兎割烹進捗 お料理編「本当にこれでいいのかな……」
『でもガイアは1人じゃ寂しくて泣き出しちゃうだろ?今は誰かについていてもらったほうがいいんじゃないか?』
「なんで俺より兎の旦那様の方が状況判断できているんだ?それに兎の旦那様はディルックのこと嫌いじゃなかったのか?」
『君のことを狙う悪い男だったら嫌だったんだ。狡い気がするのは今も変わらないけど……』
「ど?」
『2人とも何話してるんだ?』
ぴょこん‼︎と部屋の主人の兎が会話に入ると『君の主人が僕の主人をいつ食べるかわからない』と流石に世帯主のペットにいう訳にもいかず、なんとか誤魔化すのだが、なぜか自分の飼い主にそっくりな兎は2人で話すこともあるだろうとばかりにあまり深追いはしてこない。
今日の夕ご飯は茄子の揚げ浸しと春雨、それにトマトスパゲティである。ディルックがこの間海外出張に行ってきた時に買ったパスタを油で香り付けしたニンニク揚げ焼きにしつつ、別の皿では春雨を戻し、お昼ご飯の冷やし中華で使ったきゅうりとハムと錦糸卵を使って調味料と合えつつ、春雨サラダを作っている。
これはよく店でガイアが春雨サラダの残りを醤油であえてエルシーなおつまみとして提供していたのもある。
勿論今は体調を崩しているし、お酒などもってのほかということで白湯を飲んでいるが、これもまた頂き物の舶来ものの紅茶などを出してくるのだからおやつどきにとても良い紅茶の香りを漂わせながらドキマギしてお茶の時間にしつつ、ディルックの帰りを待つ若奥様的な図が出来上がってしまうのである。ちなみに兎達はすでに役得とばかりに二匹で仲良くもちもちと無農薬の野菜をいただいているので幸せ空間と言わんばかりにイチャイチャとしながらガイアの話し相手になっている。