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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    🦋垢で呟いていた告白してきた髙をフッた後に自分の気持ちに気付いた羂の羂髙。髙がモブと付き合ってる表現があったりする。続き

    振り向かれる事が多く、袖を振られた事もない。
    あるとすれば、私が相手を袖にした事位だった。
    人間は単純だから、顔の造形が良ければ中身等気にせずに目を向けてくる。
    だから私はそれなりの対応をして、私は適当にあしらっていた。
    何もせずとも向こうから来ていたから、誰かに振り向いて貰う手段が分からない。
    「文を出す?毎日会ってるのに?メール?メッセージ?いや、電話か?」
    まずは髙羽と今よりも多く対話する事を考えたが、ほぼ毎日会っているのに今更何をすればいいのか分からない。
    千年間、私に気持ちを伝えてきた人間は何をしていただろうか。
    思い出そうにも、あまりにも興味が無さすぎて最早記憶にすら残っていない。
    「駄目だ、何れも役に立たない」
    何をすれば好かれるかなんて、私には分からなかった。
    命の弄び方なら知っているのに、人の振り向かせ方は分からない。
    分からない事だらけで、投げ出そうとさえ思った。
    「駄目だ。そしたら、髙羽は永遠に私の物にならないじゃないか」
    投げ出す前に考えなければと思いながら、私は髙羽とピンチャンの仕事をこなしていく。
    仕事が終わり、次の舞台のネタ合わせについても話が纏まった。
    今日も今日とて、髙羽は先輩に呼ばれたらしく飲み会に行くらしい。
    「明日、ネタ合わせだけどさ。羂索も飲みに行く?」
    何の気なしに誘ったのだろう髙羽に、一瞬行くと言いかけて辞めた。
    私が行った所で楽しめないであろうし、今の私は髙羽の近くに居る人間にすら苛立ちを覚える。
    「いや、私はいいよ。君だけで行きな」
    「……そっか。じゃ、また」
    髙羽は私が断る事を予想していなかったのか、少し驚いた様に目を見開いてから普段の顔に戻っていた。
    そんなに私が行かないのは、驚きなのか分からない。
    普段だって、必要最低限の飲み会は参加していた。
    髙羽の付き合いなら、私は避けた方がいいと思って断る事は多かった。
    普段通りだと言うのに、何となく胸がざわついて仕方がない。
    スマホを片手に、今から行くと伝えるべきか悩む。
    「今から行くって言ってもダサいな」
    はぁと溜め息を付くと、マネージャーが楽屋に入ってきた。
    「羂索さん、今宜しいですか?」
    「ピンの仕事は受けないよ。あとアイドルと女優の誘いも全部無しで。髙羽が居ないなら、私は仕事はしない。下手な仕事受けるなら、分かってるよね」
    このマネージャーは、高専側が寄越した窓の一人だ。
    だから融通が利くし、仕事についてもこうして我が儘を言っても通る。
    「分かってます。……何で、髙羽さんの事フッたんですか?」
    「……髙羽から聞いたの?」
    ズズっと音を立てながら百足の呪霊を床に巡らせると、マネージャーの表情が固くなった。
    別に殺すつもりはないけど、回答次第ではかるーくいじめるかもしれない。
    それにこの窓が、私と髙羽の事を何処で知ったのかだけは知っておきたかった。
    「相談されていたので。深い事は聞いてませんよ」
    「ふーん。で、髙羽の恋人ってどんな人?」
    深いことは知らないのは、口からでまかせはなく本当らしい。
    マネージャーであり窓であるなら、髙羽の恋人位は把握しているだろう。
    次いでだから、どんな女なのかを聞いてみる事にしたのだ。
    するとマネージャーは、いやと否定から入る。
    「まだ恋人じゃないですよ。お試し期間で、飲みに行ったりしているだけです。女芸人の方からその紹介された一般女性です」
    「そう。黒髪の美人だった?」
    「いえ、違うかと」
    「そう。なら、もう帰っていい?疲れているんだ」
    必要な情報は聞き出したし、ここには髙羽も居ないのだから居る意味はない。
    髙羽をフッた理由なんて、私だって分からないんだ。
    あの時は、髙羽への気持ちは相方としてしかなかった。
    だから袖にしたら、胸がチクりと痛くなった。
    反転術式を使っても治らなくて、その痛みをナイフに変えたのは髙羽の一言。
    「自分の気持ちを自覚しないで、髙羽をフッたなんて言える訳ないだろ」
    髙羽の人生の隣を、私以外が歩いて欲しくない。
    序でに言えば髙羽に対しては勃起もするから、性愛も伴っているのだ。
    それなのに、気付かなかった自分自身が許せなかった。
    はぁと深い溜め息を付きながら、エレベーターに乗る。
    運悪く共演したアイドルの一人がマネージャーと乗っていて、階段を使うか本気で悩んだがエレベーターに乗り込んだら、
    マネージャーが居るにも関わらず、私へ好意を向けて話してくるアイドルを適当にあしらう。
    これが髙羽だったら可愛かったのにと、思いつつも目的の階より二つ上で降りた。
    「はぁー、飲み会。一緒に行けば良かったな」
    呟きながら、階段を降りて一階へと向かった。
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