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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロお題「恋バナ•恋愛相談」
    ⏳半日ちまちま
    nzさんにだけめっちゃ自を出して事あるごとに駆け込み寺にしていたdndさんの話と、まさかの全力疾走する事になったkbnさんの話。
    ※🗼時空

    #ワンドロ
    #kbdn
    #キバダン

    やったもん勝ちの勝利宣言 好きに種類があるなんて、ダンデはキバナに会うまで知らなかった。知らなかったのだ。

    『ダンデ、恋の昇級戦!?』
    『深夜の密会か?夜の街に消えるニ人』

     ちょっと上手い言い回しだな。なんて現実逃避をしながら本日発売されたゴシップ誌のページを捲るが、内容の事実無根さに眩暈を覚えて思わず目頭を押さえる。
    「…この記事を書いた記者は、小説家にでもなったほうがいいんじゃないか?」
    「良いですねそれ。この腐れゴシップ誌を発行した会社へしっかりと伝えておきますね!」
     ダンデの少し仄暗い皮肉をしっかりと拾い上げた秘書は、声は明るさこそ保っているが顔は一つも笑っていなかった。
    「一月後、このクソな会社の土地を更地にする勢いで法務部がやり合いますのでご安心を。ただ2、3日はタワーも通常営業どころでは無いので今日はこのままお帰りください」
     そう言われたら素直に従うのが一番良いという事を、ダンデはこれまでの経験で嫌というほど知っている。その言葉をありがたく受け取って、リザードンと共に空へと滑り出す。明るいうちに家路に着くなんて今まで無かった事だったので不思議な気分になりながらも、風切り音に身を任せているとダンデは何か思い付いたような顔になり、ある言葉を相棒へと伝える。それを聞いた彼は、頼もしい声で返事をした後に翼を翻す。
     空はいつもと同じ、澄んだ青い色をしていたがダンデの心は今ひとつ晴れなかった。
     
    スパイクタウンは、最近開けっぱなしにしているシャッターのお陰か、はたまた新しいジムリーダーの影響か。以前より少し窓の外から聞こえてくる街の喧騒の種類が変わってきている。人よりも少し耳が良いと自負しているネズは、その音を作業音にしながらパソコン画面へと向かっている。ジムリーダーを妹へと譲ってから、彼は宣言通り音楽家としての活動を主としているため、今はもっぱら外を出歩くよりも部屋での作業の方が多くなっている。
     平穏。まさにその二文字を味わいながらネズが愛用のパソコンでの作業を進めていると、その平穏を掻き乱す音が少しずつ近づいてきている事に気が付いてネズは少しだけ面倒臭そうな顔をしつつも部屋にある窓の鍵を開けておく。やがて、その予感通りに1人の男がさも当然と言ったように窓枠へと足を掛けながら部屋の中へと入り込んで来るのを片目で気怠げに追いながら、マウスをクリックしてその音の元へと振り返る。
    「お邪魔するぜ!!」
    「相変わらずアポ無しだねおまえは」
     良いも悪いも聞かないうちに部屋の中へと入ってくる特徴的な燕尾服を纏った男へと、パソコン前の作業用の椅子に胡座座で座りつつジト目で抗議するが、そんなことはお構いなしにダンデは部屋の真ん中。大体ネズの背中側に位置しているソファへとダイブし、モルペコ柄のスクエアクッションへとぐりぐりと顔を押し付けてからだらんと横になる。
    「おまえ、子どもじゃないんだから」
    「別に、大人でやったって良いだろう」
    「はぁ…まあ、良いけどね。マリィが居ない時狙って家にグダリに来るのは職権濫用過ぎません?」
    「正しい職権行使だぜ。それににマリィくんにこの姿見せるのは大人としてはいけないだろう?」
    「おまえ、口だけ達者になったね…ああ、そういえば栄えあるゴシップデビューおめでとう」
    「ありがとう!秘書が相手方の会社を更地にするって息巻いていたぜ」
    「そりゃあ今後が楽しみですね」
     ヤケクソ気味に、ごろ寝の姿勢でダンデがリザードンポーズを返せば、面白かったのかネズが吹き出しながら作業机の上に置いてあったコーヒー缶を放り投げる。それを慣れたように片手で受け取り、行儀悪く片手でプルタブを開けて一口飲むと顔を顰める。
    「これ、ブラックか」
    「オレは大人なんでね」
    「嫌味か?」
    「ご自由に受け取って貰って構いませんよ」
     ちょっとブスくれた顔でコーヒーを飲み続けているダンデだったが、彼の渋い顔の理由はコーヒーの苦味だけでは無いのだろう。半分ほど空になった缶を雑にソファ横のローテーブルへと置いたダンデは、ため息を吐きながらソファの上に転がり直して天井を見上げる。マウスのクリック音と電子音が微かに聞こえてくるだけの時間が少しあってから、子どもみたいな声で言葉を放り投げる。
    「…ほんと、クソみたいな記事だった」
    「まあ、話に尾鰭背鰭を付けて盛り上げるのがゴシップですから」
    「尾鰭背鰭?!元の話が全くの嘘なのにか!?」
    「はいはい、声が大きいよおまえ」
    「オレはあんな道に迷った振りをして抱きついてきたよく分からない女性ではなくキバナが好きなんだ!キミだって知ってるだろう?…それなのに、あんな記事を出されるなんて!キバナに誤解されたらどうしてくれるんだ!!」
    「じゃあさっさと告白するなり既成事実作っちまえば良いでしょうに」
    「こっ!…きっ!?」
    「やっちまったもん勝ちですよ世の中」
    「無理だ!!」
    「かわいこぶるんじゃねぇですよ」
    「未だに一緒にキャンプに行くだけでドキドキするのに!こっ!こっ!」
     さっきまでとは打って変わってダンデが顔を赤面させながらソファの上で足をバタバタさせていると、スマホロトムがキバナからの着信があった事をダンデに伝えてくるが流石にタイムリーすぎる。赤面しながらソファに寝転がっている今この状況では出る気になれなかったダンデは、「後で電話する」というメッセージの返信をお願いする。素直に頷きポケットに戻ってもらったスマホロトムを手でぽんぽんと軽く叩きながらもう一度ソファに沈み込むと、何が面白いのかダンデの方を見ながらニヤニヤしている。
    「何を今更足踏みしてるのか知りませんが、押し倒してそのままやっちまえば早いでしょうよ。いけるいける」
    「いけないいけない!犯罪だろう流石に!」
    「おまえ、さっきから声がデカいんですって。そのせいで、パソコンのマイクが音割れするんですよ」
    「おお…それはすまない。ん?ちょっと待て…音割れ?何か録音してるのか?」
     その疑問を聞いて、待ってましたと言わんばかりにキャスター付きの椅子ごとネズが踊るようにパソコンの前から体をスライドさせると、ソファに寝転がっているダンデの姿が画面に映り込み、沢山の文字が画面の端を流れていくのが見えた。どういう事なのか瞬時に理解したダンデがバッと音がする位の勢いでネズの方を見ると、あくタイプさながらの笑みをこれでもかと顔中に貼り付けたネズが勝利宣言をする。
    「言ったじゃ無いですか。やったもん勝ちだって」
     ポケットから飛び出してきたスマホロトムが、キバナからの「そこから動くな」というメッセージを元気いっぱいに読み上げるのと、ネズの家の玄関扉が轟音と共に吹き飛ばされてリビングへとひしゃげて飛び込んで来るのは同時だった。
     その後を追うように肩で息をして、紫の薔薇の花束を抱えながら真っ赤な顔をしてドアと同じように飛び込んできた2メートル近い男を見て、椅子の上で腹が捩れるほど笑い転げながらネズは配信の終了ボタンを押したのだった。
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    肴飯のポイ箱

    DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。
    お題「催眠 付き合ってないキダ」
    開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
    夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
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    肴飯のポイ箱

    DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)
    みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
    「🎄ホリデー編🌟」
    ※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
    それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
    「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
    「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
     月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
     少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
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    肴飯のポイ箱

    DONEオンイベ開催、アンド素敵企画ありがとうございます!
    この作品は、12.3歳ごろの2人がナックルシティの片隅にあるとある喫茶店を舞台にわちゃわちゃとしていくお話となっています。
    ※両片想いほのぼのです。
    ※ガラル市民がたっくさん出ます。
    ※視点がコロコロ変わるお話です。
    少しでも楽しんでいただければと思います☺️
    とあるナックルの片隅で◆ライラック色の髪をした少年の回想

    「あ、チャンピオンだ!」
    「チャンピオン!」
    「何かイベントでもあったっけ?」
     困った。
    俺は、大きな街の真ん中で冷や汗を掻きながら、どうしてこんなことになったのかをひたすらに考えていた。
     今日は午前中にシュートでのチャリティイベントに参加した。午後はスポンサーの会社が行うガーデンパーティへの参加が予定されていたが、そちらが主催者側の事情でのキャンセルとなったので、突発的に午後は丸々オフとなった。予定されていた休みより、こういうイレギュラーな休みって得な感じがして俺は好きだ。せっかくだから前々から欲しいと思っていた物を買おうと意気込み、勢いのままユニフォームで飛び出した。自分なりに人目が少ない道を探しながら、地図アプリと睨めっこ。しかし、俺の努力も虚しくうっかり路地から大きな通りへと出てしまった。途端に集まるキラキラとした眼差しの人、人、人。応援してくれる人達の期待の眼差しを裏切ることはできず、突発的に始まってしまったファンサービス。握手に写真、サイン。もみくちゃにこそされないけれど、このままだと行きたい場所に行けないまま休みが終わってしまう。顔には出せないが内心焦りつつも人混みは消えるどころが増えていく。どうしたものかと困っていると、人混みの奥から良く通る声が聞こえて来た。
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