夕班イベストの北片兄弟の話しんと静まり帰った部屋の中にざざーん、と窓の外から波の音が入り込んでくる。
この音を聞くと海のそばにいる、と実感した。
HAMAにも海はあるけれど、砂浜が近いわけではないため砂浜を打つ波の音は旅の象徴のようなものだった。
弟の生行は昔から規則正しい生活をしている。
夜遊びして帰ってくる俺とは大違いだった。きちんとルーティンをこなしてベッドに潜り込む生行。話しかけても、うるさい、寝る、としか返ってこない。
あまり話しかけて起こすのもな、と俺もベッドに潜り込み生行が寝息を立てるのを待った。
ラーメンを食べに行くためにバイクのレンタルの手続きは今日も済ませてあった。
あとは生行が寝たら行くだけ。
ここ連日成功していたから、多分今日も大丈夫だろう。今夜はどこの店に行こうか、まだまだ行きたい店ならたくさんある、などと思いを馳せながら生行の様子を伺う。
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