レプリカのような心だとしてもこれは本物じゃない。
偽物の感情だ。
なんの間違いか、人間に生まれてしまったから
履き違えてしまったものだ。
俺は人ではない。
人にはなれない。
誰かを愛し愛されるなど有りえない。
偽物の存在を愛する人がどこにいる?
どこにもいないだろう?
それでも、ずっと想い続けていたら
いつか
本物になれるのだろうか…
そんなお伽噺のような奇跡など……起きるはずがないのに。
どうしても、
この想いを消すことだけはできなかった。
あの男のことが好きだというこの気持ちを。
『レプリカのような心だとしても』
猗窩座が己の内面を理解したのは小学生の時だ。
悪夢のような出来事が脳内と言わず、身体中を駆け抜けた。
そして悟った。
己は鬼であると。人ではないと。
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