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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロ開催ありがとうございます!
    ⏳ちまちまと中断しながら1時間位
    お題「春一番」
    以前書いた「春」のお話と繋がっていますが、これ単体でも読めます🌸
    春風に乗って迷い込んできたものと、ちょっとしたラッキー(良かったなキバナ!]な話。

    #キバダン
    #kbdn

    春一番で旅をする 日差しが暖かさを増し、リザードンがウキウキで日向ぼっこに勤しむ時間が増えてきた春。今日も日課のトレーニングが終わると、彼はいそいそとお気に入りのラグをあっちこっちに引き摺っていた。漸くお気に入りポイントを見つけた後は、のんびりと欠伸をしながら横になり、すぐに穏やかな寝息が聞こえてきた。
     そんな相棒の一連の動作を満面の笑みで見守りつつ、ダンデは庭に置かれた木製のベンチに座り、ゆったりと手の中にあるマグを口元に近づけた。様々なハーブの香りが広がってくる。ホッと一息ついてからもう一度庭に目を向ける。自分の相棒を始めとしたポケモン達が楽しげに過ごす姿を見て、もう一度ダンデは笑顔になる。カップの中身も減ってきた。そろそろ荷物の荷解きを再開しなければ。

    「ピィー!」

     カップを片付けようと腰を上げた時、甲高い声が庭の奥から響き、庭のポケモン達がざわつき出す。リザードンだけは五月蝿そうにラグ横のクッションに顔を突っ込んでいた。彼は、外で常に気を張る分、家だと結構こういうところがある。
     ピィー!ともう一度響く助けを求めるような声に、ダンデは咄嗟に駆け出した。庭といってもガラルの庭は半分森のようなものだ。すぐさま後ろ姿は木々の影に隠れて見えなくなり、その後ろを心配そうに庭にいたポケモン達も追いかける。
    「なんだなんだ?なんか騒がしいな。」
     そこで漸く、奥の台所の作業をしていたキバナが、庭の騒ぎに気付いたようで顔を見せる。その時には、ベンチの上に中身の無いカップが転がっているだけだった。訂正しよう。日当たりの良い場所でリザードンも転がっていた。
    「リザードン、ダンデ達は?」
     キバナが尋ねると、リザードンは眠そうに半目で「ギュ」と鳴き、庭の奥へと鼻先を向けてまたクッションへと顔を押し付けた。
    「森の奥か。ありがとな。」
     キバナのお礼にフンスッと鼻息だけを返してくるリザードンに苦笑いをしながら、キバナも着けていたカフェエプロンを外して庭の奥へと足を進めていった。


    「ピィー!ピュイ!」
    「なるほど、この子の声だったのか。」
     庭の奥まった場所に植えられている大きなオレンの木。天辺近い木々の隙間にピンク色の小さなポケモンらしき姿が見える。下からだと葉が邪魔をしてどんなポケモンなのかは良く見えないが、ジタバタとしてはピィピィと哀しげな声をあげている様子を見ると、どうやら体が引っかかってしまっているらしい。疲れが出てきたのか段々とか細くなるその声に、着いてきたポケモン達も「早くなんとかしてあげよう?」とダンデに指示を仰ぐように見つめてくる。
    「あっ!やっと見つけた!」
    「キバナ!」
    「こんな奥まで来て、みんなで何を「ピュイ!ピィー」…なるほど。」
    「あれだけ枝が多い場所だと、俺達のポケモン達じゃ飛んで近づくのも羽が当たって危ないだろ?サイコキネシスしようにも、引っかかってる場所がよく見えなくて危険だし。」
    「マジだ。なんのポケモンだろうなぁ。よし、良い方法があるぜ。」



    「これ、本当に良い方法か?本当に他に方法無いのか?」
    「いーのいーの!ほら、あのポケモンを助けるんだろ。上げるぞ!」
     キバナの考えた良い方法というのは単純な話、肩車をすることだった。大人2人だけでは高さが微妙に足りないということもあり、土台をジュラルドンにお願いし、その上にキバナ、ダンデの順で乗っている状態だ。キバナの合図でグッと視線が高くなり揺れに驚いたダンデがキバナの両頬に触れている太ももに力を入れてしがみつく。
    「おわっ!思ったより揺れるな。」
    「わぁおー。想像以上だった。」
    「キバナっ!すまないが暫く我慢してくれ。」
    「良いぜ。むしろご褒美だし。」
    「ご褒美?」
    「いやこっちの話だから。どう?いた?」
     キバナの言葉に甘えてしっかりとキバナの頬を両腿で挟み周りを見ると、少し上くらいの高さに緑の葉っぱを枝の根元に引っ掛け、ピンクの丸い体をパタパタさせているポケモンの姿がよく見えた。
    「驚いたな。ハネッコだぞキバナ。」
    「えっ?ガラルまで飛んできたのソイツ。すげぇな。取れそうか?」
    「ああ、ほらもう大丈夫だぞ。頑張ったな。」
     枝を動かして挟まっていた葉っぱを外し、ダンデの腕の中に抱えてやるとハネッコは安心したのか大声で泣き始めた。
    「まだ小さいなぁ。もしかしたら初めての渡りの途中だったのかもな。キバナ、下ろしてくれるか。」
    「オッケー。ジュラルドン、ゆっくり頼むぜ。」
     ゴーキン、という鳴き声を合図にゆっくりと視界が低くなるのが不安だったのかしがみついてくるハネッコを宥めながらダンデもようやっと地面に両足を着けた。何故かキバナは少しだけ残念そうだった。



    「今日はここと、ここ。季節特有の風が強かったもんな。仲間と飛んでた時にコイツは逸れたのかもな。」
     葉っぱをゆらゆらとご機嫌に揺らしながらポケモン達と一緒にフーズを食べているハネッコを見ながら、キバナはそう呟く。首を傾げるダンデにタブレットで気象図を見せてきたが、全く理解はできなかった。
    「風で気ままに飛んでいくポケモンだけど、流石にひとりでは寂しいだろう。」
    「だよなぁ。仲間の方に無事飛んでいければ良いけど。この季節だときっとパルデアの方に飛んでいく途中だったんだろうな。」
     二人で住む家の荷解き作業は一旦休み。ハネッコの様子を見るために早めのランチタイムをすることにしたが、ピィピュイと甲高い声で他のポケモン達と楽しそうに食事をしている姿に、可愛いもの好きなキバナはずっと目尻が下がりっぱなしだ。今もダンデと会話しながらもスマホのシャッター音は止まらない。
    「まあ、今日のこの感じなら他のハネッコ達も同じようにガラルの上を通ってく可能性は大いにあるだろうし、そこに混ぜてもらっていけば大丈夫だろ。」
    「ピュイ!」
     話が分かっているのかいないのか、キバナの言葉に元気よく相槌を打つその姿は自信満々で可愛らしい。口の周りの食べカスをダンデが優しく抱き上げながらタオルで拭いてやればくすぐったそうに笑う姿に二人は思わず笑顔になる。
    「ふりゃ!」
    「ほら、噂をすればだ。」
     フライゴンが何かに気づいたように空を見上げて鳴く。同じように顔を上げると、澄んだ青空にポツリ、ポツリとピンクや緑、薄紫の丸が空高く風に乗ってふわふわと飛んでいる。
    「よし!アイツらにお願いして一緒に仲間のとこまで行ってもらおうぜ。フライゴン!」
    「ふりゃー!」
    「俺も行くか。リザードンはまだ寝てるから、ドラパ「バキュ。」
    「えっ?」
     フンスッとダンデの脇の下に鼻先を埋めながらリザードンはグルグルと機嫌悪そうに鳴いている。休みたい気持ちは勿論あるが、相棒を乗せる役割は誰にも譲りたく無いのだろう。怒りつつも翼を広げて飛行準備をし始めるリザードンに感謝しつつ、ダンデ達はハネッコ達の集団に向かって飛び始めた。



    「おーい!この子も一緒にいいかー!」
     気持ちの良い陽気の中、風に乗ってダンデの声が聞こえたのか、ふわふわコロコロ気ままに浮かんでいたハネッコ達から楽しそうな返事が聞こえ、ダンデの頭にしがみついていたハネッコも嬉しそうにピューイと声をあげる。
    「ダンデ!フライゴンが教えてくれた。大風くるぞ!」
    「分かったぜ!よし、お別れだ。元気でな!」
     ダンデが頭上のハネッコに伝えると、お礼のように一声鳴きピョコンと頭の上から飛び出した。その瞬間。
    「…っ。」
     もの凄い勢いの風が背中側から吹き抜けていき、髪が散り体が揺れる。ダンデはリザードンの首元にしっかりとしがみつきながら真上を見る。
     楽しそうな甲高い声を次々とあげながら、春色の一団が勢いに乗って飛んでいく。その中に、少し小さなピンク色も確かに混ざっていくのを、確かにダンデは確認した。やがてピュイっと草笛みたいな鳴き声達は、あっという間に遠くなり雲間に消えていった。
    「…行っちゃったな。」
    「ちょっとだけ寂しいな。でも、春みたいな色のポケモン達が春一番に乗って旅をするか。なんか面白いぜ。」
    「きっとああやって世界中旅してるんだろうな。」
    「…羨ましいか?」
    「いや、全然。オレさま地に足つけた生活の方が好きだし。それに、ダンデといると毎日が旅してるみたいに賑やかだろ。」
     そうキバナが素直な気持ちを伝えると、ダンデは嬉しそうに目を細める。
    「これからも、毎日君に大冒険を約束するぜ!」
    「いや、程々にしてくれ。リザードンの気苦労が絶えないから。」
     にっしっしと歯を見せて嬉しそうに笑う愛しい人を見て、キバナは仕方ないなと同じように笑い、相棒の火竜は呆れたような鳴き声を出した。

     ピュイっと空の向こうからも、笑っているような鳴き声が響いてきたような気がした。

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    Replies from the creator

    肴飯のポイ箱

    DOODLEワンドロ
    少年kbn君と同年代🚺dndちゃんの話。
    ※先天性女体化です。
    心より行動が先にくる1人と、心が来てから一気に行動し始める1人の話
    お題『初恋or意識し始め』
    まずは一手 昼下がりのナックルシティ。ジムリーダーになって一年とちょっと。自分に割り振られた仕事をなんとか回せるようになってきたキバナは、最近になって漸く入ることを許された宝物庫内の書庫に昼休憩はもっぱら入り浸っていた。保存の観点から外に全く出される事のない書庫は、知的好奇心が強いキバナにとっては大分豪華なオモチャ箱のようなものだった。
    「(今日は午後から休みだし、入室許可も取った。絶対閉まるギリギリまで入り浸ってやる!)」
     少し浮き足だった歩みで書庫の扉を開け、少し埃っぽい空気を吸い込む。この、何とも言えない紙とインクの香りがキバナは大好きだった。
     ナックルジムの書庫は少し不思議な形をしている。吹き抜け式の円柱型の室内には螺旋階段がぐるりとドラゴンの体のように巻き付いている。その螺旋に沿って壁に本棚が埋め込まれている。光を最低限取り込む為に作られた丸い天窓には、月と太陽をモチーフにしたステンドグラスが嵌められており、外の光を透かして淡い彩光を放っている。
    2021

    肴飯のポイ箱

    DONEワンドロ
    お題「駆け引き•取り引き」
    立ち止まって周りを見たら不安になってしまった1人と、立ち止まった先でずっと待っていた1人の話。
    ※イズオーバー後同棲設定
    すっごい…難産でした…でも楽しかった!
    よーいどん すっかりと夜の帳が下りたナックルシティの片隅。夕食もシャワーも終わらせたキバナは、リビングでのんびりと読書をしながら膝に顎を乗せてくるフライゴンの頭を撫でて存分にリラックスモードだった。間接照明によって柔らかい明るさに包まれた部屋の中では、他のポケモン達ものんびりと寛いでおり平和の一言だ。ただ、少し引っかかる事があるとすれば同棲している恋人の様子が変だったこと。仕事から帰って来たと思えば夕飯もそこそこに共有してる書斎に引き篭もってしまった。
     まあ、何かに集中したい時には同じような事は度々あった。キバナもたまにやる。ただ、今回は表情がいつもより鬼気迫ったというか焦っていたというか。
    「…ふりゃ」
     撫でる手が止まっていた事にちょっと不満げな声でフライゴンが拗ねる。それに謝るように撫でる動きを再開すると、満足そうに目を細めて擦り寄ってくる。そんな可愛い姿に、今日は甘えただなぁ。なんて思いながらキバナは読書を続ける。
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