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    aoi_sssnote

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    aoi_sssnote

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    妖精のやつ途中
    こんな感じで好き勝手設定作って書いてます

    「おはよう、私の愛しい花の君」

    蒼い瞳をやわらかく蕩かして告げる。
    それこそ愛らしい花が咲き零れるような顔で笑ったサンダルフォンが、細い腕を伸ばしてルシフェルを引き寄せ、その頬に唇を押し当てた。ふわりと柔らかく小さなそれに、ルシフェルは顔をずらして自らの唇を合わせる。小さく可愛らしい音を立てて軽く吸ってから、ほっそりとした少年の身体を腕に抱えて立ち上がった。

    「今のうちに水を浴びに行こうか」
    「ーー、」

    サンダルフォンは唇だけでルシフェルの名前を呼んだ。ルシフェルは小さく頷くことでそれに答えた。
    開花期にない花の妖精たちは、言葉を発することができない。音を紡げないのだ。開花への準備を整えるため、できるだけ力の浪費を抑えるために、肉体も子供の姿のまま成長をしない。一年の大半を固く蕾んだ身体の内側にたくさんの力を溜めて過ごし、盛りである開花期に精一杯の大きく美しい花を咲き誇らせる。そうして花が開いている間だけは、肉体も本来の姿を取り戻して相応の年齢へと成長する。思うまま言葉を語り、歌を紡ぎ、大切なひとに愛を囁きーー花が枯れれば、また小さな子供の姿に。
    そうした日々を繰り返して生きている彼らが咲かせる花で、この世界は常に鮮やかに優しい色彩で満ち満ちている。
    変わらぬ姿で変わらぬ日々を永遠に繰り返す、高位の精霊であるルシフェルとは違う。儚く未熟な存在ゆえの忙しなく不安定な生だ。けれどそれが、ルシフェルにはどこか眩くも見えていた。
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    aoi_sssnote

    MAIKING「形而上 楽園」11話目。

    全年齢ですが、今回ちょっと注意書き多いです。

    ⚠️とんでもない捏造と妄想のオンパレードです
    ⚠️ちょっと痛い思いをして血が流れる描写があります。流血苦手な方はご注意を
    ⚠️最後はふたりとも生きてハッピーエンドです
    ⚠️とんでもない捏造と妄想のオンパレードです(大事なことなので二回言いました)

    もう本当にやりたい放題。
    心のまま自由に何処までも羽ばたいてほしい。
    そう願って、その手を放したはずだったのに。

    生きてほしいという私の言葉に応え、サンダルフォンは無垢な笑顔だけを残して飛び立ってくれた。
    天司長の役割と、私の未練と。彼のしなやかな背に、私が託した羽はさぞや重かったに違いない。
    それを背負ったまま、サンダルフォンは長い長い刻を身も心も擦り切れるまで一途に生きた。ついにはこの広い空の下、ひとりきりになるまで。
    私が遺した言葉が、零した想いが、彼にどれほどの孤独を齎したことか。

    再び意識を手放した身体を抱いて、私は目を閉じた。
    いくら強く引き寄せても、しなやかな手足を摩っても、厚く重ねた羽で覆ってみても。サンダルフォンの肌は冷えていくばかりだった。流れ出るエーテルも止まらない。自らの意志で滅びを選択した彼を引き留める術は、私にはもうなかった。
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