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    tom_y_2

    @tom_y_2

    夢女で文字書きです。地雷無しの雑食。ゆえに書くものも雑多。

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    tom_y_2

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    牛山さんの初めての話聞きたぁい……って気持ちで書き始めた。形になるといいな。

    #金カ夢
    aimingForTheGoldenHelix
    #牛山辰馬
    ushamaTatsuma
    #現パロ
    parodyingTheReality

    あたたかな呪い「おにーさんいい体してんね」
     と言いながら左腕に絡まってきた女からは化粧と香水の匂いがした。町の中心から一本入ったホテル街で女と男が接触すれば、みなまで言わずともワンナイトか援交の誘いである。
    「生憎お兄さんなんて年じゃなくてね」
    「リップサービスだよぉ」
     膝上二十㎝は固いジーンズからは白い脚がぬるりと伸びている。靴は自分の三分の二ほどしかない。
    「花は花屋でしか買わない主義でね」
    「えー残念」
     じゃあバイバイ、と女はするりと腕をほどいて闇に消えていった。牛山は押し付けられた感触の残る腕をさすって反応しかけた息子を宥める。しかし頭に浮かんでくるのは先ほどまで触れていた女の生々しい感触ばかりで逆効果だった。
    「……やわっこかったなあ」
     そう口に出してしまえばもうだめだった。牛山はいつも世話になっている店の一軒に電話をし、三十分後の予約を取り付けた。できるだけ早く頼みたいと電話口で伝えた時、店長はため息をつきながらも客が犯罪者になるのはごめんだからと言いながら手配してくれた。
    「犯罪者、ねえ」
     もしかしたらそうなのかもしれない。牛山は心当たりしかない過去を振り返って思わず笑った。無理やり上げた口角が元に戻った時、胸の奥がきゅっと冷えた。俺はいつから犯罪まがいの男になったのだろう、なんて考えがふっと頭に浮かんだ。これまで夜を共にしてきた相手の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返した。ヤって後悔したことはない、が――。
    「ま、知らなかったらこうはなってねえかもな」
     ため息を吐きながら見上げた空に星はなかった。その時牛山はあの夜に似ている、と一瞬思ってしまった。思ってしまったゆえに思い出の蓋は開いて、胸の奥に少しの苦みをもたらす。いつもは開けられないように重しが置かれている思い出の蓋。その中に隠されているのは、牛山辰馬が後悔したくてもできない初めての夜の話である。
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    tom_y_2

    DONE女審神者オンラインイベントー紫陽花ーの展示作品です。とんさにです。
    花雷は二度咲く 花火は初秋の季語だそうだ。秋の初め、つまりは夏の終わり。たしかに日が短くなり始めた頃の夜空に火薬の光は良く似合うかもしれない。が、物事には必ず例外がある。ある本丸の審神者にとって花火大会は、夏を知らせるものであった。
    「お、今年もこの時期か」
     政府のお知らせに一枚のちらしが交じっていた。まだ夏とは言い切れないこの時期に審神者が拠点とする地域では花火大会をする。残念ながら――というか、なんというか、その花火大会は決して有名ではない。有名ではないが、そこそこの数が打ちあがるため地域にとっては一大イベントなのであった。
    「防寒具は必須……まだ寒いものね」
     本丸からその花火を見ることはできない。地図を見ると近くの川で打ちあがっているらしいから、きっと政府が空間を区分しているのね、と審神者は納得するようにしていた。審神者は歩きながらそのちらしを眺めた。A席、座敷席、観覧席……地元の小さな花火大会と侮っていた。思ったよりもいろんなチケットがある。審神者はチケットを買って花火を見るという文化は知っているけれど、したことはない。そもそも、花火大会に行ったのも、ずいぶん昔の話――
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