちゃんの指……。」
「そ、🌸がえっちの時に舐めてくれる俺の指だよ?怖くないだろ?」
そう言うと🌸の顔が赤くなる。何言ってるの!とツンギレする🌸は少し笑顔になる。再び診察台に寝かせて塗り麻酔を指にとって虫歯の部分に塗る。次にする麻酔注射で痛くしては努力が水の泡だ時間をかけて塗り麻酔が効くのを🌸と一緒に待つ。
「たかちゃん苦い……。」
「苦いけどちょっと我慢な〜。いい子だな。歯磨き頑張ってたのになぁ〜。」
「うん……。」
「これからは🌸の歯磨きの最後の仕上げは俺がしてやろうか?」
「ちゃんと出来るもん!」
「本当に?」
「多分……。」
そう言ってる間に麻酔が効いてくる。
「🌸感覚ある?」
「無いかも。」
「ん、了解。」
そう言うと麻酔注射をする。麻酔注射の見た目にビビってる🌸を宥めて素早く注射する。
「痛い?」
「え?今注射した?」
「したよ?分かんなかった?」
「うん……。」
次は虫歯の部分を削る、ここからが本番だ。削る音で怖がる人も多く一番の難関だ。あのキィーーンと言う音が恐怖を煽るのだ。
「🌸?今から大きな音するけどビックリしなくていいからな?」
「や、やだ怖いよ……。」
「大丈夫だから麻酔十分したから痛くないよ。」
「本当に?」
「本当、本当。」
素早く器具で虫歯部分を削る。
「ちょ、ちょっと待って!!」
「痛い?」
「痛くは……ないかも?」
「だろ?」
いい子だな〜我慢できるのか。後ちょっとだからな〜と言いながら順調に虫歯部分を削る。何度か診察台から勢いよく起き上がったりして通常の治療の3倍要した。
最後に削った部分を樹脂を詰める。これなら一日で治療を完結させられる。
「たかちゃん!治療出来た!!」
「おー出来たな。すごいな偉い我慢したな〜いい子いい子。本当にすごいよ。」
器具を片付けながら診察台に座る🌸と喋る。麻酔強めにしたから暫くは違和感があるだろう。2時間後くらいには違和感も引いてくるはずだ。
今日の夕飯は食べやすいものの方がいいか?と思いながら🌸と病院に出てスーパーへと向かう。