産まれた時から、俺には所謂前世の記憶があった。
最初は朧気だった記憶も、徐々に年齢を重ねる毎に鮮明となっていった。
だから物心をが付いて母親に甘えている最中に、こいつが羂索である事に気付いて真顔になってしまった。
俺の突然の反応に、向こうも気付いたらしく俺の顔を見て笑う。
「おや、流石は宿儺の器だっただけあるね。悠仁、もしかして記憶持ちかい?」
「……脹相は?」
「脹相達は、今の私は関係ないよ。探したいなら、君が探しなよ」
楽しそうに笑っている羂索に、そうかよと悪態を付きながら返した。
それからはお互い適度な距離感を保って生活していき、俺は消防士になると決めてから家を出た。
父親は止めたが、どうしてもこれ以上は羂索とは生活が出来なかった。
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