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    r__iy1105

    田中新兵衛に心を狂わされた
    禪院直哉は可愛いと思う

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    r__iy1105

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    原稿の息抜き。依存させたい羂と上手く誘えない髙の羂髙

    髙羽は私を誘う時、一緒に行こうとは言わない。
    最初の頃はそう言って誘っていたが、ある時から言わなくなった。
    代わりに言うのは、自分の現状。
    「すげー腹減ったなぁ」
    「何か食べに行こうか、何食べたい?」
    丁度仕事も終わったのだから、食事に行くのもありだろう。
    だから、いいよと言う代わりに何がいいか聞いてみた。
    すると嬉しそうに微笑みながら、髙羽はこの店とスマホを見せる。
    「決まってたなら、普通に誘えばいいのに」
    「え、いや、何か腹減ったなぁって思って」
    眉を下げて答える髙羽に、どうしてそうなったのか察した。
    私がどうしても外せない用事があって、一度だけ断ってしまった事がある。
    それ以来、髙羽が私を誘う言葉が変化していった。
    私の予定は、基本的に髙羽の為だけに空けているつもりだ。
    「そう?なら、君が飢える前に行った方がいいかな」
    伝わっていないのならば、それは私の力不足だろう。
    髙羽がまた普通に誘える様に、私は髙羽の誘いは断らない様にしなければならない。
    「定期報告の場にも連れて行くとして」
    「何か言った?」
    「ん?今度、二人で呪術高専行こうね」
    「何で!?羂索、また何かやったの!?」
    「君の中で、私の信用はどれだけ低いのか気になってきたよ。んー……やってないよ、まだ何も」
    「まだって言ったよね!?」
    「それは君次第だよ」
    君が私を飽きさせなければ、私は何もしないつもりではある。
    それに今はやることが出来たから、高専側に睨まれる事は避けたい。
    まだ何か言っている髙羽に、笑ってやればもうと言って付いてくる。
    「君か行きたい店に行こうか」
    髙羽を先に歩かせながら、私はどうすればいいのかを考えていた。

    ◆◆◆

    誘って断られるのが、羂索に対しては異様に怖かった。
    「今日、飯行かない?」
    「今日はダメだね。明日ならいいよ」
    その日はたまたま、羂索に予定があっただけ。
    考えれば、羂索も一人の人間?だから予定の一つや二つあってもおかしくはない。
    なのに、俺はそれを拒絶として受け取ってしまった。
    嘗ての相方だった奴等とは違うのに、どうしても恐怖感が勝ってしまう。
    だからその日から、俺は羂索を普通に誘えなくなってしまった。
    でも羂索はあの日以来、俺の誘いを断る事はなかった。
    食事も終わって明日は休みで、銭湯にも行った帰り道。
    俺は家に帰るから右で、羂索は駅に向かうから左に行ってしまう。
    ここでお別れかと思うと、少し寂しくて目を伏せながらぼそっと呟く。
    「さみしい」
    「さみしいの?」
    隣に居た羂索には聞こえていたらしく、あーと短く声を出してから首を横に振った。
    「忘れてくれると嬉しい、です」
    すると羂索は、外なのに俺には抱き付いてのし掛かってくる。
    羂索のファンが多いせいか、たまに週刊誌の記者っぽいのが居るから場所的にもまずい。
    「ちょ、羂索っ!」
    「私もさみしいよ。髙羽に還りたいなぁ」
    するりと服の中に入れられた手を、思わず掴んで羂索を制止させた。
    「ここじゃ、まずいから」
    「髙羽の家に行ってもいい?」
    「……掃除してないけど」
    「構わないよ。それに君が初めてだよ、私にさみしいって言わせたのは」
    流し込まれる様に囁かれて、耳を押さえて羂索を睨む。
    何かこれはまずい気がするから、深入りしない方が良さそうな気がした。
    「髙羽、さみしいね」
    「さみしくないってば」
    「ふーん?」
    他愛ない話をしていた気もするけど、家に着いた瞬間、玄関先で押し倒された。
    せめて煎餅布団でと思ったけど、羂索に口を塞がれるようにキスされて何も言えない。
    「んーっ!」
    ぬるりと入ってくる羂索の舌が、逃げる俺の舌を追う。
    絡め取られて深い口付けを交わしながら、服を脱がされていく。
    風呂に入ったばっかりなのにと片隅で考えている内に、羂索が口を離して俺を見下ろす。
    捕食者の目をした羂索の手が俺の頬を撫でて、甘い囁きを残していく。
    「初めてだなぁ。人を愛おしく思ったのは」
    甘い毒は、きっと飲み込んだ事にすら気付かずに体を侵していく。
    飲み込んだらいけないと分かっていても、この甘美な毒を拒むことは出来なかった。



    ◆◆◆



    「羂索」
    「何かな、髙羽」
    「これ、俺が羂索の初めて?」
    「ん?あぁ、君が初めてだよ。私の初めては、君に捧げるって決めているからね。また、初めてをくれると嬉しいな」


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