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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロ
    お題「アルコール」
    湖畔に石を投げ込むか悩む1人と、確信が欲しくて湖畔で待ち構えている1人の話
    拙者!これからキダになるっていうのが好き侍と申す!!!

    #kbdn
    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #キバダン

    今、君を想う「マスター、いつもの。」
    「かしこまりました。」
     バーカウンターの端へ座り、いつの頃からか名前を言わなくとも伝わるようになってしまった注文をしてから、ホッと一息吐く。
     閉店間際とはいかないまでも、大分夜も遅い時間帯。元々カウンターと、数箇所の丸テーブルが置かれている駅からも離れたこじんまりとした店だ。店内にはダンデ以外人影もない。それを分かっているので、変装として被っていた帽子を取り、後ろで一纏めにしていた髪を解く。そのタイミングを待っていたかのように、シェイカーの音が止む。
    「ブルーラグーン、お待たせ致しました。」
    「ありがとう。」
     トンっと、鏡のように丹念に磨き込まれたカウンターテーブルに置かれた空とも海とも言えないような色のカクテルを前に、ダンデは片肘をついて思考を巡らす。
    「(今日も言えなかった…。)」
     ダンデは最近、この言葉ばかり心の中で吐き出している。彼は今、絶賛片想い中だ。相手は長年ライバルとして切磋琢磨し続けている人物で。これが恋だと気付いた時には、彼とはライバル兼良き友として確固たる関係が出来上がってしまっていた。
    「(好きだという、たった一言なのに、何であんなに口が重くなるんだ。)」
     今日はまさに片思い中であるキバナとの久しぶりにプライベートでのフルバトル。互いに鎬を削り合うようなバトルの後、気持ちが昂っている今なら言えると意気込んで、帰り支度をしている彼に声を掛けた迄は良かったのだが。
    「(どうにも、あの瞳を見てしまうと言葉が出なくなってしまう。)」
     バトルコートで見る此方を焼き尽くさんばかりのギラついた瞳とは打って変わって、凪いだ湖面のような瞳を見てしまうと、自分の一言でその湖面が揺れて、彼との関係が壊れてしまったら。そんな事をぐるぐると考えてしまい、結局バトルのお礼を言って軽くランチを食べて解散するという、お決まりのコースになってしまった。
     項垂れながらまだ一口も飲んでいないグラスの縁を、指先で弄ぶ。グラスの側面に水滴がつき始め、戯れに指で拭き取るとまるで涙のように水滴が一筋グラスに沿って流れ落ちる。
     そろそろこの燻る気持ちごと、このカクテルを飲み込んでしまおうか。なんてちょっとだけマイナスな思考になっていると、ヒョイっと軽い動きで目の前のグラスが持ち上げられる。

    「これ、飲まないなら頂戴。」
    「えっ…きっ!キバナ!?」
    「めっちゃ驚くじゃん。」
     シュートで解散したから、とっくにナックルシティへと帰っていると思った人物と、こんなピンポイントな場所で出くわした事に驚き、ダンデは思わず大きな声を上げる。そんな様子を気にせず、良いとも悪いとも言っていないのにキバナはグラスを持ったままダンデの横の席に座り、メニュー表を指で軽やかに叩きながら「これ、お願いします」なんてマスターへと注文をしている。
    「君、帰ったんじゃなかったのか。」
    「ん、ちょっと最近機会を伺ってて。」
     会話が成立しているようで、成立していない。何だか変な気持ちでキバナを見つめたダンデだったが、バーの間接照明によってキラキラと光る彼の瞳と目が合うと、やはりどうしても心臓がバクバクして上手く言葉が紡げない。  
    「はい、ダンデにはこれあげる。」
     暫くして、出されたグラスをキバナに渡されてきょとりとすれば、キバナは目尻をこれでもかと下げながら嬉しそうに笑う。
    「オレさまの気持ち。今度会う時覚悟しといて。」
     グビリと一口で青が飲み込まれ、勢いに圧倒されている内にキバナはグラスをカウンターへと置き、マスターへとチェックをお願いしてさっさと帰ってしまった。チリンっと控えめなドアベルの音の余韻だけが店内に残る。
    「…マスター、このカクテル名前は何というんだろうか。」
     寡黙なマスターはグラスを磨く手を止め、暫く考えるそぶりをした後に、カウンター下からB5サイズ程の紙切れを一枚取り出してダンデの前に置いた。
    「…カクテル…言葉?」
     店のメニュー表と同じくカクテルの名前が羅列されたそれは、カクテルの名前の下に、見慣れないカクテル言葉という単語が並んでいる。
    「レディ達には好評なんです。因みにそのカクテルは、『ライラ』です。」
    「へぇ、そうなのか。」
     はて、しかし何故それが今出てくるのだろうか。そんな顔をマスターに向かってしてみるが、彼は素知らぬ顔でグラス磨きを再開してしまった。仕方なく、ダンデは手元に置かれたメニュー表へと目を落とす。ズラッと並び立てられる言葉達を繁々と眺め、あるカクテルの場所でその目線はピタリと止まる。

    「…えっ?」

     暫く無言でメニューを眺めた後。ダンデはメニューと薄黄色した言葉の詰まったグラスを見比べ、そろりと口を付ける。
     アルコールの熱が、バトルコートで見る彼の視線と同じように喉に焼き付いてきて、何故だかとてもむず痒い気持ちになったのだった。
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    肴飯のポイ箱

    DOODLEワンドロ
    少年kbn君と同年代🚺dndちゃんの話。
    ※先天性女体化です。
    心より行動が先にくる1人と、心が来てから一気に行動し始める1人の話
    お題『初恋or意識し始め』
    まずは一手 昼下がりのナックルシティ。ジムリーダーになって一年とちょっと。自分に割り振られた仕事をなんとか回せるようになってきたキバナは、最近になって漸く入ることを許された宝物庫内の書庫に昼休憩はもっぱら入り浸っていた。保存の観点から外に全く出される事のない書庫は、知的好奇心が強いキバナにとっては大分豪華なオモチャ箱のようなものだった。
    「(今日は午後から休みだし、入室許可も取った。絶対閉まるギリギリまで入り浸ってやる!)」
     少し浮き足だった歩みで書庫の扉を開け、少し埃っぽい空気を吸い込む。この、何とも言えない紙とインクの香りがキバナは大好きだった。
     ナックルジムの書庫は少し不思議な形をしている。吹き抜け式の円柱型の室内には螺旋階段がぐるりとドラゴンの体のように巻き付いている。その螺旋に沿って壁に本棚が埋め込まれている。光を最低限取り込む為に作られた丸い天窓には、月と太陽をモチーフにしたステンドグラスが嵌められており、外の光を透かして淡い彩光を放っている。
    2021

    肴飯のポイ箱

    DONEワンドロ
    お題「駆け引き•取り引き」
    立ち止まって周りを見たら不安になってしまった1人と、立ち止まった先でずっと待っていた1人の話。
    ※イズオーバー後同棲設定
    すっごい…難産でした…でも楽しかった!
    よーいどん すっかりと夜の帳が下りたナックルシティの片隅。夕食もシャワーも終わらせたキバナは、リビングでのんびりと読書をしながら膝に顎を乗せてくるフライゴンの頭を撫でて存分にリラックスモードだった。間接照明によって柔らかい明るさに包まれた部屋の中では、他のポケモン達ものんびりと寛いでおり平和の一言だ。ただ、少し引っかかる事があるとすれば同棲している恋人の様子が変だったこと。仕事から帰って来たと思えば夕飯もそこそこに共有してる書斎に引き篭もってしまった。
     まあ、何かに集中したい時には同じような事は度々あった。キバナもたまにやる。ただ、今回は表情がいつもより鬼気迫ったというか焦っていたというか。
    「…ふりゃ」
     撫でる手が止まっていた事にちょっと不満げな声でフライゴンが拗ねる。それに謝るように撫でる動きを再開すると、満足そうに目を細めて擦り寄ってくる。そんな可愛い姿に、今日は甘えただなぁ。なんて思いながらキバナは読書を続ける。
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    DONEワンドロ「雨音」
    ⏳1時間半位
    ちょっとした事が雨のように降り積もると、幸せになるねって言う話です。
    幸せの足音 パラパラと窓ガラスに雨粒が当たる音がし始め、冷えた空気が急速に湿っぽい香りを届けにくる。
    「やっぱり降ってきたか。」
    「ロロ!ロトムの言う通り、洗濯物しまってて良かったロ〜!」
    「そうだな。ロトム、いつも助かってるぜ。」
     ふわふわと浮かびながら飛び回るスマホロトムを指先で撫でてやると、それだけで小さな電気の光を飛び散らせながら喜ぶ。その可愛らしい姿に、ダンデは笑いながら雨が降る前に引っ張り込んできた、洗濯物がたっぷり入った籠を抱えて同じように笑う。雨音に気付いたヌメルゴンが、最近生まれたばかりのまだ小さなヌメラを腕に抱えてウッドデッキに繋がるガラス戸の前へとやってくる。大好きな水の気配と、窓やウッドデッキの床を叩く雨音が楽しいのか、まだ幼いヌメラはヌメルゴンの腕の中で興奮気味に「んめっ!めっ!めら〜」と体を揺らし、雨音に合わせて鳴いていた。それとは逆に、あまり雨が好きではないコータスやジュラルドンは自分からリビングにあるボールホルダーの所へ行き、ボールの中に入っていく。リザードンに至ってはロトムから雨が降ることを聞いて早々にボールに入っている。
    2028

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