ようこそ、春 春。という季節がダンデは小さな頃から大好きだった。草むらを転がれば鼻をくすぐってくる甘い草の香りに、日差しを浴びて気持ちよさそうにしている小さなポケモン達。彼がチャンピオンになって数年経った今でも、春の時期は休みを見つけてはワイルドエリアや野山を駆け回り、野生のポケモン達とバトルをして季節の変わり目を満喫していた。その日も、ワイルドエリアを走り回ってから木登りをした。昼寝をしていたのか、カジッチュが木の上でゆらゆらとりんごを揺らしながら目を閉じていたので、起こさないようにそうっと横に座る。木の軋む音で、起きてしまわないかとダンデはドキドキしたが、よほど日差しが気持ちいいのだろう。全く起きる様子も無く、夢の縁で揺れているようだった。
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