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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロお題『ベッド・寝床』
    ⌛️1h +40分
    力いっぱい抱きしめたいなって思いながら眠る話。ちいちゃい生き物が寝てる姿って何時間でも眺めてられる気がします。
    ※ポメガバ
    ※同棲恋人設定

    #kbdn
    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #キバダン

    言っていいよ 数時間前迄は煌々と輝いていた街の明かりも寂しくなってきた時間。数ヶ月に一度行う大規模なワイルドエリアの巡回作業を終えたキバナは、ヘトヘトになりつつも我が家までの道のりを、タクシー乗り場から重くなった足を引き摺りながら歩いていた。最後の難関(と勝手に思っている)坂道を越えて辿り着いた玄関は、ドアライトも、リビングに続く廊下の電気も点いたままになっていた。もしかして、という期待がムクリと顔を上げてくる。
    「ダンデ、ただいまー」
     しかし、どんなに遅い時間になってもキバナが帰宅すると、顔を見にもぞもぞと玄関までやってくることが多いダンデの姿が無いことに少しだけ肩を落とす。まあ、流石にこんな時間だ。今日は寝ているのだろうと思いながらリビングへと入る。リビングの中も、廊下と同じくすべての電気が点けられていた。  そしてその明かりの下、キバナは散々たる光景を目にすることになった。
    「おー…やったなぁ」
     床一面に無残にも散らばるティッシュペーパーに、転がって中身が吐き出されたゴミ箱。最近買ったラグは、どうやったのかは分からないが水入れの中に引き摺り込まれ、触ったらぐしゃぐしゃに濡れそぼっているであろうことが容易に想像できる。
     豪快に散らされたティッシュペーパー達を踏まないようにしながら歩き、キバナはとりあえず自分のポケモン達を回復装置へと丁寧に置く。ボール達は一つも揺れることなくそこへ収まる。その様子を見て、「良い夢を」と小さく声を掛けてからキバナはゆっくりと歩みを進める。
     転々とちぎられて打ち捨てられたティッシュペーパーや、丸めた紙屑達が途切れた場所は、開け放たれた寝室の扉の前だった。そこは明かりが点いている様子もなく、中を覗けばひっそりとした闇が広がっているように見える。しかし、キバナには探していたものがそこにいる事が直ぐに分かったようで、ゆっくりと口角を上げながら今までよりも足音を忍ばせる。
     パチリと明かりのスイッチを押すと暖色のルームライトがぼんやりと灯る。大人二人が寝転がってもまだ余りがありそうなサイズのベッドの中央にふわふわとした毛玉が一つ、ちんまりと乗っていた。その毛玉は、キバナが近づいてきたことに毛ほども気が付かず、オボンのみ二つ分位の体を、ふくふくと膨らませながら、時折小さな耳を動かして眠りについている。
    「ただいま」
     そうっと起こさないように屈み、眠っている毛玉の耳の裏辺りを指の腹で優しく撫でてやると、それはくふりと小さな声を出して気持ち良さそうに伸びをした。そして、そのまま手足を伸ばした形でもう一度夢の中へ。
    「…かーわい」
     一連の流れを見ていたキバナのロトムが写真を撮るか聞いてきたのでお願いすると、シャッター音を消して何枚か撮影してくれた。きっと世界一可愛い姿が収められているのだろう。だが、その写真は後でゆっくりと確認するとして、キバナは改めて寝室の中を見渡す。
    「おっ、今回はメモを残す気力があったのか?」
     ぐちゃぐちゃにされた成人男性一人分の服の横に、ノートから引きちぎったかのような紙切れが一枚落ちていた。ひょいと拾い上げて書かれていることに目を通す。
    『リザードン達はポケモンセンターへ預けている。三日程かかるかもしれない。手間を掛ける。ー、ーー、』
     最後、何かを書きかけてペンで乱雑に書き潰した跡があったが大体の事情は理解ができた。
     ダンデが身体的に疲れ、気持ちが参ってしまうとポメラニアンという、ベッドの上にころりと転がっている小さな毛玉みたいな生き物に変化してしまう体質であるということを、初めて知った時は、驚きよりもまず「こいつにもちゃんと疲れるという気持ちがあるのだな」なんて安心感を覚えたのを、キバナは昨日の事のように思い出せる。
    「お疲れ様。あと、ごめんな」
     メモをポケットに入れながら壊れ物を扱うように両手でベッドの上の恋人を掬い上げる。両手にすっぽりと収まってしまうそのライラック色の毛玉は、急に持ち上げられ、暫くはモゾモゾと動いていたが、やがて嗅ぎ慣れた香りに安心したのかスンスンとキバナの指先の香りを嗅いだと思ったらペロリと一度だけ指先を舐め、そのままこてりと力を抜いた。トクトクと、キバナの両手の中からジワリとした温もりと共に鼓動の音が聞こえる。その音が乱れないように、キバナは己の胸の前でダンデを抱え直してから、明かりを消してベッドへと入る。
     食事も洗濯も、残っている仕事もとりあえずはまた明日。シャワーだけジムで浴びておいて良かった。なんてことをつらつら考えながらキバナは目を瞑る。
     明日はダンデとゆっくり過ごそう。そして、人間の姿に最速で戻してやろう。塗り潰された紙切れに、ペン先で削られても残った「寂しい」という文字を隠さなくても良いんだということを力いっぱい抱き締めながら何度も愛を伝えよう。
     キバナは、そう心に決めて温かな鼓動の音に耳を澄ませた。
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    💘💘💘💗💗💗💗💗💕💕💖
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    肴飯のポイ箱

    DOODLEワンドロ
    少年kbn君と同年代🚺dndちゃんの話。
    ※先天性女体化です。
    心より行動が先にくる1人と、心が来てから一気に行動し始める1人の話
    お題『初恋or意識し始め』
    まずは一手 昼下がりのナックルシティ。ジムリーダーになって一年とちょっと。自分に割り振られた仕事をなんとか回せるようになってきたキバナは、最近になって漸く入ることを許された宝物庫内の書庫に昼休憩はもっぱら入り浸っていた。保存の観点から外に全く出される事のない書庫は、知的好奇心が強いキバナにとっては大分豪華なオモチャ箱のようなものだった。
    「(今日は午後から休みだし、入室許可も取った。絶対閉まるギリギリまで入り浸ってやる!)」
     少し浮き足だった歩みで書庫の扉を開け、少し埃っぽい空気を吸い込む。この、何とも言えない紙とインクの香りがキバナは大好きだった。
     ナックルジムの書庫は少し不思議な形をしている。吹き抜け式の円柱型の室内には螺旋階段がぐるりとドラゴンの体のように巻き付いている。その螺旋に沿って壁に本棚が埋め込まれている。光を最低限取り込む為に作られた丸い天窓には、月と太陽をモチーフにしたステンドグラスが嵌められており、外の光を透かして淡い彩光を放っている。
    2021

    肴飯のポイ箱

    DONEワンドロ
    お題「駆け引き•取り引き」
    立ち止まって周りを見たら不安になってしまった1人と、立ち止まった先でずっと待っていた1人の話。
    ※イズオーバー後同棲設定
    すっごい…難産でした…でも楽しかった!
    よーいどん すっかりと夜の帳が下りたナックルシティの片隅。夕食もシャワーも終わらせたキバナは、リビングでのんびりと読書をしながら膝に顎を乗せてくるフライゴンの頭を撫でて存分にリラックスモードだった。間接照明によって柔らかい明るさに包まれた部屋の中では、他のポケモン達ものんびりと寛いでおり平和の一言だ。ただ、少し引っかかる事があるとすれば同棲している恋人の様子が変だったこと。仕事から帰って来たと思えば夕飯もそこそこに共有してる書斎に引き篭もってしまった。
     まあ、何かに集中したい時には同じような事は度々あった。キバナもたまにやる。ただ、今回は表情がいつもより鬼気迫ったというか焦っていたというか。
    「…ふりゃ」
     撫でる手が止まっていた事にちょっと不満げな声でフライゴンが拗ねる。それに謝るように撫でる動きを再開すると、満足そうに目を細めて擦り寄ってくる。そんな可愛い姿に、今日は甘えただなぁ。なんて思いながらキバナは読書を続ける。
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    肴飯のポイ箱

    DONEワンドロ「雨音」
    ⏳1時間半位
    ちょっとした事が雨のように降り積もると、幸せになるねって言う話です。
    幸せの足音 パラパラと窓ガラスに雨粒が当たる音がし始め、冷えた空気が急速に湿っぽい香りを届けにくる。
    「やっぱり降ってきたか。」
    「ロロ!ロトムの言う通り、洗濯物しまってて良かったロ〜!」
    「そうだな。ロトム、いつも助かってるぜ。」
     ふわふわと浮かびながら飛び回るスマホロトムを指先で撫でてやると、それだけで小さな電気の光を飛び散らせながら喜ぶ。その可愛らしい姿に、ダンデは笑いながら雨が降る前に引っ張り込んできた、洗濯物がたっぷり入った籠を抱えて同じように笑う。雨音に気付いたヌメルゴンが、最近生まれたばかりのまだ小さなヌメラを腕に抱えてウッドデッキに繋がるガラス戸の前へとやってくる。大好きな水の気配と、窓やウッドデッキの床を叩く雨音が楽しいのか、まだ幼いヌメラはヌメルゴンの腕の中で興奮気味に「んめっ!めっ!めら〜」と体を揺らし、雨音に合わせて鳴いていた。それとは逆に、あまり雨が好きではないコータスやジュラルドンは自分からリビングにあるボールホルダーの所へ行き、ボールの中に入っていく。リザードンに至ってはロトムから雨が降ることを聞いて早々にボールに入っている。
    2028

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