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    Rm_yk04

    @Rm_yk04

    きつね!!ドッ

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    Rm_yk04

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    カジノパロ「ストレート。また僕の勝ちだね」

    パラ、と緑の机に5枚のカードが置かれた。7からJまで続くそのトランプは確かにストレートという役になっている。勝ったネーヴェは笑みを隠すことなく賭けられたチップを手に取った。

    「さて、続けようか。次の賭け金は?」

    ネーヴェに負け続けの男は口を開かない。もう賭けられるほどのチップをこの男はもっていなかった。しかしここで諦めるわけにはいかない。諦めてはいけない理由が男にはあった。黙り続ける男にネーヴェはため息をつく。

    「……仕方ない。いい事を教えてあげるよ。君は僕には勝てない。もし勝てたとしてもその賭け金じゃはした金だ」

    ネーヴェの言葉に男は肩を震わせるが、ネーヴェはそんな男なぞ気にせずに話し続ける。

    「だけどそんな君でも大金を手に入れるチャンスがまだある。ここにはそうゆう好き者もいるからね」
    「っ、ほ、本当ですか」
    「ははっ、急に元気になるなあ。まあこんなところに来てるんだ、現金に決まってるか。……本当だよ。ほら、あそこに金髪の男がいるでしょ?あいつと賭けをするんだ。勝てたら君は晴れて大金持ちになれる」

    ごくりと唾を飲む音が、男の耳元で鳴ったような気がする。そんな美味い話があるのか。罠じゃないのか。頭の中でぐるぐると思考が回るが、その話を見逃すほど男には余裕がなかった。残り少ないチップを手に持ち男は金髪の元に向かう。そんな男に笑顔で手を振りながらネーヴェは呟いた。

    「あーあ、かわいそ」

    _____

    男が向かった先にはネーヴェに言われた金髪の男がいた。手持ち無沙汰にワインの入ったグラスを緩く回している。男に気づいたかと思うと、貼り付けたような笑みを向けて近づいてきた。

    「僕のお客さん?」
    「え、あ、は、はい……」
    「今日は君が初めてだよ。誰に負けたの?璃瑞かな」
    「いや……茶髪の男の子に…」
    「ああ…なんだネーヴェにか。まあいいや。僕に勝ってお金が欲しいんだろ?来なよ」

    グラスの中のワインが床にぶちまけられる。赤のワインは赤い絨毯に暗いシミをつくった。まるで血のようで男の足がかすかに震える。それを知ってか知らずか、金髪の男――ジェミニは速くと男を急かしてテーブルへと移動した。

    「で、何がやりたい?君が望むゲームをさせてあげる」
    「……じゃあ、ルーレットで」
    「へえ?人生の最後に完全な運任せなんだ。おもしろいね」

    移動中にそんな会話がされて、男はルーレットの場へと連れていかれた。大きなルーレット盤が男の目に荘厳に映る。ジェミニが羽織っていたコートを脱いだ。ネーヴェと同じような黒いスーツ姿が顕になる。

    「やり方はわかるよね?」
    「一応……」
    「なら十分。さっさと始めようか。あ、狐雪!ディーラーやってよ」
    「ん、ああ。いいよ」

    ジェミニが少しだけ大きな声で女の子を呼ぶ。場内を歩き回っていた女の子は狐雪と呼ばれて、確かな足取りで向かってくる。頭には中々の大きさである角が生えていた。

    「お客さんに確認だけど、ジェミニとの賭けは基本全ベット。どちらも1つの数字だけに自分のチップを置くことになる。1回だけの大勝負。勝てたら天国だし負けたら地獄。わかりやすいし簡単でしょ。それじゃあ始めよう」

    男の緊張が増した。ネーヴェと賭けていた時とは比べ物にならないほど汗が男から吹き出る。これに負けたら人生の終わり。これに負けたら……。

    「プレイスユアベット」

    そんな男の思考は、狐雪の声によってかき消された。男が盤上を見れば、既にジェミニは賭けを終えた後だった。24という数字に1枚だけ黄色のチップが置かれている。

    「ほら、あとは君だけ」

    ジェミニに急かされ、男の手が震える。7の枠に置かれたチップは、男の震えを体現するかのように枠から少しはみ出ていた。

    「スピニングアップ」

    ボールが狐雪の手によって投入される。ルーレット盤とは逆にボールが勢いよく回っていった。カラカラという音を聞きながら男はルーレット盤と自分が賭けたチップを交互に見ていた。

    「そんなに不安なら数字を変えたら?まだ変えれるけど」

    その声はジェミニから男にかけたものだった。毎秒顔色を変える男を面白そうに笑っている。そんな手に乗るかと男はジェミニを睨んだ。

    「あはっ、いい顔するじゃないか。君は変えないんだ」
    「……」
    「僕は変えようかな」

    そう言ってジェミニは自分のチップに手をかけチップの移動をした。新たに賭けた数字は11となっている。

    「ノーモアベット」

    狐雪の声によって賭けは締め切られる。ボールの勢いが弱まってきた。カラ、カララ、とひっかかるようになって、ボールが枠に落ちる。示す数字は30だった。

    「ああ、残念。もう1回か」
    「……勝敗が着くまでですか」
    「は?当たり前でしょ。それともここでチップ全回収されて持ち金0になりたい?」
    「や、やります」

    先程と同じ流れでゲームが流れていく。ジェミニは14、男はまた7にチップを賭けた。ボールが回って、締め切られる直前にまたジェミニが賭ける数字を11に変える。男を煽るようなその行為に当然男はイラついたが、ジェミニはニコリと口だけの笑みを浮かべるのみ。ボールが枠に落ちて、示す数字は2。

    「もう1回」

    同じ流れで賭けて、ジェミニが数字を変えて、ボールが落ちて、やり直し。男はその間もずっと7にチップを賭けていた。同じ流れを繰り返して、その行為が2桁になる。男がまたチップを7に賭けて、ジェミニはチップを29に賭ける。男の目が少しばかり開く。ジェミニが賭けた29は男が賭けた7の隣に存在した。

    「ノーモアベット」

    今度はジェミニは数字を変えなかった。カラ、カラ、カラリ、カラ。ボールが回って、段々勢いを落としていく。もうそろそろ枠に落ちる、と男はボールを凝視していた。手を握り合わせボールが7に落ちるのを男は祈る。盤に引っかかりながらボールは落ちた。7に落ちた、と男は歓喜した。握り合わせていた手を天井に向けて、そして固まる。7に落ちたと錯覚していた。ボールは、29に落ちていた。

    「そ、んな」
    「僕の勝ちだね」
    「あ、ああ……」
    「……ふっ、はは」

    口元をおさえてジェミニは笑いだした。我慢しきれないと言った様子に狐雪はため息をこぼす。男の前髪をジェミニは掴んで、その顔を覗き込んだ。

    「あは、ははははは、!!!いい顔だね。さっきよりも断然こっちの方がいい。ふ、はははっ、あはは、ひっ、あはははは!!!!どう?細い細い蜘蛛の糸を登っていたのに、目の前で糸を切られた気分は!!!」
    「ちょっとジェミニ」
    「ねえ、大金取るつもりだったのに、大きな大きな借金作ってどんな気持ちなの?家族に多大な迷惑をかけて、これから一生君は借金塗れ。娘とかはいる?いたら可哀想に。君の遊びで作った借金のせいでその子の人生ズタボロだ」
    「あああああぁぁぁあああああぁぁぁ!!」

    男が走って逃げていく。ジェミニを無理矢理振り切ったせいで前髪がいくつか抜けたが、そんなこと気にできるほど男は余裕が無い。出口に向かって走っていって、足をかけられ無様に転がった。足をかけたディーラーはこれまた狐雪と同じようにため息をついてから男の襟首を掴む。

    「これ、ジェミニのお客?」
    「そうだよ。さっき僕が勝ったとこ」
    「まあそうだろうね。どうせ後処理とかしないんだろうし私が預かるよ」
    「ありがとう璃瑞。あ、狐雪次は蒲公英酒にして」
    「はいはい」

    泣き喚く男を放ってジェミニは姿を消す。狐雪もルーレットに残したチップの後片付けをして裏に消えていった。負かした男に微塵も興味のない2人をみて璃瑞は肩を竦める。相手していた客に断りを入れてから璃瑞は男を引きずっていった。行先は従業員と男のような客しか入れない事務室のようなものだ。借金を背負えば必ず返済しなければならない。そのためには書類が必要である。それだけの話だ。

    「稼ぎたいなら真っ当に稼げばよかったのに。こんなとこに来た君のせいだとも取れちゃうよ」
    「そんなんじゃ……娘の手術費は……」
    「わあ在り来りな理由。でもそんな理由なら尚更ここなんてダメだよ」

    男を引き摺るのをやめて、璃瑞は屈んで顔を覗き込む。明るい声とは裏腹に、その顔はゾッとするほど冷たい。

    「君は今、まさに、こんなとこで、お金を失って、大事な大事な娘さんを殺しちゃうことになったんだから」

    男の絶叫が響く。璃瑞は耳が痛いと顔を歪めていた。夢と金が飛び交うこの場で正常な人間は生きていられない。生き残れるのは最初から狂った人間か、狂ってしまった人間か。さて、ここの従業員はどちら側なのか。今となっては興味もわかない話題だ。そんな情報知っていたって、一銭にもならないのだから。
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    Rm_yk04

    DONE捏造しかない
    1.ポム寮に選ばれたア嬢
    2.薬の取引をする狐
    3.ジが何の人魚なのか話すみんな
    4.先生に怒られるみんな
    5.飛行術下手くそジと天才璃
    6.寮長について話すみんなと気が気じゃないモブ
    いつめんツイステパロ「ポムフィオーレ寮!」

    高らかに宣言した闇の鏡の判定に、思わず口を開けたまま呆然としてしまった。ポムフィオーレ寮。美しい人々が集まる寮。そんな綺麗で豪華な寮に、こんなみすぼらしい私が?闇の鏡に判定の取り消しを頼もうとしても、この学校では闇の鏡の判定が全て。今この場で転寮を請うことなど出来なかった。渋々ポムフィオーレ寮に選ばれた人たちの並ぶ最後列につく。前に並ぶのはやっぱり綺麗な人ばかり。闇の鏡は私の事なんてもはや興味がなくて、新入生の判定を次々に行っている。どうして私はここに選ばれたのだろう。そもそもどうして私はこのナイトレイブンカレッジに選ばれたのだろう。私にはこの学校に入る資格も、ポムフィオーレ寮に入る資格もないはずなのに。ぐるぐると思考が回っているうちに入学式は終わってしまって、それぞれが選ばれた寮に向かうことになった。私に与えられた部屋は十分な広さのある2人部屋だった。同室のパートナーによろしくねと挨拶だけして、荷物を片付ける。入寮式が終わったら寮長に転寮願いを出そう。どこにいくかは決めていないけれど、とにかくここは似合わない。
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    Rm_yk04

    DONE久しぶりの🔩
    ネに監禁されるジ
    解釈違いしかない
    ストックホルムの中心地目を開けると、薄暗い天井が映し出される。ああ、やっぱりかと最近見慣れた景色にうんざりした。起き上がるとじゃらりと鎖の音がして、それが更に不快にさせる。首にかけられた頑丈で重い首輪が外れる気配はない。盛大なため息をついてベッドから降りた。外へと続く扉をノックすると、ピッという音の後に扉が開かれる。随分と重たそうな扉を開いて出てきたのは、見たくもない男の顔だった。

    「おはようジェミニ」
    「うっさい。さっさとここから出せ」

    僕をここに閉じ込めた男は、相も変わらず濁った瞳で笑うだけだった。

    ___

    朝目が覚めたら知らない部屋に閉じ込められていて、おまけに鎖付きの首輪まで付けられていた。監禁されたのかとどこか冷静な頭は判断していて、そしてその判断はまったく間違っていなかった。鎖付きの首輪は特注なのかと疑うくらい質の高いもので、恐らく元素を封じ込める技術が使われているものだ。さっきから何度も元素を使おうと試しているが、元素が答えてくれることはない。きっと常習犯の仕業だろうとアタリをつけた。神の目を持つ者を攫い人身売買の場に出すということはそこまで珍しくない。まためんどくさい事に巻き込まれたものだとジェミニは辟易した。こんな異常事態に対して至極冷静なジェミニを驚かせた唯一の事実は、実行犯が身内だったことだ。いつもと変わらぬ顔で、いつもの様に人当たりのいい笑顔を浮かべて、ネーヴェはジェミニの前に現れた。手にはカードキーが握られていて、おそらくそれがこの部屋から出るための鍵だろう。
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