負けたんだから俺たちがお前達をどうしようと勝手だろ
そう言い、無駄な抵抗をする手を取り連れ出す
「君本当に俺の事すきだよね」
ま、こっちはこっちで楽しむし勝手にすれば
とコイツと同じ顔で嫌味ったらしく投げかけられるが知るか
「どうせお前も楽しむだろ」
だから関わるな、そう一蹴すれば、確かにそーだねと合意され傷だらけの俺を連れ、じゃ、またねとひらひら手を振って違う方に消えていった
お前も人の事言えないだろ…と思ったが口にはしない
藪蛇でイグリットを出されても面倒だ
今はコイツが最優先だ
未だに抵抗し歩く事を拒否しているコイツを抱きかかえる
腕の中にある温かい存在に奥底から湧きあがってくる歓喜に、表情筋が歪み口角があがるのがわかる
そんな俺を見て恐怖したのか小さく悲鳴をあげるコイツにクスクスと笑ってしまう
抱きかかえた存在をより確かめるように顔を寄せる
誰よりも非力で臆病、俺が捨てた全てが詰まっている存在
影に足を運ぶとトプリと軽い音をたて足が沈む
徐々に沈んでいく事が怖いのか助けを求め暴れるのに苦笑いしてしまう
「安心しろ、ここは誰もお前を害さない」
ここは誰も来れない場所だからな
そう告げると絶望する存在に腹から声を出して笑う
お前はすぐに死んでしまうから、早く匿って守ってやらなくてはいけない