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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    お題『雨の日』
    ※is over後🗼
    どうしてもあの夜がこびりついているお話。

    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #キバダン
    #kbdn

    あと15センチ 朝方から分厚い雲が占拠していた外の景色も、午後に入るといよいよ大粒の雨が降り始め、今やもうバタバタと執務室の窓ガラスを叩き続けている。タワーは構造上ガラス部分が多いため、天気の変化がよく分かる。バトルタワーの来場者数は、屋内バトル施設という事もあり寧ろいつもより多いくらいの数であったが、今日はダンデの所まで登ってくるトレーナーはまだ居ないらしい。そうなると事務仕事が増えてくるわけで。ダンデは朝から山のように積まれた書類達をせっせと捌いていた。
    「オーナー、時間ですよ」
    「ああ、もうそんな時間か。通してくれ」
    「実は、もう来ちゃってたりしてな」
    「おお。ビックリしたぜ」
    「全然してない顔じゃん!」
     悪戯な顔でドアの後ろから顔を出す来客、もといキバナは想像と違う反応に少し不貞腐れた顔をする。その気安いやりとりに、クスリと笑みを浮かべた秘書は応接テーブルの上に手早くティーセットを置く。
    「では、何かありましたら連絡くださいね」
    「ありがとう」
    「ありがとな」
     2人からの言葉に一つ笑みを返して、秘書はそのまま退室する。扉が閉まる音と一緒に聞こえてくる雨音が強くなる。
    「書類の山じゃん」
     扉の前からでも見える、仕事の山を見て渋い顔をするキバナに「これの他にペーパーレスの仕事もあるぜ」なんては言えず、ダンデは乾いた笑いを返す。
    「立派なホワイトヒルだろ?」
    「そうなるとこれ、まだ山頂から八合目までしか減ってない計算じゃね?」
    「やめてくれよ、事実だが落ち込むだろ」
    「ははっ!」
     元々そこまで書類仕事を好む性格でも無いので、キバナからの素直な指摘に肩をすくめて渋い顔をする。それを見て、ひとしきり笑った後に、キバナはダンデの眉間を指先で軽くつつく。
    「眉間に皺」
    「……あぁ」
     キバナに指摘され、ダンデは溜め息を吐きながら眉間を指先で揉み、解そうとする。が、あまり上手くいかないようだった。
    「雨の日って古傷が痛むよな」
    「……そんなに分かりやすいか」
    「いや?秘書さんいる時は全く顔に出てなかったな」
    「じゃあセーフだぜ」
    「オレさまには見せて良いの?」
    「キミだから見せるんだ」
    「……」
    「っいきなり抱きしめてくるな!ここは職場だぞ?!キミのグッとくる基準がよく分からないな!?」
    「自分にだけ見せてくれる姿ってグッとくるというか……くるわぁ」
     正面から抱きしめたダンデの旋毛へとその高い鼻筋を懐かせながら、キバナはしみじみと呟く。不埒に動き始めた手は、ダンデによってギッチリとつねられたので今はお行儀良く背中へと回された。
    「そろそろ離れてくれ。キミも今回の打ち合わせ終わったらジムの方へ戻るんだろう?」
    「んーもうちょっとだけ。あったけぇ」
    「ちゃんと、心臓も動いているし、元気だ」
    「……分かっちゃうか」
    「言っておくが、オレだから分かるんだぜ」
    「そっかぁ」
     なら、いいか。じわりと緩むターコイズ色した瞳とは裏腹に抱きしめられる力は強くなる。強くなる雨音に掻き消されないよう、ダンデは少しだけ背伸びをしてキバナの背へと腕を回す。
     心臓が少しでも同じ高さになれば良い。そう思って抱きついた。
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    肴飯のポイ箱

    DONEお題「相棒」
    変わらないものと、変えたいものについて。これからキダになる。そんなお話。
    変わらない、変わりたい 夜の帳が下りてから大分時間も経ち、今や空の天辺には艶やかに月が光り輝いている。月明かりによって漸く足元が見えるような部屋のさらに奥。窓も無い物置部屋は橙色の小さな室内灯によって照らされている。
    「あれ…やっぱりねえな」
     物置部屋からあちこち物を引っ張り出しては首を捻る長身の男は、最後に諦めきれないようにザッと散らかった部屋の中を見回す。が、お目当てのものは見つけられなかったのだろう。心なしかガックリと肩を落としながら部屋の電気を落とす。
     パチリ、と音を響かせてスイッチを押せば部屋の中はたちまち薄白い光が差し込むだけとなる。
    「ゴーキン」
    「おっジュラルドン。どうした?月光浴はもう良いのか?」
     ベランダに通じるガラス戸を器用に開けて、のっしのっしと音を立てながら自分の方へと歩いてくる白銀の相棒に、長身の男の正体であるキバナは、優しく笑いながら話しかける。いつもならもう少し月夜を浴びて楽しんでいる筈なのに、体調でも悪いのだろうか。そう、少し心配になってじっとこちらを見つめてきているジュラルドンのボディをチェックしようとした瞬間。
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