Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    mamegohan54

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 5

    mamegohan54

    ☆quiet follow

    ココイヌ、若干ドみ匂わせ
    のち関卍軸。イヌと別れる前に、ノイがイヌに薬を飲ませる話。超途中で断念しています、、、
    よくあるバイヌとゆるいドみの絡みが書きたくてはじめましたが、!断念しています……

    #ココイヌ
    cocoInu

    魔法は解けない「イヌピー、オレさ、魔法が使えるんだ」
     言いながら、くだらねえ話だと思った。
     イヌピーの前に小指大の小さな瓶を寄越せば、彼は訝しむこともなく、詰められたコルクを引き抜いた。
     これで、終わるんだ。
     全身に絡まった、鉛の網が解けていく。気持ちは軽かった。翡翠の瞳に睫毛の影が落ち、イヌピーは瓶の底を見つめて、ココ、と言う。三ミリリットルもない液体が、深い青色で安心したのだ。赤だったらたぶん、残酷だと思ったから。
     一滴で一日前、二滴で一ヶ月前、三滴で一年前のことを忘れるという。深海から掬ったみたいな、濁りのない青のクスリ。胡散臭い世界に足を突っ込んで、胡散臭いばかりの人間と繋がりを持って、でも、信頼の置けるルートで調達したのだ。だから大丈夫。
    「オレってサイテーかな」
    「ココはサイテーじゃねえよ」
     乾杯、なんて言いそうな顔で、小瓶を掲げる。
     白い喉仏が跳ね、イヌピーは一息に嚥下した。
    「……魔法がかかるのは、オレがアジトに帰った頃か?」
     口もとを拭って、笑い、ココは馬鹿だな。とか、イヌピーはそれからゆっくり目を閉じて、何度かクスクス肩を揺らしたら、椅子を引いて立ち上がった。
    「じゃあな」
     背にかけた上着を掴み、不器用にナップサックを肩にかける。なんの気ない、昨日と同じイヌピーの後ろ姿だった。





    「バイク屋をやる?」
    「ああ。ドラケン、バイク好きなんだろ? 興味ねえ?」
    「興味は……、すっげぇある、けど」
    「じゃあ決まりだな」
     金の髪を荒っぽく掻き上げ、イヌピーは満足そうに鼻を鳴らした。最近、彼はよく笑うようになったと、タケミっちが言ってたっけ。動物を見るような感想に、一応乾は先輩だろうと小言をいえば、でもドラケンくん、イヌピーくんですよ……なんて、要領を得ない応えに顔を顰めたところだった。でも、なるほど。目の前の男はそこそこある図体にやわらかな金髪をのっけて、お利口にオレの言葉を待っている。
    「イヌピーさあ、タケミっち達に犬みたいに言われてたぞ」
    「あ? 犬?」
    「そんでオレもなんとなく共感してる、今」
    「はぁ?」
     わけわかんねぇよ。口をへの字に曲げて、イヌピーはやれやれと手を挙げた。ポーカーフェイスで不気味だと、黒龍にいたときはもっぱら宇宙人ポジションだった乾だが、話してみると案外、友好的だったのが印象だ。
     ヘルス特有の安っぽいベビーピンクの部屋で、ハリウッド俳優さながらの高級感を漂わせているくせに、イヌピーはマヌケなアクビをかまして膝を立てた。
    「でも、考えといてくれ。オマエがいると心強いんだ」
    「……あぁ」
     そうやって彼がオレの部屋から出た途端、嬢の黄色い声が爆発して項垂れる。隣の三ツ谷は助けてやれよと笑っていたが、イヌピーのことだから。嬢の誘惑は意に介さず、さっさと店を後にするだろう。
     中学を卒業して、東京卍會は解散。元総長はオレたちの前から姿を消した。濁流のように流れていく日々に、いっそ東卍の大木らしく独活にでもなってやろうかって、三ツ谷と笑っていた矢先。イヌピーの誘いはオレにとっても青天の霹靂だった。
    「でも正直、イヌピーってどうなんだ」
    「どうって?」
     ダンベルを左手に、三ツ谷はヘルスマットに伏して体勢を横にする。寝ながら持ち上げたら危ねぇよ。何度も言ってんのに、妹がいない部屋でコイツは大概自由人だ。
    「三ツ谷も思うだろ。経営とかさぁ、そーいうん、苦手そうじゃねって」
    「……うーん、まあ、思わなくはねぇけど」
    「どっちかって言ったら、イヌピーより」
    「ココくんだろ。言いたいことはわかるよ」
     でも、そこまでだ。細い腕が数回、垂直に上下して、三ツ谷は横目でオレを見る。
    「オレらがそう思うってことは、なによりイヌピーくんがいちばん考えてることだろ」
    「……そうだけど」
     イヌピーの前で、ココくんの話を出すのはご法度だった。それは暗黙の了解として、オレたちの間で浸透している。
    「けどイマイチ、よくわかんねぇんだよな。イヌピー、ココくんの話ぜんぜんしねーから」
     仕事終わりのおっさんたちがぞろぞろと訪れる時間、廊下側のドアからはあられもない嬌声が漏れ聞こえる。
     わからない、と言ってからオレは、いや、わかるんだけどよ、と口籠もった。それでいて、こちらを窺う三ツ谷の言いたいことは理解している。
    「……ドラケンが、皆んなの前でマイキーの話しないのと一緒だろ」
    「言うとおもった。でも、そーじゃねぇの。オレが言いたいのはさ……」

    ここまで(えっ!)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    mamegohan54

    MOURNINGココイヌ再開前に書いていたもの。梵バ軸。ココと別れたイヌが、赤さんの命日にパブのオーナーに拾われ、ダンスパブでキャストをしていたところ、梵コに指名されダンスをする話。書き上げたかったのですが原作がぐんぐん進んでしまって諦めたものです……
    ダンスパブで働くイヌとそれを買うココのココイヌ(梵バ)「意外。ココがこんな店、来るなんて」
     できるだけ、動揺が露われないように。喉の奥を絞って出した声は、思ったよりも簡単に乾の口からこぼれでた。
     筋肉質な脚を剥き出しにして、背後の壁に縋り付く男が、九井からどう見えているかなんて分かりきっているのに。尻から垂れるぬるい液体の感触が可笑しくて、口が歪む。取り繕うには今更、間抜けすぎだろ。
     偏光素材のレース越し、九井の目が揺れていて、彼の三白眼をまじまじと見つめるのはいつぶりだろうかと、乾は長い睫毛を伏せた。
    「イヌピーこそ、結構大胆なことするんだな」
     露出した腿を撫でられる。唾液が喉元でつっかえて、肌が咄嗟に粟立ったのを、どう思ったのか、九井はくすくすと肩を揺らした。冷たかったからだ。涼しい顔をしてるのに、それでいて瞳を揺らすおまえの手が冷たくて驚いたのだ。
    3539

    related works