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    yushio_gnsn

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    もふもふ雛ハイゼンに初恋奪われたけど、成長して可愛くなくなったことを咽び泣く先輩。

    #アルカヴェ
    haikaveh

    俺は今でも可愛いが?※命の星座の設定を独自に変更しています
    ※アルハイゼンとカーヴェの両親が出ます(会話有)






    テイワットに生きる人は皆、それぞれに命の星座というものを持っている。それは物の形をしていたり、動物であったりと様々である。

    己の命運、生き様を象徴するとも言われているが、定かではない。一部の人間は、星座の特徴をその身に宿したり、特定の物品と縁深くなったり、不思議な力を持つことがある。神の目を得るとその影響が更に強まる、ということだけは確実にわかっていた。

    カーヴェという人間に宿った星座は風鳥――極楽鳥とも呼ばれる色鮮やかな鳥であった。
    物心ついたときから背中には翼が生えており、定期的に抜け換わる羽毛に両親は手を焼いていた。

    「……カーヴェ、歳下のお友達よ。仲良くできる?」

    それは運命の出会いだった。少なくとも、幼い日の自分にとってはこの上なく衝撃的であり、もしも走馬灯が存在するなら確実に流れる光景だと思う。

    幼い頃、とある日、父母の友人が家へやってきたのだ。その腕の中に抱かれていたのは、自分と同じく翼を生やした小さな子供だった。

    「……かわいい!」

    「こんにちは」でも「はじめまして」でもなく、口から零れたのは率直な感想だった。ふわふわの白い羽毛に、ぷくぷくとした柔らかそうな頬っぺた。あらあら、と微笑む大人たちの話はまったく耳に入ってこない。呼びかけられた幼児の視線がこちらを向く。翠色のステンドグラスのように煌めく瞳に射貫かれて、呼吸が止まった。あっというまに頬が熱を持ち、どきどきと胸が高鳴る。

    「カーヴェ、仲良くしたいならまずご挨拶でしょう?」
    「こ、こんにちは!」

    お利口さんだと相手方の親は褒めてくれた。そして、腕に抱いていた子供をそっと床に降ろす。驚いているのか、それとも、まだ小さくて状況がつかめていないのか。地に足をつけた雛鳥は静かに辺りを見回していた。「はじめまして」ともう一度挨拶をすると、鈴のような声で同じく「はじめまして」が返ってくる。しかし、後に会話が続かない。

    「この子は話すのがあまり得意ではなくて……本が好きだから、言葉はわかっていると思うんですけど」
    「おとなしい子なんですね……カーヴェ、可愛いからって話しかけ過ぎてはだめよ?」

    わかった、と返事をしつつも諦める気はさらさらなかった。歳上としてお世話をしなければ、と勝手に意気込んでいたのもある。

    「本、読んであげる!」

    本が好き、という情報を得たのをいいことに、すぐさま自分の部屋の本棚からお気に入りを何冊か引っ張り出して戻って来たのだった。

    雛鳥の名前はアルハイゼンと言った。
    自分と同じく、幼くして命の星座が発現した珍しい子供。両親が二人を引き合わせたのは、同じ特徴を持つ子供同士なら上手に遊べるのではないか、と配慮した結果だった。

    星座の影響が目に見える形で発現している者……特に動物的な特徴を持つ者は物珍しさゆえに、好奇の目で見られがちだ。子供ならなおさらで、羽根を触られたり引っ張られるなど、悪意はなくともトラブルになりやすい。

    「これ、僕のおすすめなんだ。アランナラのやつ」
    「……ん」

    アルハイゼンはカーヴェが持って来た本を受け取ると、ソファに座って、黙ってページを捲り始めた。読んであげようと目論んでいたのに、既に文字は一通り覚えているらしい。残念だなあと惜しむ気持ちをしまいこんで、アルハイゼンと一緒のペースで読み進める。ページが捲られたタイミングでふと視線を逸らすと、ソファの背もたれに挟まれた翼が乱れていることに気が付いた。本に夢中で気が付いていないようだが、せっかくのふわふわの羽がぼさぼさになるのはかわいそうだ。

    「羽、直してあげる」
    「……?」
    「背中、ぐちゃぐちゃになってる。僕が整えてあげるから、そのまま読んでいていいよ」

    背中をこちらへ向けるよう指示すると、雛鳥はおとなしく指示通りに身体を動かした。

    「触るけど、嫌だったら言ってね」

    こくりと頷いたのを確認し、持ってきたブラシで柔らかな羽毛を撫でる。自分にも元はこのようなふんわりした羽毛が生えていたのだけれど、数ヶ月前一気に生え換わった。鳥という生き物は雛から大人になるときに一度羽根が入れかわるのだという。アルハイゼンの羽はまだふわふわなので、これからまた新しい羽になるのだろう。

    「(アルハイゼンにはなんていう鳥が宿っているんだろう……きっと綺麗な羽が生えるんだろうな)」

    大人の羽が生えるまではどんな鳥かは判別がつかない。けれど、こんなに可愛いのだから、将来はきっと美人さんになると確信していた。羽毛の感触を楽しみながらブラシをすべらせていると、そのうち小さな体がぐらぐらと揺れ始める。

    「……アルハイゼン?」
    「…………ぅん」
    「眠い?」

    ううん、と首を横に振るも、明らかに瞼が重そうだった。ぐしぐしと目を擦るのを見て、慌てて部屋を見回す。ブランケットを視認すると、すぐに引っ掴んでソファに戻った。

    「また後で読もう」

    本を閉じ、ブランケットを膝にかける。アルハイゼンは名残惜しそうに本を見つめていたが、すぐにソファにもたれかかって目を閉じた。その様子を隣で眺めていると、また胸がどきどきして、自然と口角が上がってしまう。

    ぷっくりとした頬に、小さな唇。何度見ても可愛らしい。

    「おやすみアルハイゼン。良い夢が見られますように」

    母がしてくれるのと同じように、頬にキスをする。
    これがまさに初恋だったのだと、カーヴェは後に思い知った。

    ***

    少しくすんだ写真の中、翼を生やした子供が二人、寄り添って眠っている。その写真を握りしめ、カウチで鼻をすすっているのは写真の中の片方だったもの……極楽鳥を宿す建築家、カーヴェであった。机の上には食べかけのスモークチキンとファテの皿、空になったビール瓶が転がっている。

    「ううっ……あの日のアルハイゼンを、僕だけのふわふわの雛鳥を返してくれ!!!」

    泣き上戸。泥酔したカーヴェは、昔の写真を眺めながら咽び泣いている。泥酔時における〝いつもの〟ではあるが、毎度毎度過去の話をされるのは面倒くさい。よりにもよって、羽も生え揃わぬちんちくりんだった頃を惜しまれることも大変許しがたかった。

    「俺ならここにいるだろう」
    「こんな筋肉ダルマ知らない! 詐欺だ、騙された!」
    「初見で性別を勘違いしたのは君の落ち度だ」
    「だからって、こんな……ガタイが良すぎて健脚で剛腕でそのくせ腹立たしいほど頭も切れる不遜極まりない男になるなんて思わないじゃないか!」
    「……褒めても酒代は請求するが?」

    その不遜極まりない男の家に転がり込み、情を交わす関係になっていることについてはどう思っているのだろうか。自分が抱かれる側なのが気に食わないのかもしれないが、初恋を奪われた、後輩だからとお預けを食らった者として譲ることはできない。

    「純朴な後輩を弄んだ挙句、いまさら可愛くないと理不尽なことを言う……日頃の思いやりと慈悲深さをオルモス港に沈めて来たのか?」
    「どこの誰が純朴だって!?」

    頬を濡らしたまま、カーヴェは「可愛くない」と繰り返す。大概にして欲しい。

    カーヴェはこちらの性別が判明してからも〝可愛い後輩〟として教令院内で恥も外聞もなく撫でくり回してきた。昼食の際「一口あげる」とスプーンを差し出されたのも一度や二度ではない。言われた通りに咀嚼してやれば「たくさん食べて大きくなるんだよ」と満足そうに笑っていた。

    「君に言われた通り大きく育ったのに、疎まれる筋合いはない。発言には責任を持つべきだ」
    「子猫だと思って育てたらリシュボラン虎だったときの気持ちがわかるかい?」
    「俺は隼だ」
    「物の例えだよ! そういうところが可愛くないんだぞ!」

    あれだけ構い倒し、褒めちぎっておいていまさら「可愛くない」はないだろう。咽び泣く彼から写真を奪い取って机に放り、空になった左手をこちらの頬に押し当てる。

    「君は俺の頬をつまむのが好きだったな。俺の頬は昔と変わらず柔らかい。存分に楽しむといい」
    「……ぐぅっ、本当に腹立たしいけど感触はそのままだな。そうだ、このまま目を閉じて過去の君をイメージしたら」
    「却下だ」
    「ぎゃああ!? こら、やめないか、っもう!」

    閉じかけた目をこじ開けると、カーヴェはばたばたと暴れ回った。一度手を離してから、宥めるように、自分の腕と翼で彼の身体を包み込み、視界を覆う。鳥という生き物は、種類にもよるが周囲が暗くなると就寝のために身体が沈静化するといわれている。彼にも効果はあったようで、作られた闇は抵抗の気力を削いだようだった。もう無駄な抵抗はしてこない。その代わり、こちらの翼の付け根まで腕を回し、感触を楽しんでいる。

    「はぁ……あの白い羽毛はいかめしい風切り羽になっちゃったけど、付け根だけは昔と同じくふわふわだな……」

    この期に及んでまだ過去を引きずっているらしい。仕返しとばかりに、抱き寄せたまま尾羽の付け根をくすぐる。とんとんと指で軽く叩くと、腕の中の身体は硬直した後、びくりと跳ねた。

    「俺は今でも可愛いが?」
    「ひぅっ!?……じゃあ、この邪な手は何だ……!」

    「全然可愛くないぞ」と口走りつつも、腰が震えている。酒に酔っても、共寝の合図を察する頭は残っていたようだ。そのまますりすりと指を滑らせながら、顔を上げた彼の瞳をまっすぐに見つめた。

    「……だめなのか?」

    懇願するように、眉を下げ、少しだけ首を傾ける。視線の先の緋色が潤むと同時に腕の中の身体はかくんと力が抜けた。

    「……っ、もう……好きにしたらいい」

    そろそろ酔いも醒めて来た頃だろう。彼が酒を煽っているうちに湯浴みの準備は整えておいた。これ以上の苦情は受け付けない。こちらが悪いような言い方をしているが、弱点を告白しているのはカーヴェ自身だ。

    「ぐすっ……ほんとに……可愛くないぃ」

    でまかせばかり言う先輩に、思わず苦笑してしまう。

    彼は今でも〝可愛い後輩〟に弱すぎる。
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