ただ温もりを感じたい 暖かいと思っていた布団の外が、季節にしては思いの外冷たかったこと。
返ってきたテストの点が、あまり良いとは言えなかったこと。
六時間目を終えて、部活までやっても向かう先は寮ではなくスタジオだったこと。
今日に限った話ではない。帰って宿題をしたり、自主トレーニングをしたりするどころか、それを思い描くだけでも億劫になる感覚も、心がいっぱいいっぱいで押しつぶされそうになることも、もう何度か経験している。普通であれば、その時点で少しでも休息をとることが望ましいけれど、残念なことに仕事というのはそう簡単に休めるものでもない。
どんなに些細なことでも、翠にとってはそのどれもがチクチクと心を刺す。最初は不快感を覚えるだけだったのが、やがてその感覚が取れなくなっていることに気がついて、その頃にはもう慢性的なものに変わってしまう。
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