「……は?」
何時ものようにただ呼んだだけだ
普段であれば、影から音もなく現れ旬の傍に寄り跪く
伝えた事は無かったが、この一連の流れを旬は密かに気に入っていた
今日もそうなるのかと思っていたが、影から現れた瞬間、普段とは違い重い金属音がしてきた為不思議に思う
「…?どうした、イグリッ」
旬の呼びかけに応じ現れた筈なのに、一向に旬の傍に寄ってこないイグリットに視線を向けて固まる
イグリットはちゃんと召喚されていた
見慣れた黒と青のコントラストのイグリットが佇んでいる隣に何故か紅血を纏った姿のイグリットがおり、影と紅が忙しなく顔を見合わせ困惑していた
「「………」」
お互い原因が分からなかったのか、旬に助けを求めるように二人して顔を向けてきて狼狽える
「えーーっと……」
俺普通に呼んだだけ…だよな?
なんで…?と影と紅と共に首を傾げるほか無かった